if you wanna... ~君が願うなら~

メカ

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校舎防衛

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校門に辿り着いた虹色と新ケ谷。
校門を守ると豪語した物の、その為の道具類は全て
体育館組の到着待ちだ。

「茨君、これからどうするんだ!?」

「えっと・・・え~っと。と、とにかく連中が来たら両端を抑えて開かないようにします!」

先ほどと打って変わって、勝ちを確信した者の言葉とは思えない無謀さだ。
しかし、現状はそれで十分だ。
校舎から見たゾンビの集団は、ざっと見15人程度。後方からも来ているようだったが
それらの合流は少し後になるだろう。
元々、学校の校門は鉄製で頑丈な上に重い。思考の死んだゾンビ風情が15人集まった所で
突破は不可能だ。
それよりも、このゾンビが映画やアニメと同じモノであるならば
自身の身の安全の方が懸念される。

「来ます!新ケ谷さん。そっち側よろしく!」

「おう!」

掛け声と共に、間髪を開けず悲痛なうめき声と校門にこれでもかと打ち付けられる体の振動。
その声は鼓膜から、その振動は校門を抑える手から
じわじわと精神的なダメージを与えて来る。
捕まれば一貫の終わり。連中と変わらない・・・歩く死体の仲間入り。
痛覚もないその体は、後ろから来るゾンビにまるで押し付けられるかのように校門を揺らす。
校門から滴る血の量も少しづつ増えていく。
その光景に、汚い。気持ち悪い。これ以上見ていられない、見たくない。という思いが
巡り巡って脳内を反芻するのだ。

「虹色ぉ!」

言葉に反応し振り返った先には、昇降口前の階段から両手で大きな丸を作る正春の姿があった。
しかし、安堵している余裕はない。少しずつ増えるゾンビの量に
校門の下のレール部分が揺れ始めているのだ。
いくら両端から抑えているとはいっても、このままではレールが脱輪し突破されてしまいかねない。
ここに来て、膨大な冷や汗が額から滴り落ちる。

「待たせたね!」

その時、真っ先に駆けつけてきた大きな人影。
その手には、綱引き用のロープが握られていた。

「これで、校門をぐるっと縛ってしまおう!そうすれば突破されない!」

そういうと、彼は足元の隙間からロープを通し、そのままゾンビに気付かれる事無く足元で
校門を一括りに縛り上げた。
しかし、予断は許されていない。校門の中央が破られる事は無くなったが
このまま校門ごと押し切られてしまえば負けだ。
だが、応急処置には十分すぎるほどの縛り加減だ。

「貴方は・・・。」

「俺は、千羽。『千羽 航』。元消防士さ。他の皆も軽い物から順に運ぶよう指示したから
もうすぐ駆けつけてくれる!少しづつ強固なものにしよう!」

千羽の登場はその場の空気を一変させるには十分だった。
心の折れかけていた虹色の瞳には更なる闘志が蘇る。

「行ける!このまま乗り切ろう!新ケ谷さん!」

「お、おう!」

「や、やめろぉ!ぎゃぁぁぁ!放せっ!放せぇ!」

闘志燃え滾るも束の間。

後方から聞こえる悲鳴、飛び跳ねる鼓動。その一瞬で吐きそうにもなった。
ある訳がない。そんな事。完璧なはず。
そう願いつつも後方へ目を向けた時。
新たに加勢に来ようと来ていたメンバーを襲うゾンビ。
倒れ込む仲間、そこに群がる数人の死体。

「・・・て、撤退だ!もう良い!逃げるぞ!」

俺は、雄叫びの様に吠え
新ケ谷、千羽もそれに続くように走り出した。

「体育館組!撤退しろぉ!昇降口に走れぇぇ!」

「ぎゃぁぁぁぁ!」

「こ、この。こいつめぇ!死ね、死ねぇ!」

「お、おい!助けてくれぇ!頼む、頼むよぉぉぉ!うわ、辞めろ!あぁぁぁぁl!」

道中、体育館裏に回った連中にも聞こえるように叫んだが
時は既に遅かった。
連中は何処からともなく現れ、そして裏を画く様に体育館組を襲っていた。
此方も生きるのに必死だ。
俺は、目が合い助けを求める声を断ち切り、階段を上った。
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