骸行進

メカ

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タクシードライバー 「藤原さん(仮名)」の話

黒い封筒 1

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数年前の話だ。

その日、藤原さんは昼休憩をラーメン屋で過ごしタクシーに戻った。
渋谷駅に戻り客でも待とうかとアクセルを踏んだ直後
女が道を塞ぐように飛び出してきた。

「っ危ね!」

女は寸での所で止まったタクシーの横へ移って来た。

「おいおい!アンタ。死ぬ気かよ!」

何か一言でも言ってやらないと気が済まない。
穏やかな藤原さんでもそう思う程の危険な行為。
だが、その女は後部座席の扉の前で微動だにしなかった。

藤原さんは渋々、その女を乗せたという。

「それで、お客さんどこまで?」

「・・・上泉駅まで。」

「上泉ね。」

この時、藤原さんは代々木方面に居たそうだ。
駅にしても一駅分。
急ぎなのか?しょっぱい客だなぁ~。と内心では思っていたそうだ。

だが、藤原さんはその女の恰好を見て
「あぁ、そういう事ね」と思ったそうだ。

女は、黒いスーツ姿。手持ちの鞄も小さな黒い物だった。

・・・これから葬式か、あるいはその帰りか・・・。

事情を察した藤原さんは、なおの事
その客に話しかけずらい状況になった。

程なくして、目的地に到着したタクシーは女を下ろし、ゆっくりと発進した。

上泉駅から渋谷に戻る際
藤原さんは、接触事故を起こす。
赤信号で止まっていた所、右から曲がって来たトラックが
曲がり切れず、タクシーのミラーに衝突したのだ。
肝心のトラックは逃げたそうだ。

その事が切っ掛けで、彼は駅には向かわず
そのまま警察に。・・・そして会社へと戻る事となる。

修理に出す為、最後に乗っていた藤原さんが車内の点検を行うと
後部座席の下から「黒い封筒」が出て来たそうだ。

即座に「昼間に乗せた女」の存在を意識したそうだ。

会社の受付で「落とし物」として管理されることとなった「封筒」だが
後の調べでこれが「呪物」である事が判明した。

その日の夜
藤原さんは、自宅で缶ビールを片手にテレビを鑑賞していた。
其処に、インターホンが鳴る。
時計は夜の10時。
ドアモニターを確認すると、誰も映っていなかったそうだ。

「イタズラ?・・・こんな時間に?」

ガコン。

郵便受けの音が鳴った。

何だ?・・・彼はそう思いつつ、郵便受けを確認すると
其処には「黒い封筒」が入っていたのだという。

「げぇ、マジかよ!」

彼は一瞬にしてその封筒が気色悪い物に見えたという。

だが、なぜか好奇心に釣られるまま
その封筒を開けた・・・。

中に入っていたのは二枚の御札だったそうだ。

その翌日、彼は休みを利用しその封筒と御札をお焚き上げ擦る為
近くの寺を訪れる事となった・・・。
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