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日没
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「正春!モップで鍵!」
「おうさ!」
息を切らせながらも、俺は顔を上げ生存数を確認。
生き残ったのは自身を含めて8名だ。
「体育館には何名いたのですか・・・。」
「・・・各班のリーダーと気象観測班・・・ざっと合わせても30~40は居たんじゃないか?」
「総クルーの約一割も・・・。」
「ま、まだだ。まだ安全じゃない。」
「虹色?」
「正春、誰か二人連れて、裏口のバリ、頼む!残りは此処のげた箱ひっくり返して扉の前に!」
言い終わると同時に足の力が抜け、その場に崩れ込んだ。
幸い、生き残った屈強な男たちによって俺の出した指示は迅速に進められた。
だが、俺はその場で意識を失い、医務室へと運ばれた。
医務室にて目を覚ますと、俺が気を失っていたのは数分間だったという。
しかし、医務室越しに見える、ゾンビによる校門突破の瞬間は
俺にとっては唯の絶望感だけでは言い表す事が出来なかった。
真っ先に立ったのは敗北感そして、その敗北を追い抜くように焦燥が、そして
立て篭もるしか選択できなかった自身への無力感であった。
これではまるで「袋のネズミ」。
逃げ場など何処にもなかった。
しかも、目を覚ました俺に医師は一日安静という枷を施したのである。
校庭を我が物顔で歩くゾンビたちは、最初程の勢いを感じず
得物が居ない事への脱力を現しているようだ。まるで週明けのサラリーマンのようだ。
そして、俺はある事に気が付く。
「校門前で襲われた奴・・・動いてないな・・・。」
「当然でしょうが、死んでるんだから。死んでるのに動いてる方が異常だっての。」
間髪入れずに、医師の突っ込みが入ったが俺が気になったのはまさにそこだ。
現に死人は歩いている。なのに襲われた連中はそのままなのだ。
「そのうち動く・・・とでもいうのか?」
俺はそれが気になり、医務室の窓に張り付いたまま観測を続けた。
時間は進み、既に日没だ。
だが、襲われた者が動き出す事は無かった。
それどころか、時間が経つに連れ、ゾンビの数が減っているのだ。
「窓ガラス一枚あったって安心はできない。ほら、何時までも張り付いてないで退きな。」
そういうと医師は、カーテンを閉め下の部分をガムテープで貼り付けた。
「視力が生きてるのかしらないけどさ・・・見えてなかったとしても、そもそもこっちの姿を見せない方がいいのさ。こういうのは。」
そもそも連中が、何を頼りに人を襲ったのか不明なままなのだ。
医師の判断は正しい。
生きている人間の情報というものは「視力」によるものが9割を占めるそうだ。
それが死人に当てはまるかは別としても
病人側にしてみれば「見えない安心感」は存在するものだ。
「ここは複数の医師が交代で見張ってる。アンタもさっさと寝ちまいな。・・・寝れるうちに。」
医師に促されベットに戻るが、最初は寝付けなかった。
しかし、一連の事件を思い返す内に、眠っていた様だ。
「おうさ!」
息を切らせながらも、俺は顔を上げ生存数を確認。
生き残ったのは自身を含めて8名だ。
「体育館には何名いたのですか・・・。」
「・・・各班のリーダーと気象観測班・・・ざっと合わせても30~40は居たんじゃないか?」
「総クルーの約一割も・・・。」
「ま、まだだ。まだ安全じゃない。」
「虹色?」
「正春、誰か二人連れて、裏口のバリ、頼む!残りは此処のげた箱ひっくり返して扉の前に!」
言い終わると同時に足の力が抜け、その場に崩れ込んだ。
幸い、生き残った屈強な男たちによって俺の出した指示は迅速に進められた。
だが、俺はその場で意識を失い、医務室へと運ばれた。
医務室にて目を覚ますと、俺が気を失っていたのは数分間だったという。
しかし、医務室越しに見える、ゾンビによる校門突破の瞬間は
俺にとっては唯の絶望感だけでは言い表す事が出来なかった。
真っ先に立ったのは敗北感そして、その敗北を追い抜くように焦燥が、そして
立て篭もるしか選択できなかった自身への無力感であった。
これではまるで「袋のネズミ」。
逃げ場など何処にもなかった。
しかも、目を覚ました俺に医師は一日安静という枷を施したのである。
校庭を我が物顔で歩くゾンビたちは、最初程の勢いを感じず
得物が居ない事への脱力を現しているようだ。まるで週明けのサラリーマンのようだ。
そして、俺はある事に気が付く。
「校門前で襲われた奴・・・動いてないな・・・。」
「当然でしょうが、死んでるんだから。死んでるのに動いてる方が異常だっての。」
間髪入れずに、医師の突っ込みが入ったが俺が気になったのはまさにそこだ。
現に死人は歩いている。なのに襲われた連中はそのままなのだ。
「そのうち動く・・・とでもいうのか?」
俺はそれが気になり、医務室の窓に張り付いたまま観測を続けた。
時間は進み、既に日没だ。
だが、襲われた者が動き出す事は無かった。
それどころか、時間が経つに連れ、ゾンビの数が減っているのだ。
「窓ガラス一枚あったって安心はできない。ほら、何時までも張り付いてないで退きな。」
そういうと医師は、カーテンを閉め下の部分をガムテープで貼り付けた。
「視力が生きてるのかしらないけどさ・・・見えてなかったとしても、そもそもこっちの姿を見せない方がいいのさ。こういうのは。」
そもそも連中が、何を頼りに人を襲ったのか不明なままなのだ。
医師の判断は正しい。
生きている人間の情報というものは「視力」によるものが9割を占めるそうだ。
それが死人に当てはまるかは別としても
病人側にしてみれば「見えない安心感」は存在するものだ。
「ここは複数の医師が交代で見張ってる。アンタもさっさと寝ちまいな。・・・寝れるうちに。」
医師に促されベットに戻るが、最初は寝付けなかった。
しかし、一連の事件を思い返す内に、眠っていた様だ。
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