79 / 98
禁じられていた話
生きている施設 4
しおりを挟む
内村への報告から一か月後。
今度は内村から私宛にメッセージが届く。
「例の施設が完全に業務停止(解散)となりました。
私が施設について調べている旨は伝わっていた様で、施設のカギを預かっております。
引き続き、調査をお願いいただける場合、カギを郵送させていただきますが
その際は、メッセージ頂けると幸いです。
また、調査される場合の注意点として、調査終了後はカギの返送をよろしくお願いいたします。」
当然のことながら、私は調査の続行を名乗り出た。
数日後、送られてきたカギを手に
再び私は、養護施設へと赴いた。
相も変わらず、嫌な空気感の漂う廊下だ。
前回、訪れた際にはまだ「職員」や「子供たち」が居た。
それ故の、安心感の様なものも確かにあった。
だが・・・眼前に広がる重苦しい廊下には前回のような温かみさえ感じなくなった。
「誰も居ない・・・何もない。」
当たり前の事だろうに、それが嫌に恐ろしい。
何の音もしない廊下を、一人ぽつんと歩く心細さを、その時初めて「怖い」と思った。
これまで私の投稿を見てくださった方々なら、分かると思うが
こういう場合
私は嬉々として、調査を行う節もある。
「変わった出来事」を「恐ろしい現象」を
私は「興味深い!」と探求したくなる・・・そういう人物だ。
その私が・・・「怖い」と認識することは「珍しい」。
ともすれば、複数の念が吹き溜まって居そうな場所だ。
声の一つ、物音の一つあっても可笑しくはない場所だ。
だが、調査を始めた私の耳に届くのは、私の足音と珍しくも恐れる脈拍の鼓動だけ。
一つ、また一つと部屋を探索し奥へと進む中
ある部屋に差し掛かった時、それは起きた。
どこか遠くの方から「キュル・・・キュル」という
甲高い摩擦音が聞こえるのだ。
瞬間、私は全身鳥肌に襲われた。
・・・「知っている」。
私はその音の正体を「知っている」。
「嘘だろ・・・。」脳に浮かんだその一言も、徐々に冷静になる脳も・・・
だが、一歩を踏み出さずにはいられない。
廊下に出た私が目撃したのは
すでに調べ終わったはずの部屋から、ひとりでに出てくる「車いす」だった。
ゾッとしたものである。
その車いすは、玄関先へ向き
私に背を向ける形でピタリと止まった。
十数秒間の硬直。
ふと我に返った私は、大慌てでその車いすの元へ駆け寄った。
当然だが、車いすの出てきた部屋には誰も居ない。
改めて車いすに目を向けた時、さらなる恐怖を覚えたものである。
「ブレーキ・・・かかってやがる・・・。」
そう、車いすのブレーキレバーはタイヤに押し付けられ
どう頑張っても進む事など在り得ない状態だった。
その車いすの背もたれには、施設の名前のロゴが入り
この施設で使われていた備品だという事が明らかだった。
気を持ち直し、再度調査に戻り
最後の部屋を訪れた。
その際にも、聞きなれた嫌な金属摩擦音が耳に入る。
「動いてるのか・・・?」
部屋から顔を覗かせるも、車いすは動いている様子はなかった。
再び部屋に目をやろうとした時だ。
「え?」
視界の隅で、先ほどまで居なかったであろう
車いすに座る人影を見た。
二度見で車いすに目線を戻すも、そこには人の姿など無い。
だが、私ははっきりと覚えている。
後ろ向きだったが故に、その人物もほぼ後頭部しか見えていなかったが。
その姿は、少年だった。
殆ど丸刈りの坊主頭に、襟足の一部を細長く伸ばし残した髪型。
ひと昔前に流行った「まるでヤンキー坊主」のような髪型の少年。
私は瞬時に理解した。
「彼が・・・シゲノリ君・・・?」
しかし、それ以降変わった出来事は起きず
調査報告と共に施設のカギを、内村に返送する事となる・・・。
今度は内村から私宛にメッセージが届く。
「例の施設が完全に業務停止(解散)となりました。
私が施設について調べている旨は伝わっていた様で、施設のカギを預かっております。
引き続き、調査をお願いいただける場合、カギを郵送させていただきますが
その際は、メッセージ頂けると幸いです。
また、調査される場合の注意点として、調査終了後はカギの返送をよろしくお願いいたします。」
