骸行進

メカ

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タクシードライバー 「藤原さん(仮名)」の話

消えない痣 その1

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数年前の事だ。
藤原さんの働くタクシー会社で、あるイベントが企画された。

「心霊ツアー」だ。

ただの心霊ツアーではなく、「実績」のある場所を選りすぐり行くのだという。

私は、藤原さんに問い直した。

「実績?って・・・。」

「あぁ・・・隠語みたいなものでね。この場合、本当に事故があった場って意味だよ。
しかも、一件や二件ではなくかなりの頻度で起きている場所だね。」

彼が語ったのは、巷でも良く聞くワードだ。
『死のカーブ』や『魔の峠』『心霊トンネル』など
多くの曰くを抱えた場だった。

しかし、藤原さんは言う。

「正直、僕も二度と行きたくない場所ってのはあるよ。」

それは、この企画にて訪れた、ある岬の話だ。

その日、彼は一組のカップルを連れ、その場に向かったという。
岬手前には安全の為に柵が設けられ、注意書きもあったというが
その柵は、容易に超えられるものだという。

当然、その柵の前で車を停車させ
何時もの様に「曰く」について客に語って聞かせたそうだ。
すると、カップルは車外で写真を撮りたいと申し出たそうだ。
数枚の写真を撮った後、藤原さんは次の予定を確認するべく車内のナビに目を向けた。

その一瞬の隙に、カップルは柵を越え、岬までいってしまったのだという。
急いで追いかけようと思ったそうだが、入れ違いになっては目も当てられない。と
車で待機する事にし、代わりに事前書類に書かれていた連絡先に電話を掛けた。

程なく、男性が電話に出る。

「お客さん、勝手に奥に進まれちゃ困りますよぉ。何かあったら大変ですから
直ぐに戻ってもらえますか?」

「す、すみません。好奇心が勝っちゃって・・・。急いで戻ります。」

電話の後、2,3分を置いてカップルは走って帰って来た。
・・・真っ青な顔をして。

「お、お客さん?大丈夫ですか?」

「良いから!・・・早く!早く出して!」

「え?で、でも、お連れさんは・・・。」

「うるせぇな!早くしてくれよ!!」

戻って来たカップルの片割れである彼女は、見るからに怯えた様子で泣いていた。
彼氏はそんな彼女を落ち着かせようと両手で手を握り締めながら藤原さんに怒鳴った。

あまりの変貌ぶりに従うしかなく、タクシーを発車させたそうだが
その後、行く予定であった場所は全てキャンセルとなり、そのカップルは直帰する事を望んだそうだ。

それから数日が経ち、何事もなく日々が流れたそうだが
タクシー会社にかかって来た、ある一本の電話がその状況を一変させたそうだ。
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