骸行進

メカ

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「憑き人」

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今回の話は、芸能関係の仕事に就いている、とあるカメラマンの話だ。

便宜上、彼を「Kさん」と呼ぶ。

ある仕事の打ち合わせの為、Kさんは東京の新宿まで来ていたそうだ。
この日は彼にとって、かなり大変な1日だったそうだ。
というのも、新人のカメラマンの研修を任され
初日から現地集合。という状態であったそうだ。
当然、新人よりも後に到着など恰好が付かない。

しかし、急いでいる時に限って
信号などに引っかかり、時間ばかりが過ぎるものだ。

Kさんも、あと少しという地点で、踏切に掴まったのだそうだ。

聞き慣れた警報音、その後に下りる遮断器。
急いでいる身としては、遮断機の下りる速度さえ、もどかしい物だ。

遠くから見える電車に目が行くと
其処には、線路中央に立つ老婆が見えたそうだ。

「な!何してんだ、あのばあちゃん!あぶねぇ!」

老婆に向かい、大声で叫ぶも老婆には聞こえていない様子。
そして、そのまま・・・。

電車は通過したそうだ。

本来であれば仕事どころではない大騒ぎになるはずだった。

しかし、Kさんは己の目を疑ったそうだ。

電車が通過した後の線路に、老婆が立っているのだ。

同時に、背中に冷や水が走り、全身から鳥肌が立ってくるのを感じたそうだ。

Kさんは瞬時に思ったそうだ。
「見えてはいけない者なんだ。」と。

幸い老婆は後ろ向き。このまま気付かなかった振りをしよう。
そうして、Kさんは待ち合わせのオフィスへと急いだ。

そこには、ほぼ同着でやって来た新人が見えたそうだ。
軽く手を上げ挨拶を交わすと、新人がこういったそうだ。

「先輩!その方が、今回のクライアントさんですか?」

「・・・え?」

クライアントとなるモデルはオフィスの中だ。
だというのに、新人はオフィス前の玄関先で
「その人が・・・。」と言うのだ。

Kさんは嫌な予感を払拭するように振り返ったという。
当然、誰も居ないのだ。

「や、やだなぁ!クライアントさんは中だよ。初日から冗談が言えるなら大丈夫そうだね!」

「そ、そうなんすか・・・?」

新人はKさんの左側に視線を落としていたが言い聞かせるように納得させたという。

その日の仕事が終わり、数日。

新人はやってこなかった。
あの日以降、無断欠勤が続いたそうだ。

そんなある日の事だ。

また、新宿のオフィスで打ち合わせがあったそうだ。

しかも、なんと
オフィスの前には新人が。

「おい!○○君!」

「あ、先輩。いやぁ、数日間すいませんでした!休んだ分は働きで返すんで!」

「心配してたんだけど・・・大丈夫そうだね。」

・・・しかし。

オフィスへ向かう際、Kさんは気付いたそうだ。

・・・階段を上る革靴の音が、自分の足音以外
聞こえなかったそうだ・・・。

後に分かった話だそうだが
その新人は霊感が強く、憑依体質だったそうだ。

あの日、見てはいけない者を新人も目にし、その場で憑りつかれた。
そして・・・無断欠勤の間に、あの踏切で亡くなっていたそうだ。

Kさんは今でも
新宿のとあるオフィスへ向かうと
「彼(新人)の姿が見える」そうだ。
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