FPS世界ランク1位の凸スナ、ニートを辞めて異世界でエンジニアになる~工業高校の資格と現代兵器で、健気なドワーフ娘を救い天下を取る~

月神世一

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EP 47

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どんぶり勘定からの卒業、求む「執事」!
中央都市ユミルスへ向かう街道。
ピンク色の『ラビット・グランドマスター』は、快適なサスペンションのおかげで、振動もなく滑るように走っていた。
運転席の英一は、流れる景色を見ながらふと呟いた。
「なぁ、よく考えたら……この工房って、『マネジメント(経営管理)』してくれる人が必要なんじゃないか?」
「マネジメント……ですか?」
助手席で地図を見ていたマイユが顔を上げる。
「ああ。俺たちは商品を開発して作る『技術屋』が本業だろ? でも、これからは契約だの、特許だの、大量の資材発注だの……事務作業が膨大になる」
英一の指摘に、マイユは痛いところを突かれた顔をした。
「うーん……そうねぇ。確かに、領収書の整理だけでも徹夜続きだし……」
「それに、金の計算とかさぁ」
後部座席のラウスが身を乗り出して口を挟んだ。
「マイユはナーコさんとの金銭受け渡しとか、正直いい加減だったからな。『はいどうも~』って感じで、中身も見ずに仕舞っちまって」
「うっ……」
マイユが言葉に詰まる。
「あれは、良くないわよね~」
隣でSIG P226を磨いていたメルセスも、冷ややかな視線を送る。
「相手がナーコだから見逃して貰ってるけど、悪い商人なら『金貨100枚足りないわよ?』って後から言いがかりをつけられても文句言えないわ。……商売人としては三流ね」
「だ、だってぇ!!」
マイユが顔を赤くして反論した。
「金貨8,000枚ですよ!? 一枚一枚数えてたら、日が暮れるどころか夜が明けちゃいますわ! あの場の空気で『ちょっと待って、1, 2……』なんて出来るわけないじゃない!」
「だからこそだ」
英一はハンドルを切りながら言った。
「そういう面倒な計算や、契約書の細かいチェック、相手との腹の探り合いを冷静にこなしてくれる……『執事』みたいなタイプが必要だな」
「執事……?」
「ああ。俺たちの世界で言う『CFO(最高財務責任者)』みたいなもんだ。常に冷静沈着で、数字に強くて、俺たちが技術に没頭できるように裏方を完璧に仕切ってくれるプロフェッショナル」
英一の脳裏には、黒い燕尾服を着て、銀縁メガネを光らせる有能な執事のイメージが浮かんでいた。
「なるほど……。アタシ達が暴走しないように手綱を握ってくれる人ってわけね」
マイユは想像した。
散らかった工房をテキパキと片付け、山積みの書類を一瞬で処理し、「マイユ様、本日のスケジュールです」と紅茶を入れてくれる素敵な執事。
「……いいわね、それ♡」
マイユの目がハートになった。楽がしたい、という本音が漏れている。
「分かったわよ! ユミルスに着いたら、特許庁に行く前に『人材派遣ギルド』に当たってみるわよ!」
「おう、それがいい。俺も母ちゃん以外の『小言役』が欲しいところだ」
「私は、私の研究費をちょろまかさない人なら誰でもいいわ」
一行の方針は決まった。
「特許」による権利の防衛。
そして「執事」による経営の要塞化。
エイイチ&マイユ工房は、ただの町工場から、組織としての強固な地盤を固めるフェーズへと移行しようとしていた。
目指すは中央都市ユミルス。そこには、運命を変える出会いが待っているはずだ。
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