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葬儀業者「島さん(仮名)」の話。
炉に居座る者。 1/2
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葬儀業者に勤める「島さん」。
彼との出会いは、若くして亡くなった父の葬儀だった。
第一印象は「怖い人」だった。
なぜなら、黒いスーツ姿にスキンヘッド。そして、細身で170以上あろう身長。
年齢は40代後半という「威圧感満載」の出立だったからだ。
だが、その印象は直ぐ間違いである事に気付かされる。
葬儀の最中、家族と同じように葬儀場の隅で涙する彼を
私は見てしまったからだ。
そして、彼から心霊体験を聞くきっかけとなった出来事が起きる。
葬儀は進み、ついに私が焼香を行う番となる。
父の遺影を前に、香を一つまみしたその時。
「お前・・・しっかりやれよ。」
まぎれもない父の声でした。
その言葉を耳元で聞いた時、私は驚き遺影に目を向けました。
しかし、変化などある訳もなく・・・次の事を考え、足早に席へ戻ろうとした時に
ちらっと見えたスキンヘッド。
彼もまた、目を見開きこちらを見ているのです。
式が終わり、食事の席にて
私は、島さんにこう告げた。
「あれが父の声です。」
島さんは、動きを止め、まるで時間が止まったような反応でした。
「聞こえたんですよね?父の声。」
「・・・はい。」
「怖がる必要は無いと思いますよ。・・・元々、父はのんびりした人でしたから。」
「・・・いえ、実はこういう仕事をしていると・・・その・・・。
トラウマと言いますか、怖い目にも合うんです。それを思い出してしまって・・・。」
そうして、彼は自身の恐怖体験を語り出したのである。
数年前の話
彼が葬儀屋に勤め出してから半年が過ぎた頃。
彼は、炉の清掃担当をしていたそうだ。
炉の二十扉を開き、中に入り炉にこびり付いた煤や灰を清掃する事が主な業務。
その他にも、炉が正常に動くかどうかのメンテナンスも任されていたという。
その日も、彼は炉の内部に入り、掌サイズの放棄とヘラを持って
掃除に当たっていたという。
炉の内部は熱にも耐えられる鋼鉄製だ。
ヘラでこすれば、最悪「黒板をひっかいた様な音」もするという。
そして、もし前日に炉が使われていた場合
一日経っていたとしても、炉の中は熱がこもり蒸し暑いままなのだそうだ。
そして・・・
お決まりの、ヘラの異音を聞きながら、一息ついた時
彼は真後ろから「フフッ」という女性の声を聞いたという。
その音は、何時も聞くヘラの異音にも近い為
一瞬、自分が力み過ぎたのか?と疑問に思ったそうだ。
しかし、その次に聞こえて来たのは
ガラガラガラ。という乾いた音だ。
彼は一瞬にしてパニックになったそうだ。
その音は聞き覚えのある物だったからだ。
炉の内扉が下りてきているのだ。
マズイ!そう感じた時にはもう遅かった。
だが、最近の火葬場はシステム的にも優秀であり
二重扉を両方閉めなければ、火が入る事は無い。
・・・しかし、彼が働いていた所は、老舗。
そんなハイテクなシステムは備わっていない。
内扉一枚を閉めた時点で、火を入れる事が可能になるそうだ。
扉も、火も別室にて操作しなければどうなる事もない。
彼は必至で、助けを求めたそうだが
最悪な事に、炉には火が入ったそうだ。
今まで以上に、扉に拳を叩きつけ、助けを求めた結果
異変に気付いた他の職員によって助けられたという。
その時、炉の操作パネルを使用していた老年の職員が
手違いによって重大インシデントを起こした事になり、その老年はクビになったそうだ。
だが、彼の語る恐怖はこれで終わりではなかった・・・。
彼との出会いは、若くして亡くなった父の葬儀だった。
第一印象は「怖い人」だった。
なぜなら、黒いスーツ姿にスキンヘッド。そして、細身で170以上あろう身長。
年齢は40代後半という「威圧感満載」の出立だったからだ。
だが、その印象は直ぐ間違いである事に気付かされる。
葬儀の最中、家族と同じように葬儀場の隅で涙する彼を
私は見てしまったからだ。
そして、彼から心霊体験を聞くきっかけとなった出来事が起きる。
葬儀は進み、ついに私が焼香を行う番となる。
父の遺影を前に、香を一つまみしたその時。
「お前・・・しっかりやれよ。」
まぎれもない父の声でした。
その言葉を耳元で聞いた時、私は驚き遺影に目を向けました。
しかし、変化などある訳もなく・・・次の事を考え、足早に席へ戻ろうとした時に
ちらっと見えたスキンヘッド。
彼もまた、目を見開きこちらを見ているのです。
式が終わり、食事の席にて
私は、島さんにこう告げた。
「あれが父の声です。」
島さんは、動きを止め、まるで時間が止まったような反応でした。
「聞こえたんですよね?父の声。」
「・・・はい。」
「怖がる必要は無いと思いますよ。・・・元々、父はのんびりした人でしたから。」
「・・・いえ、実はこういう仕事をしていると・・・その・・・。
トラウマと言いますか、怖い目にも合うんです。それを思い出してしまって・・・。」
そうして、彼は自身の恐怖体験を語り出したのである。
数年前の話
彼が葬儀屋に勤め出してから半年が過ぎた頃。
彼は、炉の清掃担当をしていたそうだ。
炉の二十扉を開き、中に入り炉にこびり付いた煤や灰を清掃する事が主な業務。
その他にも、炉が正常に動くかどうかのメンテナンスも任されていたという。
その日も、彼は炉の内部に入り、掌サイズの放棄とヘラを持って
掃除に当たっていたという。
炉の内部は熱にも耐えられる鋼鉄製だ。
ヘラでこすれば、最悪「黒板をひっかいた様な音」もするという。
そして、もし前日に炉が使われていた場合
一日経っていたとしても、炉の中は熱がこもり蒸し暑いままなのだそうだ。
そして・・・
お決まりの、ヘラの異音を聞きながら、一息ついた時
彼は真後ろから「フフッ」という女性の声を聞いたという。
その音は、何時も聞くヘラの異音にも近い為
一瞬、自分が力み過ぎたのか?と疑問に思ったそうだ。
しかし、その次に聞こえて来たのは
ガラガラガラ。という乾いた音だ。
彼は一瞬にしてパニックになったそうだ。
その音は聞き覚えのある物だったからだ。
炉の内扉が下りてきているのだ。
マズイ!そう感じた時にはもう遅かった。
だが、最近の火葬場はシステム的にも優秀であり
二重扉を両方閉めなければ、火が入る事は無い。
・・・しかし、彼が働いていた所は、老舗。
そんなハイテクなシステムは備わっていない。
内扉一枚を閉めた時点で、火を入れる事が可能になるそうだ。
扉も、火も別室にて操作しなければどうなる事もない。
彼は必至で、助けを求めたそうだが
最悪な事に、炉には火が入ったそうだ。
今まで以上に、扉に拳を叩きつけ、助けを求めた結果
異変に気付いた他の職員によって助けられたという。
その時、炉の操作パネルを使用していた老年の職員が
手違いによって重大インシデントを起こした事になり、その老年はクビになったそうだ。
だが、彼の語る恐怖はこれで終わりではなかった・・・。
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