骸行進

メカ

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長編特集

儀式 その5 「破綻」

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私とX氏は、宮田さんが発見されたという「事務所跡」へ向かった。
そこで私が覚えているのは
X氏が、事務所跡一帯に結界を張った所まで。だ・・・。

結界が貼られた直後、行き場を失った念の塊は
最早、聞き取る事すら適わない数の声となって、私の鼓膜を襲った。
直後
耳鳴りが響き、そこで意識を失った。

私が目覚めたのは、それから30分後だったそうだ。
全ての準備が整い、X氏によって事務所跡のお祓いが為されている只中であった。

暫くの間
X氏の作業を見守っている中で
私は、私の中で起こっている「ある異変」に気付いた。

ふと我に返ると、自身の両手で耳を塞いでいるのだ。
私の心中に一つの言葉が巡る。

「逃げなければ。」

その思いはやがて、言葉として口から発せられ、行動として手足が動き
X氏から遠ざかろうと必死だった。

自身の意識ははっきりとしている・・・なのに、自意識とは別で
何か、まるで他人のような体の動きであった。

脳では「落ち着け」と言い聞かせ、感情では「直ぐに逃げろ」と動悸が早まり
私は一目散に扉に向かった。

・・・だが、その扉は開かない。
鍵などとっくに壊れているのに、ドアノブを捻り軽く押せば開くのに。
ドアノブにすら触れられなかったのだ。
今ここでドアノブに触れれば「何かが終わってしまう」そう感じた体は
全身に鳥肌が立っていた。

そして・・・。
扉から出られない私は
ある言葉を発する。

「あいつらのせいだ!今すぐにでも捕まえて二度と陽の目が見れない様にしてやる!」

そして、その場に転がり全身を伝う怒りに任せ、癇癪を起し暴れるのである。
最終的には扉を開ける為、額を扉に打ち付ける程であった。

皆さん、ここまで聞けばお分かりだろう。
この時の私は憑りつかれていたのだ。
私が覚えているだけでも、3回はX氏に殴りかかっている。

それだけではなく、私は事務所跡にある神棚や仏間で祈るような行動をしていたのだと
後にX氏から話を聞く事となった。

私が憑りつかれてから3時間。
私は漸く、落ち着く事ができた。

そして、私はある事を理解していた。

事務所跡にのこされた神棚や仏間。
そこに祀られていたであろう物は、決して神・仏ではない。

・・・俗にいう「悪魔信仰」である。

神棚・仏間に飾られていたのは、恐らく
仏の像や御札などではない。
人骨や動物の骨、さらには怪しげなアイテムの数々。

それらが、かつて使われていたのだと、イメージできてしまったのだ。

それを、X氏に語ると同時に
X氏はこう述べた。

彼等(カルト)の儀式は最初から失敗していたんだろう。
その結果、呪いや怨念といったものを
対象の人間に向けさせることには成功したが、数を重ねるごとに
彼等の心は蝕まれ
人を呪う為の行為として、儀式を「行う」のではなく
儀式を行い邪な者に力を与える為に、儀式に「使われていた」のだろう。と・・・。

即ち、彼らは
儀式を重ねる毎に、操り人形にされていたのだろう。
そして、その儀式の破綻を恐れ、3人は命を狙われていたのかもしれない・・・。
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