if you wanna... ~君が願うなら~

メカ

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ダンシング・ストリート

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「急いでくれ!」

「そ、そう言われてもよぉ!」

「そこの角を左だ!」

「お、重いぃ~。」

学校施設から逃げ出した二人。
虹色が迫るゾンビの露払い。仙堂が大山隊員をおぶっての移動。
遅々として目的地までは進まず、休みながらの航路。
仙堂の額からは大粒の汗が流れている。
変われるものなら変わりたいが、体力を奪われている仙堂に今から露払いを任せるのも
正直な所、怖い。
前から迫るゾンビよりも、圧倒的に後ろから迫るゾンビの方が多くなる。
少しでも、距離を稼がねば雨を追って移動するゾンビの集団に取り囲まれてしまう。

「仲間がコンビニで待ってるはずなんだ、そこまで頑張ってくれよ。」

「分かってる。茨はゾンビに集中しててくれ。俺もなるべく急ぐから。」

「・・・すまん。」

「謝るなよ、俺だって皆に謝罪したい事は山の様にあるさ。」

「・・・。」

「あの音は何だ?」

「え?」

もうすぐ、十字交差点に差し掛かろうという時
どこからか、軽快に走って来るような足音が聞こえた。

「例の仲間か?」

「いや・・・まさか・・・。」

赤い雨が降り、ゾンビが活性化している中
わざわざ何処に居るかも分からない俺を探しに来るほど、愚かな選択を彼らがするとも思えない。
そんな選択をするようなメンバーならとっくに死んでいただろう。

妙な胸騒ぎを覚える。
だが、軽快な足音は少しずつ、近付いて来るのだ。
その足音に合わせ、心拍が上がっていくのが分かる。
耳のすぐ横で、鼓膜を振動させる音・・・それが心拍だと気づいた時
俺は、全身に力を込めていた。

次の瞬間
立ち止まっていた二人は、目を見開いたまま唖然とした。
眼前に捉えた光景があまりにも理解不能だったからだ。

「な、なんだ・・・アレってもしかして・・・。」

「!」

仙堂の言葉を聞き終えるより先に、虹色は走り出していた。
前傾姿勢で身を低く、木刀の柄に手を添えて・・・。
この一瞬、虹色は直感していた。
「ソレ」を放置しておけば、後々とんでもない事になると。
今ここで始末しなければ。と

眼前に現れた「ソレ」は
競技用のハーフパンツを履き、タンクトップに身を包んだゾンビであった。
身体の至る所から出血をしながら、十字交差点に優雅に走り込んできた様を
二人は見たのだ。
そして、そのゾンビは走って来る虹色を眼中に捉えると
クラウチングスタートで走り出した。

「ゾンビ風情が!っざけんな!」

虹色の木刀から放たれる居合「横一閃」
「ドチャッ」という鈍い音と共に、静まり返る・・・。
だが、全てを後ろで見ていた仙堂が叫ぶ。

「茨!後ろだぁ!」

しかし、仙堂の声は耳に届かなかった。
虹色の木刀は、何かに触れた感触を残さず、空を切ったのだ。
にも拘わらず、目の前の障害が排除された事に、虹色は混乱していた。

「な・・・何だ。今、何が起きたんだ・・・。」

全てを見ていた仙堂は、より一層深刻に叫ぶ。

「茨ぁ!」

横一閃の直前、アスリートゾンビは高跳びの要領で虹色ごと木刀を避け
背後に落ちてきたのだ。

仙堂の呼びかけに応じ振り返った時
アスリートゾンビは既に立ち上がっていた。
その足元には、着地時に飛び散ったであろう血がその現実を物語っていた。
アスリートゾンビの顔面は上半分程が潰れ、原形を留めていない。
しかし、ゾンビは後ろに向き直し仙堂たちの方を向くと
にやりと笑い、再びクラウチングポーズをとった。

直後、「マズい!」と振り下ろした虹色の木刀は
再び、ゾンビを捉える事無く空振りした。

「う、嘘だろ!?おい、来るな。ぅわぁぁぁぁ!」

仙堂は自身の最後を覚悟し、その場に倒れ込み身を丸めた。
しかし、ゾンビが襲ってくる事は無かった。
頭部の潰れたゾンビは道半ばで倒れ込み活動を停止したのだ。

「・・・大丈夫か?仙堂。」

「・・・あぁ。アイツ、もう動かないんだよな・・・?」

「多分。」

「は、早い所、お仲間に合流した方が良さそうね。」

「あぁ、力仕事を任せて悪いがあと少しなんだ。やってくれるか?」

「お、おう。すぐ準備する。」

ここに来てイレギュラーに見舞われてしまったが
皆の待つコンビニは目と鼻の先。
これ以上、皆に不安を掛けないためにも。と先を急ぐ二人であった。
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