骸行進

メカ

文字の大きさ
87 / 336
呪物

マニアの遺品 2

しおりを挟む
和希さんが「兄の遺品」を隠したのは
主に、母のアンティーク品を納めている飾り棚であったり
父の書斎の本棚。
他にも、脱衣所に隠した事もあったそうだ。

最初は、遺品の内一つを隠していたそうだが
行動はエスカレートし、二つ同時に隠したり、その日の内に置き場を弄ったりと
細工を施していた。

この時の事を彼は「はっきりと覚えている」そうだ。
だが、彼自身「なぜそんな事をしたのか分からない」と述べている。

それはまるで「子供のかくれんぼ」のようだった。

両親の居ない間に、遺品を隠す場所を考えるのが、堪らなく面白いのだという。

そんな「遊び」が三ヶ月続いたある日。
とうとう、遺品の一つである「くるみ割り人形」が見つかってしまった。

発見したのは母だったそうだが
家族でその話題が出た時、彼はシラを切ったという。

気味が悪いと捨てられるか。と思ったが
そのくるみ割り人形を母は気に入り、アンティークの棚に戻したという。

この一件で肝を冷やした彼は、残るノートを回収。
再び、自室で保管する日々が始まった。

そんなある日の事だ。
和希さんは、兄の遺したノートに再び目を通していた。
途中から白紙になったページ。
何を思ったか、彼は最後のページをめくった。

『田上 庸一(仮名と思われる)。 ○○県○○市~に在住。
○○月○○日 ○○のマーケットにて出会う。』(詳細は伏せました)

何気なく開かれた最後のページには、自宅近くで行われた
骨董市で出会ったとされる「田上」なる男の情報が書かれていた。

ふと気づいた時、彼は手に持った携帯で「田上」の連絡先の番号を打っていたという。

「・・・もしもし。」

電話に出たのは野太い声の男だった。

「あの・・・た、田上さん・・・ですか?」

「・・・えぇ、そうですが・・・。」

「○○(兄の名前)という男性をご存じでしょうか?」

「あぁ・・・○○君。知ってますが・・・貴方は?」

「お、弟の和希って言います!兄の遺したノートにそちらの情報が・・・。」

「あぁ、弟さんね。
先日のマーケットで意気投合しましてね。その時のメモでしょ。」

「失礼ですが・・・田上さんも『そういう物』がお好きなので?」

好奇心から突いて出た言葉だった。すぐに「しまった!」と後悔を覚えた。

「えぇ・・・彼が亡くなったのは存じてます。お悔やみ申し上げます。」

「兄がお世話になりました。・・・それで、一つお話があって・・・。」

「何です?」

「ある品について、ご意見を聞きたくて。」

「・・・分かりました。直接会ってお話した方が良さそうだ。
後日、都合の付く日を連絡します。それでも宜しいですか?」

「はい。是非お願いします。」


電話を切った後、彼は酷く後悔したそうだ。
別段、何かに困っていた訳でもないのに
兄の知り合いに連絡を取った。その上、用事もないのに呼び出したのだ。

「何を話すって言うんだよ・・・。」

彼は、その後しばらく頭を抱える事になった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

(ほぼ)5分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ5分で読める怖い話。 フィクションから実話まで。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...