当然のことながら、私は調査の続行を名乗り出た。
数日後、送られてきたカギを手に
再び私は、養護施設へと赴いた。
相も変わらず、嫌な空気感の漂う廊下だ。
前回、訪れた際にはまだ「職員」や「子供たち」が居た。
それ故の、安心感の様なものも確かにあった。
だが・・・眼前に広がる重苦しい廊下には前回のような温かみさえ感じなくなった。
「誰も居ない・・・何もない。」
当たり前の事だろうに、それが嫌に恐ろしい。
何の音もしない廊下を、一人ぽつんと歩く心細さを、その時初めて「怖い」と思った。
これまで私の投稿を見てくださった方々なら、分かると思うが
こういう場合
私は嬉々として、調査を行う節もある。
「変わった出来事」を「恐ろしい現象」を
私は「興味深い!」と探求したくなる・・・そういう人物だ。
その私が・・・「怖い」と認識することは「珍しい」。
ともすれば、複数の念が吹き溜まって居そうな場所だ。
声の一つ、物音の一つあっても可笑しくはない場所だ。
だが、調査を始めた私の耳に届くのは、私の足音と珍しくも恐れる脈拍の鼓動だけ。
一つ、また一つと部屋を探索し奥へと進む中
ある部屋に差し掛かった時、それは起きた。
どこか遠くの方から「キュル・・・キュル」という
甲高い摩擦音が聞こえるのだ。
瞬間、私は全身鳥肌に襲われた。
・・・「知っている」。
私はその音の正体を「知っている」。
「嘘だろ・・・。」脳に浮かんだその一言も、徐々に冷静になる脳も・・・
だが、一歩を踏み出さずにはいられない。
廊下に出た私が目撃したのは
すでに調べ終わったはずの部屋から、ひとりでに出てくる「車いす」だった。
ゾッとしたものである。
その車いすは、玄関先へ向き
私に背を向ける形でピタリと止まった。
十数秒間の硬直。
ふと我に返った私は、大慌てでその車いすの元へ駆け寄った。
当然だが、車いすの出てきた部屋には誰も居ない。
改めて車いすに目を向けた時、さらなる恐怖を覚えたものである。
「ブレーキ・・・かかってやがる・・・。」
そう、車いすのブレーキレバーはタイヤに押し付けられ
どう頑張っても進む事など在り得ない状態だった。
その車いすの背もたれには、施設の名前のロゴが入り
この施設で使われていた備品だという事が明らかだった。
気を持ち直し、再度調査に戻り
最後の部屋を訪れた。
その際にも、聞きなれた嫌な金属摩擦音が耳に入る。
「動いてるのか・・・?」
部屋から顔を覗かせるも、車いすは動いている様子はなかった。
再び部屋に目をやろうとした時だ。
「え?」
視界の隅で、先ほどまで居なかったであろう
車いすに座る人影を見た。
二度見で車いすに目線を戻すも、そこには人の姿など無い。
だが、私ははっきりと覚えている。
後ろ向きだったが故に、その人物もほぼ後頭部しか見えていなかったが。
その姿は、少年だった。
殆ど丸刈りの坊主頭に、襟足の一部を細長く伸ばし残した髪型。
ひと昔前に流行った「まるでヤンキー坊主」のような髪型の少年。
私は瞬時に理解した。
「彼が・・・シゲノリ君・・・?」
しかし、それ以降変わった出来事は起きず
調査報告と共に施設のカギを、内村に返送する事となる・・・。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】大量焼死体遺棄事件まとめサイト/裏サイド
まみ夜
ホラー
ここは、2008年2月09日朝に報道された、全国十ケ所総数六十体以上の「大量焼死体遺棄事件」のまとめサイトです。
事件の上澄みでしかない、ニュース報道とネット情報が序章であり終章。
一年以上も前に、偶然「写本」のネット検索から、オカルトな事件に巻き込まれた女性のブログ。
その家族が、彼女を探すことで、日常を踏み越える恐怖を、誰かに相談したかったブログまでが第一章。
そして、事件の、悪意の裏側が第二章です。
ホラーもミステリーと同じで、ラストがないと評価しづらいため、短編集でない長編はweb掲載には向かないジャンルです。
そのため、第一章にて、表向きのラストを用意しました。
第二章では、その裏側が明らかになり、予想を裏切れれば、とも思いますので、お付き合いください。
