骸行進

メカ

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呪物

マニアの遺品 3

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和希さんが「田上」と初めて落ち合ったのは、彼の電話から約一か月後の事だった。

「君が○○君の弟さん・・・和希君でいいかな?」

話しかけてきたのは、恰幅の良い中年の男性だ。

「えぇ。田上さんですね?」

「そうだよ。此処だと人の通りも多いし、近くに行き着けのカフェがあるからそっちで。」

「・・・はい。」

田上の後ろを突いて歩く彼は、内心穏やかではなかった。

なぜって、話す事など何もないからだ。

カフェについてからは、暫く兄の話が続いたそうだ。

「・・・さて、自己紹介程度に話も終わった所で・・・僕に聞きたい事って?」

来た。
彼の中で今、尤も触れたくない話題だった。
だが、この一ヶ月。彼も一応の話題は考えていた。

「コレの事なんです。」

和希さんは、背負っていたリュックの中から
兄の遺したノートとくるみ割り人形を出した。

「このノートは、兄がコレクションについて記していました。最後のページに
田上さんの連絡先が残っていました。
それと・・・こっちの人形の方なのですが
兄のノートには詳細が一切書き込まれてませんでした。」

「・・・へぇ・・・。随分、古い人形だねぇ。くるみ割り人形か・・・。」

田上は、ノートや人形をまじまじと調べ一つの結論を出す。

「恐らく、これはお兄さんが最後に手に入れたモノじゃないか?
詳細を記入していないのは、ソレを調べている過程で亡くなった・・・と視るべきかな。」

「でも、僕の知る限り兄はまだ病で亡くなるような状態じゃなかったです。」

「ん?・・・どういう事?」

「兄は、亡くなる数か月前から『ある病気』になりました。
『膠原病』です。でも、それはあくまでも死に直結するような重篤な病気ではない。」

「・・・。」

「なのに、兄の死因は病死だったんです。」

「確かに、変だね。」

「それだけじゃなくて、この人形を母が偉く気に入ってしまって。」

「これを見せたのかい?」

「い、いえ・・・ソレが・・・。」

和希さんは、自身に起こった謎の興奮とイタズラについても詳細に語ったそうだ。

「・・・僕から言える事は一つ・・・。
これは、君達家族が持ってて良いものではなさそうだ。って事だね。」

「どういう事です?」

「上手く説明できないんだけどね。何と言うか・・・
家族の核の様なものに、入り込もうとしている様な・・・。そんな気がする。
早い所、然るべき措置を取った方が良いかも知れないよ。」

カフェでの相談は数時間で終わった。
帰路に着く道中、和希さんは何を思ったのか
近くの河川敷から、くるみ割り人形を川へ投げ捨てていたという。

「これでいい。・・・ノートは帰ったら燃やしてしまおう。
きっと、兄貴は俺にこの二つを処分させたかったはずだ。
だから、俺に託した。・・・きっとそうだ。」

そう言い聞かせ、自宅への道を再び歩き出した。
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