骸行進

メカ

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タクシードライバー 「藤原さん(仮名)」の話

泊まるホテル 終

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肩を落とし部屋へと帰った藤原さんを更なる異質が襲ったのは、深夜2時ごろだったという。
真隣の部屋から男女数人が大声で談笑する声が聞こえて来たそうだ。

隣の部屋の客らは偉く酔っているのか
時間も気にせずゲラゲラ笑ったり、手足を鳴らして騒いでいたという。

朝も仕事が控えている藤原さんは、フロントへ赴いた。

「隣の部屋のお客さんなんだけどさ・・・何とかしてくれよ、こっちは仕事の為に休んでるのに
部屋でどんちゃん騒ぎ・・・。眠れねぇんだよ!」

「す、直ぐに確認に向かいます!」

従業員と隣の部屋の前まで来ると、そこはもうクラブのような騒ぎだったという。

「お客様、此処から先は私共で対応させていただきますので、お部屋でごゆっくりお休みください。」

「そう?んじゃ、頼んだよ。」

その後30分程は静かな状態が続いたそうだが
隣の客は再び、ボリュームある声で会話を始めたという。

「・・・冗談じゃねぇよ・・・。」

藤原さんは、部屋から出ると隣の部屋の扉をノックした。
当然、文句を言う為だ。
だが、騒音客は誰一人出てこなかったという。

再びフロントへ行った藤原さんだったが、ここでありえない事が起きたそうだ。

「なぁ!さっき頼んだ部屋なんだけどさぁ!またうるさくて叶わねぇよ!何とかしてくれよ。」

だが、そこに立っていたのは先ほどとは違う従業員。
しかもかなり息を切らせていたそうだ。

「お、お客様。どうなさいましたか?」

「・・・おい、アンタ。大丈夫かよ?」

「あ、いえ。お気になさらずに。」

「いやいや、顔真っ青じゃんかよ。どうしたんだよ?」

明らかに普通じゃないその疲弊度に藤原さんは突っ込まずにはいられなかった。

その従業員から聞いた話だが
先ほどまでいた従業員はいきなり本社に辞職の念を伝えると
業務中にも拘らず静止を振り切り帰ったというのだ。
そして、急遽代わりの人員として呼びつけられたのが彼だという。

その時、藤原さんは苦情を入れた時の態度が悪かったか?と一瞬困ったそうだが
どうやらそうではなかった。

「それで、お客様のご要望ですが。」

・・・・・・・・・・。

「・・・どういう事だよ。」

フロントで説明を受け、実際に現場に足を運んだ藤原さんは絶句したそうだ。

なぜって?
騒音で五月蠅かった隣の部屋は
完全な倉庫として使用されており、客室としては使われていなかったそうだ。
当然、そんな部屋に泊っている客など居る訳もなく・・・。

そして、従業員が呟くように言ったそうだ。

「僕がこのホテルで働く前なんですけど・・・。何処かの部屋で複数人の練炭自殺があったそうです。
でも、もうその部屋は存在してないって聞いてたんだけどなぁ・・・。まさかここか?」

「おい、冗談じゃないよ。そんな部屋の横で寝れるか。変えてくれよ。」

「わ、分かりました。空き部屋の確認をしますので、お客様はお荷物をもってフロントへ。」

「おう、ありがとよ。」

荷物を取りに戻った藤原さんは何処が噂の部屋なのか、一瞬で分かったそうだ。

部屋に戻り扉を開けるとそこには
半透明の男女数人が、ベットを囲って立っていたというのだから・・・。
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