表紙イラストは、lllust ACより、乾大和様の「お嬢さん」を使用させていただいております。
霊和怪異譚 野花と野薔薇
野花マリオ
ホラー
その“語り”が始まったとき、世界に異変が芽吹く。
静かな町、ふとした日常、どこにでもあるはずの風景に咲きはじめる、奇妙な花々――。
『霊和怪異譚 野花と野薔薇』は、不思議な力を持つ語り部・八木楓と鐘技友紀以下彼女達が語る怪異を描く、短編連作形式の怪異譚シリーズ。
一話ごとに異なる舞台、異なる登場人物、異なる恐怖。それでも、語りが始まるたび、必ず“何か”が咲く――。
語られる怪談はただの物語ではない。
それを「聞いた者」に忍び寄る異変、染みわたる不安。
やがて読者自身の身にも、“あの花”が咲くかもしれない。
日常にひっそりと紛れ込む、静かで妖しいホラー。
あなたも一席、語りを聞いてみませんか?
完結いたしました。
タイトル変更しました。
旧 彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる
※この物語はフィクションです。実在する人物、企業、団体、名称などは一切関係ありません。
エブリスタにも公開してますがアルファポリス の方がボリュームあります。
表紙イラストは生成AI
【電子書籍化】ホラー短編集・ある怖い話の記録~旧 2ch 洒落にならない怖い話風 現代ホラー~
榊シロ
ホラー
【1~4話で完結する、語り口調の短編ホラー集】
ジャパニーズホラー、じわ怖、身近にありそうな怖い話など。
八尺様 や リアルなど、2chの 傑作ホラー の雰囲気を目指しています。現在 150話 越え。
===
エブリスタ・小説家になろう・カクヨムに同時掲載中
【総文字数 800,000字 超え 文庫本 約8冊分 のボリュームです】
【怖さレベル】
★☆☆ 微ホラー・ほんのり程度
★★☆ ふつうに怖い話
★★★ 旧2ch 洒落怖くらいの話
※8/2 Kindleにて電子書籍化しました
『9/27 名称変更→旧:ある雑誌記者の記録』
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/1/17:『えれべーたー』の章を追加。2026/1/24の朝8時頃より公開開始予定。
2026/1/16:『せきゆすとーぶ』の章を追加。2026/1/23の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/15:『しばふ』の章を追加。2026/1/22の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/14:『でんしれんじ』の章を追加。2026/1/21の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/13:『こえ』の章を追加。2026/1/20の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/12:『あけてはいけない』の章を追加。2026/1/19の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/11:『みきさー』の章を追加。2026/1/18の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
【完結】百怪
アンミン
ホラー
【PV数100万突破】
第9回ネット小説大賞、一次選考通過、
第11回ネット小説大賞、一次選考通過、
マンガBANG×エイベックス・ピクチャーズ
第一回WEB小説大賞一次選考通過作品です。
百物語系のお話。
怖くない話の短編がメインです。
幻・骸行進
メカ
ホラー
「骸行進」シリーズ・・・第四弾。
四・・・4・・・死・・・。
鬱陶しい位に長く・・・我ら「骸行進ファミリーズ」による
恐ろしい体験談。
この先、何処まで続くかは不明だが、最後まで御憑き合い願いたい・・・。
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる