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筆者メカの収集話・体験談
私が「俗称(A君など)」を使わない理由。 終
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「もしもしぃ?」
友人の遠藤は既に眠って居た所なのか、気だるげに電話に出た。
「え・・・遠藤?俺・・・メカ。」
「知ってるよぉ・・・画面に空いて表示されるんだから・・・それで、何?」
「今日・・・拓真にあった・・・。」
「はぁ?・・・拓真って、鼻垂れ拓坊の?」
「そう、その拓真・・・今日、心霊系のイベントがあって、その会場で・・・」
「いや、有り得ねぇよ。」
「で、でも!」
「お前も知ってるだろぉ!?あいつの転校先。四国だぞ?四国!
ソレが何?イベント何処でやったか知らねぇけど、わざわざ其処に居たってか?」
実際、イベントが行われたのは
都内某所にある居酒屋だった。
確かに、色んな場所からイベントに参加するべく遠征に来る人達は居た。
だが・・・且つてのクラスメートと、ばったり、イベント会場で。
再会する事などあり得るだろうか?
ましてや相手は、遠方の地方からやって来る。
ひと昔前の恋愛ドラマでもあるまい。
そんな数奇な運命など、ある筈もない。
「だけどよぉ!・・・あ、あいつ
イジメの主犯は愚か、黙って見てた奴も許さねぇって言ってたって!」
「わーったよ!明後日、俺休みだから!話し聞くから!
ったく、今何時だと思ってんだよ。俺、明日早いんだよ・・・。」
「・・・ごめん。」
本当は、今この場で電話を切るのが恐ろしかった。
電話を切った後、後ろの暗がりからあいつが襲ってくるのではないか?
そんな不安でいっぱいだった。
電話を切って数分間、駅のホームで明かりに照らされ
疎らでも人の影を見て、私は安堵した。
電車に乗り込み、帰路に就く。
最寄り駅で降り、見慣れた風景を目の当たりに
私は完全に、安堵していた。
そして、二日後。
約束通り、遠藤と落ち合った私は
先日のイベントでの出来事を語った。
だが、遠藤の表情や態度は電話の時と変わらなかった。
「だからさぁ、有り得ねぇだろって。仮にそうでもどんな確率だよ!」
「だけどよ!・・・俺の話した怪談の『D君』と『E君』って・・・俺達の事なんだぞ!?
あいつ、絶対知ってて俺にあんな言葉を吐き捨てて帰ったんだ!」
一人興奮し、話す私を前に彼は極めて冷静だった。
「お前さぁ・・・似てたってだけで本人だって確証はないだろぉ?」
「・・・。」
「それにな、マジメにあり得ねぇんだよ。アイツがそのイベントに参加するのは。」
「は?」
「・・・俺のお袋、アイツの母親と親しかったんで聞いたらしいんだがな。
・・・アイツ、もう死んでるんだよ。」
「な・・・に?」
「転校ってのは表向きで・・・アイツ、自殺したらしいぞ。
そんで、お袋さんの実家が四国で、そっちで眠らせてやりたいって。
お袋さんはイジメの事、知ってたらしいぞ。」
私の思考は停止した。
今、目の前で真実を語る友人の言葉と
先日、出会った青年の鬼の形相とが入れ替わりで脳を揺さぶっていた。
「・・・あり・・・えない・・・。」
「そう、有り得ないんだよ。そもそも生きてねぇんだから。
・・・まぁ、お前の体質も俺は良く分かってるつもりだが・・・
お前は『聴こえる人』であって『視える人』じゃねぇだろ?」
その一言を聞いて、私は漸く理解した。
そう、あの青年はきっと・・・あいつと偶々、似たような境遇だったに違いない。
他人の空似、赤の他人。
その証拠に、青年は主催者によって引きずり出されていた「唯の人」だ。
・・・私以外にも見えていた。彼は紛れもなく「人」だ・・・。
決して、死人があそこに居た訳ではないはずだ・・・。
きっと、数多くの偶然が生み出した「紙一重の偶然」だったに違いない。
現に私は今日まで、平和に生きて来たのだから。
だが、今でも私は思い出す・・・。
「なぜ、イジメを止められなかったのだろうか」と・・・。
そんな出来事があった為に・・・
私は「俗称」を使うのが「恐ろしくてたまらない」のである・・・。
・・・だって、彼が帰って来そうで・・・。
友人の遠藤は既に眠って居た所なのか、気だるげに電話に出た。
「え・・・遠藤?俺・・・メカ。」
「知ってるよぉ・・・画面に空いて表示されるんだから・・・それで、何?」
「今日・・・拓真にあった・・・。」
「はぁ?・・・拓真って、鼻垂れ拓坊の?」
「そう、その拓真・・・今日、心霊系のイベントがあって、その会場で・・・」
「いや、有り得ねぇよ。」
「で、でも!」
「お前も知ってるだろぉ!?あいつの転校先。四国だぞ?四国!
ソレが何?イベント何処でやったか知らねぇけど、わざわざ其処に居たってか?」
実際、イベントが行われたのは
都内某所にある居酒屋だった。
確かに、色んな場所からイベントに参加するべく遠征に来る人達は居た。
だが・・・且つてのクラスメートと、ばったり、イベント会場で。
再会する事などあり得るだろうか?
ましてや相手は、遠方の地方からやって来る。
ひと昔前の恋愛ドラマでもあるまい。
そんな数奇な運命など、ある筈もない。
「だけどよぉ!・・・あ、あいつ
イジメの主犯は愚か、黙って見てた奴も許さねぇって言ってたって!」
「わーったよ!明後日、俺休みだから!話し聞くから!
ったく、今何時だと思ってんだよ。俺、明日早いんだよ・・・。」
「・・・ごめん。」
本当は、今この場で電話を切るのが恐ろしかった。
電話を切った後、後ろの暗がりからあいつが襲ってくるのではないか?
そんな不安でいっぱいだった。
電話を切って数分間、駅のホームで明かりに照らされ
疎らでも人の影を見て、私は安堵した。
電車に乗り込み、帰路に就く。
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私は完全に、安堵していた。
そして、二日後。
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だが、遠藤の表情や態度は電話の時と変わらなかった。
「だからさぁ、有り得ねぇだろって。仮にそうでもどんな確率だよ!」
「だけどよ!・・・俺の話した怪談の『D君』と『E君』って・・・俺達の事なんだぞ!?
あいつ、絶対知ってて俺にあんな言葉を吐き捨てて帰ったんだ!」
一人興奮し、話す私を前に彼は極めて冷静だった。
「お前さぁ・・・似てたってだけで本人だって確証はないだろぉ?」
「・・・。」
「それにな、マジメにあり得ねぇんだよ。アイツがそのイベントに参加するのは。」
「は?」
「・・・俺のお袋、アイツの母親と親しかったんで聞いたらしいんだがな。
・・・アイツ、もう死んでるんだよ。」
「な・・・に?」
「転校ってのは表向きで・・・アイツ、自殺したらしいぞ。
そんで、お袋さんの実家が四国で、そっちで眠らせてやりたいって。
お袋さんはイジメの事、知ってたらしいぞ。」
私の思考は停止した。
今、目の前で真実を語る友人の言葉と
先日、出会った青年の鬼の形相とが入れ替わりで脳を揺さぶっていた。
「・・・あり・・・えない・・・。」
「そう、有り得ないんだよ。そもそも生きてねぇんだから。
・・・まぁ、お前の体質も俺は良く分かってるつもりだが・・・
お前は『聴こえる人』であって『視える人』じゃねぇだろ?」
その一言を聞いて、私は漸く理解した。
そう、あの青年はきっと・・・あいつと偶々、似たような境遇だったに違いない。
他人の空似、赤の他人。
その証拠に、青年は主催者によって引きずり出されていた「唯の人」だ。
・・・私以外にも見えていた。彼は紛れもなく「人」だ・・・。
決して、死人があそこに居た訳ではないはずだ・・・。
きっと、数多くの偶然が生み出した「紙一重の偶然」だったに違いない。
現に私は今日まで、平和に生きて来たのだから。
だが、今でも私は思い出す・・・。
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そんな出来事があった為に・・・
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・・・だって、彼が帰って来そうで・・・。
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