廻・骸行進

メカ

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廻・最終話

トモちゃんのお土産 終

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「もしもし?○○(私の本名)さん?どうしました?」

電話に出た彼女に、私は開口一番でこう述べた。

「家の貯金箱!すぐに破壊して!」

実際、彼女はまだ就業中であり、すぐすぐの破壊とはいかなかったが
先の投稿でも述べたように
この手の「呪い」を素人でも簡単に退ける方法は「呪い自体を暴く事」である。
(中には一部、暴くことが危険なモノもあるが。)

しかし、彼女は無事
私の頼みを完遂した。

その「貯金箱」からは、私が預かった「兄の貯金箱」同様に
小さく折り畳まれテープでぐるぐる巻きにされた紙の塊が「三つ」出て来た。

・・・察しの良い方なら分かるだろう。

この「三つの紙の塊」は、家族それぞれに宛てた「怨み」の手紙である。

父に宛てたもの。母に宛てたもの。そして、妹のユウちゃんに宛てたもの。

そのすべてに共通するのは
文面の節々から漏れる「殺意」。

そして・・・その文面に沿った内容かは別として
家族はユウちゃんを残し、皆亡くなった。

この「呪詛の手紙」については、後日
私の手で師であるX氏の元へ送り、お焚き上げとなった。

なぜ、ユウちゃんだけが救われたのか。

そこには私なりの私見がある。

貯金箱を破壊した後
ユウちゃんの手によって明らかになったのは
トモちゃんが更生施設を「卒業」していた。という事実だった。

が、しかし・・・それは「うれしい報告」とはならなかった。

これら「呪詛の手紙」について、ユウちゃんは
トモちゃんに直接問い正そうとした。

が・・・。
件の更生施設に「彼女」の姿は無かった。

此方についても、理由は先の投稿で前述しているので控えるが

ある理由があって、彼らの元に「その情報」は届かなかった。

それは、父の死と母の鬱である。

実の所、トモちゃんの「施設卒業」の一報は実家に届いていたそうだ。
が、その時すでに父は他界しており、母は鬱に陥っていた。

結果、トモちゃんの「卒業」を伝える書類は
他のチラシや書類に埋もれ、目が通される事無く「処分」されていたのだ。

同時に、施設サイドでは
両親からの返信がなく、トモちゃん本人は「一人暮らし」を希望していた為
引き留める理由も権限もなく・・・彼女は施設から「巣立った」。

しかし・・・問題が一つ。

彼女が一人暮らしを行う際、必要だった「保証人」についてだが・・・。

本来であれば、身内が行うべきものだ。

が、家族からは何の音沙汰もない。

施設サイドは、本人からの直接連絡が推奨された。

それが彼女たちが行っていた「文通」の正体である。
高校卒業を間近に控えた彼女は、施設職員の助言によって「手紙」を送っていたのだ。

だが・・・。
なぜか、すぐに「本題」には切り出さなかった。
そこにどんな意図があったかは、今となっては分からない。

その結果
高校を卒業した後の「保証人問題」が解決するまでは
彼女の身柄は「施設」にあったそうだ。

・・・そう。
高校卒業を機に「彼女は動き出した」。

かつての実家近くをうろつく様になり、音沙汰がなかった「理由」を探っていた。

その結果、両親の状態を知り
あろう事か、彼女は
施設職員に対し「ある頼み」を行った。

それが「保証人の代行」である。

そうして、彼女は自宅の説明を事細かにした上で
妹のユウちゃんは実家を出て連絡が付かないのだと嘘を交えた上で・・・。

彼女は「保証人」を手に入れ、自由の身になった。

・・・そうして、彼女が居を構えたのが「実家の近く」だったという事が分かったのだ。

そうして、実家の状況を知ったトモちゃんは
ある事を思い立った。

それが「兄に対する執着」である。

妹のユウちゃんよりも先に。

彼女の眼には「兄」が写ってしまった。

自身を避け、逃げる様に出て行った兄。
その後、家族ぐるみで騙し続け、一人暮らしの実態を隠し続けた兄。
・・・その兄が・・・
自身が家にいないと知るや、実家に足を運ぶようになった。
妹と楽しそうに笑う兄を・・・

彼女はどのように見ていただろうか。



これこそが「ユウちゃんが助かった理由」ではないだろうか。

妹には特に「思い入れや怨み」が少なかった。
・・・それよりも、今は「騙した兄が憎い」・・・。

その結果・・・本来の順序が入れ替わり
ユウちゃんへの「霊障」が兄に向かったのではないか?






現在、トモちゃんは「消息不明」となっているそうだ。
ユウちゃんが、さらに調べを進めた所
居を構えているアパートには、数日帰っていない様子が見受けられた。

その後、大家に事情を説明し中に入ったそうだが
本人の姿は確認されなかった。

以降、家賃が振り込まれなかったことを踏まえ
大家やユウちゃんによって、捜索願が出されたそうだ・・・。



あれから数年経つ。

だが、今でもユウちゃんは「彼女」の襲来を「恐れている」。

恐らくは「呪詛返し」によって凄惨な目にあったであろう「彼女」を。
未だに恐れ、怯えながら生活している・・・。
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