骸行進

メカ

文字の大きさ
17 / 336
筆者(メカ)の経験談。

タイムカプセル 終

しおりを挟む
一通りの話を終えた後、私は
目の前の机に置かれていたボイスレコーダーに手を伸ばした。

2人に了解を経て
X氏に、会話の内容を送るべく録音していたのだ。

そして、話を整理し
言い忘れた事や付け足したい事が無いか
確認の為、一から流した。

その中には、我々3人の討論する声だけであり
私が「もっちゃん」の傍で聞こえている「男」の声は一切入っていなかった。

それがまた、奇妙なのである。

皆さんは「霊」という存在が「電子機器」に影響を与える事はご存じだろうか?
なぜなら「霊体」とは即ち「電磁波」のような存在である。と考えられている。
その為「電子」や「電波」と言った物に、干渉可能である。とされているのだ。

つまり
直ぐ目の前で、これだけはっきり聞こえる声が
電子機器であるボイスレコーダーに異変を起こしていない事
それ自体が、異例の事である。

話をしている最中、延々と嘆きや恨みといった言葉を口にしている「男」だ。
録音したレコーダーの内容が
殆どノイズで聞こえない。などが起きても不思議ではないのだ。

だが、これまでの異変に怯える「もっちゃん」を前に
今までにない事が起きている。とはとても言えなかった。

一連の聞き取りを終え、私は彼に

「X氏にレコーダーを送って回答が来るまで、早くても2~3日かかる。」とだけ伝え
彼を宥めつつ、その日を終える事となった。

だが・・・。

その日の帰りの事だ。
「もっちゃん」は交通事故に巻き込まれ、軽傷ではあったがケガを負った。と
遠藤から連絡が入ったのだ。

いよいよ、良くない動きを見せて来た「男」について
私は、X氏を急かす事を決めた。

しかし・・・。

結論から言ってしまうと
「もっちゃん」の元に、X氏の鑑定結果が届く事は無かった。
この時、運悪く
X氏の元には、急を要する案件が5件も来ていたという。
その結果、私の元に鑑定結果が届いたのは、依頼を出してから一年後の事であった。

そして、その一年の間に
「もっちゃん」は高校生の時に患った持病によってこの世を去っていたのだ。

私が、この事実を知ったのは
学生時代の有志によって企画された簡易的な同窓会の席で
社会人になってからも彼と親しくしていたクラスメートからの情報であった。

そして、これは
完全な後日談であるが・・・
「もっちゃん」は、仕事の合間にユーチューバーを行う為に
数多くの心霊スポットに出かけていたのだという。

・・・そんな彼の映像が世に出る事は無かった。

話によると
動画編集の為に、数人の友人に声を掛け
作業の手伝いをお願いしていたそうだが
社会人で忙しいこともあり、誰も都合が付かなかったのだという。

結果的に、お蔵入りとなってしまったその映像作品が
彼の晩年を捉えている、何とも悲しい遺品となってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

(ほぼ)5分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ5分で読める怖い話。 フィクションから実話まで。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...