骸行進

メカ

文字の大きさ
128 / 336
幼馴染の女性「飯島(仮名)」の話

楽しかったはずなのに。 5

しおりを挟む
私は、これ以上の調査が不可能だと判断し
X氏に助けを求める事にした。

普段であれば、返事はX氏の都合待ちの為
メールでやり取りしていたのだが、その日は電話を掛けた。

「もしもし。」

「Xさん、火急で助けて欲しい事がありまして・・・。」

「・・・○○(筆者)君、また何か事件にクビ突っ込んでるよね?」

「え?」

「後ろで何人か呻いてる。」

「!」

当然、電話は誰もいない場所で行っている。
私以外の声が入る事などあり得ない。

「君ね、自分が引き寄せやすいって事忘れてないかな?
僕にだって対応できない場合はあるんだよ?無暗に事件に関わらない方が良い。」

「・・・すみません。」

今思えば、X氏はこの時
全て悟っていたのだろう。

「・・・それで、今回はどうしたの。」

「実は、幼馴染が・・・。」

事の顛末を告げると、X氏は大きなため息をつき沈黙した。

「これから、君の所にある物を郵送する。それを持ってダムに行きなさい。」

「へ?」

聞き間違いではないか?
今、ダムに行けと言ったか・・・。
絶対に行きたくないと断言できる場に、行けと。

「無理ですよ、あんな場所!行きたくないですよ!」

「これから送る物を持って行けば大丈夫だから!行きなさい!」

ごね始めた私を一喝すると、彼は電話を切った。

私は無類の心霊好きだと自負している。
だが、それと「恐怖心がない」とは別の話だ。

私にも、人並みに「怖い」と思う場所はある。
それがたまたま、体質的に凶悪な場所であると無意識に理解しての事である。

私にも、人並みに「背筋が凍る」時がある。
それはたまたま、他の人には聞こえない怨嗟の声を聴いての事である。

二日後、X氏から一つの小包が届く。
中に入っていたのは、手のひらサイズの小さな木札と一束の線香だ。
荷物が届いた事を報告するべく、X氏に連絡を取る。

「その木札は一種の『免罪符』みたいなものだよ。
調べてみたけど、ダムの最奥に管理棟みたいな建物があったね。
その近くから、ダムの中に木札を投げ入れて帰って来るんだよ。
それと、ダムを巡る際は線香を焚いておく事。
線香が完全に尽きる前に帰ってくる事。・・・いいね?」

「分かりました・・・。」

「それじゃ、頑張って。」

私は、日が落ち切る前に事を終わらせたく、即座にダムへと向かった。
ただでさえ、絶対に行きたくない場所なのだ。
明るかろうが、恐怖する場所だ。
そんな場所に視界を奪われた状態で行くなど愚かだ。

だが、ダムに到着した時
既に時刻は18時を回り、日はだいぶ傾き、空が濃紺へと変わりつつある。

一抹の不安と、絶対的な恐怖感の中
私は歩を進める事となった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

(ほぼ)5分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ5分で読める怖い話。 フィクションから実話まで。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...