骸行進

メカ

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タクシードライバー 「藤原さん(仮名)」の話

タクシー 終

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タクシーが、環七に入ってしばらくの時だ。
酔っていたお客が、突然
「目的地を変更してくれ!」と騒ぎ出した。

その手には携帯が握られていた。
どうやら、二軒目で飲み直そうとしていた所を家族に止められたようだった。

そして、とある陸橋の下を潜って直進したんだ。

その時だった。

「アブねぇ!」

交差点を飛び出してきたのは、小学生の高学年くらいの子だった。
当然、急ブレーキは踏んださ。
だが・・・間に合わなかったんだよ。

「ゴンッ!」っていう鈍い音と一緒に、強めの衝撃が来てさ。

その時、一瞬にして「やっちまったぁ~。」って血の気が引いたさ。

確認するために、外に出て
周辺を探したんだが・・・。そこには、子供は愚か動物一匹すら居なかったんだよ。
でも、フロント部分は明らかにへこんでてさ。

そんなはずないって、頭の中では分かってるんだけど
車の下にも何もないし
余計に謎で・・・。

少し呆然としてたんだけどね。
ふと、タクシーのお客さんに目が行って
やべぇと思ったさ。ケガでもされてたら一大事だしねぇ。

慌てて駆け寄って、扉を開けて・・・安否確認したのよ。
お客さんは相変わらず、項垂れてはいたけど片手を上げて「大丈夫。」ってね。
それよりもっと確認した方が良いって言われたもんで、改めて確認したんだけどねぇ。
何もないのよ。
呆然としてても埒が明かないし、他の車の迷惑にもなるから
運転席側に移動して、出発しようとした。

でも、バックミラーを見て、ギョッとしたよ。

・・・乗ってた酔っ払いのサラリーマンまで姿消えてるんだからね・・・。

振り返って肉眼でも確かめたさ。
でも、誰も居ないんだよ・・・。

とにかく、フロント部分の凹みだけでも、上司に報告せにゃならんと
会社まで行こうとしたその時よ。

シフトレバーを「P」から「D」に切り替えて、アクセル踏み込んだ時・・・。

ギュワァァァァ!ドンッ!

対向車線を走っていた車に追突されたんだよ。

幸い、向こうも急ブレーキを踏んで、こっちも発進直後って事で
スピードも出ていなかったから、互いに軽傷で済んだんだけどねぇ。

・・・そのトラックの運ちゃんも
「子供が飛び出してきた」っていうんだよね・・・。

・・・・・

これが、藤原さんが経験した恐怖体験だ。

だが・・・
真夜中の一時に・・・環七を、子供が飛び出してくる。
何てことがあり得るだろうか?
・・・普通はあり得ない事である。

そして、後日分かった事らしいのだが・・・

環七の上に掛かるとある陸橋は
飛び降り自殺の名所だと言われているそうだ。

陸橋を越えた直後に起きた出来事・・・。
もし、あそこでもう少し藤原さんが粘って居たら・・・
生身で、トラックと衝突していたら?
「彼等」に連れていかれていた事は、疑いようがないだろう・・・。
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