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筆者メカの収集話・体験談
蚊取り線香
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それは、数年前の暑い夏の日だ。
友人の息子にせがまれて、友人と共に「虫取り」に出掛けた時の話だ。
最初は、ある河川敷で「クワガタムシ」を探していた。
・・・近年、温度が上がって来たせいもあって、結果はぼちぼち。
友人の息子「圭太(仮名)君」の顔色もやや暗いものだった。
「圭太、虫ってのはかくれんぼの天才なんだぜ?
簡単には見つけられないさ。ほれ、次行くから車に乗りな。」
友人が息子を優しく諭す。
その背中は、自分とは打って変わって
とても大きく見えたものである。
そして、次に向かったのは「山」だ。
日中、圭太君が学校へ行っている間に
私と友人の二人で、彼には内緒で「ライトトラップ」を仕掛けたのだ。
幸い、そこでは多くの昆虫を捕まえた。
唯一つ。気になる点を除けば概ね満足な結果だった。
その気になる点・・・。
山という事も有り、蚊が凄い。
そこで我々は、持参した「蚊取り線香」を周辺で焚き
虫取り後のバーベキューを楽しんだ。
「いやぁ、山ってだけあって標高も高いし涼しいな!」
友人の一言である。
事実、結構な山奥まで進んできた我々だが・・・。
その実、額からは汗が滴り落ちる程の蒸し暑さだったはずだ。
にも拘わらず・・・。
私の友人はソレを言う。
懐中電灯やランタンに照らされる額には汗が滲んでいるのに・・・。
隣に居る私は、これでもかと団扇を仰ぎ暑さを凌いでいるのに・・・。
圭太君も虫取りに満足したようで、バーベキューを貪るように食べ
クーラーの利いている車の中で眠っていた。
外で、炭火を囲む私と友人。
顔を突き合わせているのに、噛み合わない感情。
徐々に、何かがズレていると思い始める。
「なぁ!こんだけ涼しいんだしさ、まだ取れるんじゃねぇの?圭太、起こそうか?」
「いや、疲れがあるだろ。一日中動いてたしさ・・・。」
まるで・・・子供より子供らしくはしゃぐ友人を目の前に
先ほどまでの「大きさ」を全く感じなくなった。
友人との会話を、それとなく流しながら・・・異変を探ったその時だ。
「おい、これ・・・どうしたんだよ?」
私が、周囲を探った時、目に留まった物。
友人が「蚊取り線香」として持って来た線香・・・。
四方四隅にきっちりと並べられているが・・・
その実
「蚊取り線香」ではなく・・・「護摩線香」であったのだ・・・。
「あぁ・・・それ?家にあったのを適当に持って来たんだよ。
いい具合に煙も出てるし、蚊もよってこねぇだろ!?」
自慢げに声色を上げる友人の横で
私は大急ぎで、全ての線香を消しにかかった・・・。
驚く友人を他所に、バーベキュー道具もそのままに・・・
友人を引きずり、車へ乗せ
逃げる様にその場を去った・・・。
「護摩線香」とは・・・神仏の世界では「供養」に使われる神聖な物だ。
そして
誤った使用法でコレを使えば「供養」を求め、招かれざる客がやって来る。
あの場で、私より敏感に空気の差を感じていた彼は
・・・恐らく、護摩線香を持って来た者として・・・
「何者かにずっと、追い縋られていたのかもしれない。」
友人の息子にせがまれて、友人と共に「虫取り」に出掛けた時の話だ。
最初は、ある河川敷で「クワガタムシ」を探していた。
・・・近年、温度が上がって来たせいもあって、結果はぼちぼち。
友人の息子「圭太(仮名)君」の顔色もやや暗いものだった。
「圭太、虫ってのはかくれんぼの天才なんだぜ?
簡単には見つけられないさ。ほれ、次行くから車に乗りな。」
友人が息子を優しく諭す。
その背中は、自分とは打って変わって
とても大きく見えたものである。
そして、次に向かったのは「山」だ。
日中、圭太君が学校へ行っている間に
私と友人の二人で、彼には内緒で「ライトトラップ」を仕掛けたのだ。
幸い、そこでは多くの昆虫を捕まえた。
唯一つ。気になる点を除けば概ね満足な結果だった。
その気になる点・・・。
山という事も有り、蚊が凄い。
そこで我々は、持参した「蚊取り線香」を周辺で焚き
虫取り後のバーベキューを楽しんだ。
「いやぁ、山ってだけあって標高も高いし涼しいな!」
友人の一言である。
事実、結構な山奥まで進んできた我々だが・・・。
その実、額からは汗が滴り落ちる程の蒸し暑さだったはずだ。
にも拘わらず・・・。
私の友人はソレを言う。
懐中電灯やランタンに照らされる額には汗が滲んでいるのに・・・。
隣に居る私は、これでもかと団扇を仰ぎ暑さを凌いでいるのに・・・。
圭太君も虫取りに満足したようで、バーベキューを貪るように食べ
クーラーの利いている車の中で眠っていた。
外で、炭火を囲む私と友人。
顔を突き合わせているのに、噛み合わない感情。
徐々に、何かがズレていると思い始める。
「なぁ!こんだけ涼しいんだしさ、まだ取れるんじゃねぇの?圭太、起こそうか?」
「いや、疲れがあるだろ。一日中動いてたしさ・・・。」
まるで・・・子供より子供らしくはしゃぐ友人を目の前に
先ほどまでの「大きさ」を全く感じなくなった。
友人との会話を、それとなく流しながら・・・異変を探ったその時だ。
「おい、これ・・・どうしたんだよ?」
私が、周囲を探った時、目に留まった物。
友人が「蚊取り線香」として持って来た線香・・・。
四方四隅にきっちりと並べられているが・・・
その実
「蚊取り線香」ではなく・・・「護摩線香」であったのだ・・・。
「あぁ・・・それ?家にあったのを適当に持って来たんだよ。
いい具合に煙も出てるし、蚊もよってこねぇだろ!?」
自慢げに声色を上げる友人の横で
私は大急ぎで、全ての線香を消しにかかった・・・。
驚く友人を他所に、バーベキュー道具もそのままに・・・
友人を引きずり、車へ乗せ
逃げる様にその場を去った・・・。
「護摩線香」とは・・・神仏の世界では「供養」に使われる神聖な物だ。
そして
誤った使用法でコレを使えば「供養」を求め、招かれざる客がやって来る。
あの場で、私より敏感に空気の差を感じていた彼は
・・・恐らく、護摩線香を持って来た者として・・・
「何者かにずっと、追い縋られていたのかもしれない。」
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