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筆者(メカ)の経験談。
見知った顔 3
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我々5人は、動かなくなった車を一旦諦め、残りのルートを徒歩で巡る事にした。
幸い、徒歩でも十分に歩ける距離だ。
我々は、各々懐中電灯を照らしながら、思い出話に浸りつつ前に進んだ。
一本目のトンネルを抜け、雑木林のようなルートに差し掛かった時。
私の恐怖はメーターを振り切った。
・・・聞こえるのだ。
進行方向の先、二本目のトンネルがあるであろう前方から
金切声のような女性の叫び声が。
今まさに、強盗にでも襲われ刺されんばかりの「ぎゃぁぁぁ!」という悲鳴が。
その声が聞こえた瞬間、私は無言のまま驚いていた。
しかし、私を気にかけていた遠藤は、私のその小さな挙動を見逃さなかった。
皆の少し後ろを歩く私の横に付き、彼は小声で
「大丈夫か?・・・ここ、本当に大丈夫なのか?」と確認をしてきた。
私は遠藤のその質問が全く耳に入っていなかった。
女の叫び声を聞きながら、不用心にもどんどん進んで行く友から離れない様
歩くので精一杯だった。
私も此処に至るまで、多くの「声」を耳にしてきた。
だが、此処で聞いた声ほど、悲痛な叫びは滅多に聞いたことがない。
雑木林を中ほどまで進んだ時だった。
なんと、我々の他にも先客がいたようで
3人組の男女と鉢合わせになったのだ。
その3人の話では
我々と同じく、肝試しに来たは良いが車が急に止まり途方に暮れていたという。
だが、私はこの3人に違和感を覚えた。
というのも、その中の一人の男が杉本と親し気に話しているのだ。
顔を見ると、私の記憶の片隅にも「その男」の顔があった。
そう、彼もまた
同じ高校に通っていたメンバーだったのだ。
・・・だが・・・。
「その男」の顔は、はっきりと覚えているのに「名前」が出てこないのだ。
しかし、「その男」は杉本だけではなく遠藤や他のメンバーとも親しく話していた。
で、あるならば
「名前」が出てこないなど失礼にも程がある。
長年の友である遠藤とも親しい男だ。きっと自分とも浅からぬ縁のハズ。
だが。
どれだけ頭を捻っても、男の名前は出てこなかった。
「丁度いい。お前ら5人も肝試しで来たんだろ?
俺等、先のトンネルでビビッて渡れなかったんだよ。一緒にどうだ?」
「お、いいねぇ!行こうぜ!」
その「見知った顔」と杉本はどんどんと話を進めていき
我々は、八人で二本目のトンネルを目指す事となった。
そうして、たどり着いた二本目のトンネルを目の前に
私はとうとう、気分を害し嘔吐するほどだった。
遠藤の肩を借りて、入り口から中を見物するも
相変わらず、女の叫び声がするのだ。
しかも、その声はトンネルのせいもあって反響している為
何人もの叫び声の様に感じるのだ。
・・・ここで辞めて置けば良かった。
・・・ここで気づいて置くべきだった。
その異変に気付いた時、私は心底後悔したことを覚えている。
幸い、徒歩でも十分に歩ける距離だ。
我々は、各々懐中電灯を照らしながら、思い出話に浸りつつ前に進んだ。
一本目のトンネルを抜け、雑木林のようなルートに差し掛かった時。
私の恐怖はメーターを振り切った。
・・・聞こえるのだ。
進行方向の先、二本目のトンネルがあるであろう前方から
金切声のような女性の叫び声が。
今まさに、強盗にでも襲われ刺されんばかりの「ぎゃぁぁぁ!」という悲鳴が。
その声が聞こえた瞬間、私は無言のまま驚いていた。
しかし、私を気にかけていた遠藤は、私のその小さな挙動を見逃さなかった。
皆の少し後ろを歩く私の横に付き、彼は小声で
「大丈夫か?・・・ここ、本当に大丈夫なのか?」と確認をしてきた。
私は遠藤のその質問が全く耳に入っていなかった。
女の叫び声を聞きながら、不用心にもどんどん進んで行く友から離れない様
歩くので精一杯だった。
私も此処に至るまで、多くの「声」を耳にしてきた。
だが、此処で聞いた声ほど、悲痛な叫びは滅多に聞いたことがない。
雑木林を中ほどまで進んだ時だった。
なんと、我々の他にも先客がいたようで
3人組の男女と鉢合わせになったのだ。
その3人の話では
我々と同じく、肝試しに来たは良いが車が急に止まり途方に暮れていたという。
だが、私はこの3人に違和感を覚えた。
というのも、その中の一人の男が杉本と親し気に話しているのだ。
顔を見ると、私の記憶の片隅にも「その男」の顔があった。
そう、彼もまた
同じ高校に通っていたメンバーだったのだ。
・・・だが・・・。
「その男」の顔は、はっきりと覚えているのに「名前」が出てこないのだ。
しかし、「その男」は杉本だけではなく遠藤や他のメンバーとも親しく話していた。
で、あるならば
「名前」が出てこないなど失礼にも程がある。
長年の友である遠藤とも親しい男だ。きっと自分とも浅からぬ縁のハズ。
だが。
どれだけ頭を捻っても、男の名前は出てこなかった。
「丁度いい。お前ら5人も肝試しで来たんだろ?
俺等、先のトンネルでビビッて渡れなかったんだよ。一緒にどうだ?」
「お、いいねぇ!行こうぜ!」
その「見知った顔」と杉本はどんどんと話を進めていき
我々は、八人で二本目のトンネルを目指す事となった。
そうして、たどり着いた二本目のトンネルを目の前に
私はとうとう、気分を害し嘔吐するほどだった。
遠藤の肩を借りて、入り口から中を見物するも
相変わらず、女の叫び声がするのだ。
しかも、その声はトンネルのせいもあって反響している為
何人もの叫び声の様に感じるのだ。
・・・ここで辞めて置けば良かった。
・・・ここで気づいて置くべきだった。
その異変に気付いた時、私は心底後悔したことを覚えている。
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