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ヘタレ、出会いと身バレ
ヘタレ、置き逃げ。
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翌朝、俺は町内ギルドと町長宅で
センティアの身柄について話し合いを行った。
その間も優雅に宿でグウタラする本人を差し置いて
俺は方々を駆けていた。
「あら?今帰ったの?・・・それで私の待遇はどうなったのかしら?」
「明後日、この町のギルドを挙げてアンタを国まで送る隊商を組むとさ。
町長は大喜びだったぞ、貴族様に恩が出来たってな。」
「・・・そう。」
「まぁ、その隊商も無事に着くかどうか・・・。」
「何?どういう事?」
「この町は今、ある問題を抱えてるんだよ。」
「え?」
「貿易や通行に使う、あの山で山賊が出るってな。
討伐の為に兵士も出たって話だけど、未だに解決しちゃいない。」
「そんな・・・。」
「まぁ、町を挙げての大仕事だし、何とかなるだろ。」
そう言って、俺は彼女の部屋を出て自分の部屋へと戻る。
『今の内に、出発の荷造りを済ませるか・・・。』
町やギルドに彼女を預けた時点で、俺の役目は終わった。
後は、こんな危なっかしい町とはオサラバだ。
何時、山賊に襲われるかも分からない町に留まって居るなど御免だ。
彼女の事は、このままギルドに任せて旅立ってしまおう。
その一念だけで、俺は準備を進めた。
そして、翌朝。
「今日はどうするの?」
「どうって・・・何が?」
「今日はどう過ごすのか、聞いてるのよ。」
「・・・何もしないけど・・・。」
「こんなに天気が良いのに?何もナシ?」
「何も・・・ないけど。」
「へ~・・・ほ~・・・。」
朝一に部屋に乗り込んできたセンティア。
ベットの上でゴロゴロと過ごす俺を相手に、些末な攻防戦を繰り広げていた。
彼女の表情から、大体の事は読み取れる。
安全が保障された途端に、行楽貴族様の血が疼き、どこかへ出かけたい。と・・・。
だが、一人で出かけるのはプライドが許さない。
荷物持ちの一人でも連れ歩かねば、貴族の名折れ。
・・・とでも言いた気な顔だ。
暫くの沈黙を経ても尚、圧に屈さない俺を見て
彼女は部屋を出て行った。
そして、昼下がり。
俺は行動を起こした。
あの女には悪いが、俺は奴隷でもなければ家臣でもない。
最後まで付き合ってやる義理はない。
意を決して飛び出した町。
再びのサラバと決め込んだ先、俺の新たな旅が始まる。
この高揚感だけは、何にも代えがたい喜びだ。
次に辿り着く町はどれだけ大きいのか。
どれだけの人が居るのか。その活気は住むに値する熱量か。
定住先を探す田舎者だと笑われようが屁でもない。
実際、俺は田舎者も同然だ。
サーカスで訪れた町しか知らない。
余所者が見る町の景色など・・・ほんの一部に過ぎない。
きっと、その土地には住んでみなければ分からない多くの情報などがあったはずだ。
・・・昔から、それが憧れだった。
かつて、サーカス団と共に訪れた町で
俺は同い年位の少年と出会った。
名前は・・・知らない。
でも、彼は俺を快く「友人」として扱ってくれた。
サーカス以外で出来た・・・初めての友達だった。
彼は、友情の証にと
町外れに建てたという「小さな秘密基地」へと案内してくれた。
此処に居ていいんだ。
・・・ここが新しい居場所になるんだ。俺の、心の拠り所・・・。
思えば、あの日から・・・
俺の夢は「自分だけの居場所を作る事」だった。
それと同時に、忘れるべく心の奥底に封印していた記憶さえも蘇って来る。
「畜生・・・あんな事さえなけりゃ、今頃は・・・。」
俺は、歩調を速め旅路を急いだ・・・。
センティアの身柄について話し合いを行った。
その間も優雅に宿でグウタラする本人を差し置いて
俺は方々を駆けていた。
「あら?今帰ったの?・・・それで私の待遇はどうなったのかしら?」
「明後日、この町のギルドを挙げてアンタを国まで送る隊商を組むとさ。
町長は大喜びだったぞ、貴族様に恩が出来たってな。」
「・・・そう。」
「まぁ、その隊商も無事に着くかどうか・・・。」
「何?どういう事?」
「この町は今、ある問題を抱えてるんだよ。」
「え?」
「貿易や通行に使う、あの山で山賊が出るってな。
討伐の為に兵士も出たって話だけど、未だに解決しちゃいない。」
「そんな・・・。」
「まぁ、町を挙げての大仕事だし、何とかなるだろ。」
そう言って、俺は彼女の部屋を出て自分の部屋へと戻る。
『今の内に、出発の荷造りを済ませるか・・・。』
町やギルドに彼女を預けた時点で、俺の役目は終わった。
後は、こんな危なっかしい町とはオサラバだ。
何時、山賊に襲われるかも分からない町に留まって居るなど御免だ。
彼女の事は、このままギルドに任せて旅立ってしまおう。
その一念だけで、俺は準備を進めた。
そして、翌朝。
「今日はどうするの?」
「どうって・・・何が?」
「今日はどう過ごすのか、聞いてるのよ。」
「・・・何もしないけど・・・。」
「こんなに天気が良いのに?何もナシ?」
「何も・・・ないけど。」
「へ~・・・ほ~・・・。」
朝一に部屋に乗り込んできたセンティア。
ベットの上でゴロゴロと過ごす俺を相手に、些末な攻防戦を繰り広げていた。
彼女の表情から、大体の事は読み取れる。
安全が保障された途端に、行楽貴族様の血が疼き、どこかへ出かけたい。と・・・。
だが、一人で出かけるのはプライドが許さない。
荷物持ちの一人でも連れ歩かねば、貴族の名折れ。
・・・とでも言いた気な顔だ。
暫くの沈黙を経ても尚、圧に屈さない俺を見て
彼女は部屋を出て行った。
そして、昼下がり。
俺は行動を起こした。
あの女には悪いが、俺は奴隷でもなければ家臣でもない。
最後まで付き合ってやる義理はない。
意を決して飛び出した町。
再びのサラバと決め込んだ先、俺の新たな旅が始まる。
この高揚感だけは、何にも代えがたい喜びだ。
次に辿り着く町はどれだけ大きいのか。
どれだけの人が居るのか。その活気は住むに値する熱量か。
定住先を探す田舎者だと笑われようが屁でもない。
実際、俺は田舎者も同然だ。
サーカスで訪れた町しか知らない。
余所者が見る町の景色など・・・ほんの一部に過ぎない。
きっと、その土地には住んでみなければ分からない多くの情報などがあったはずだ。
・・・昔から、それが憧れだった。
かつて、サーカス団と共に訪れた町で
俺は同い年位の少年と出会った。
名前は・・・知らない。
でも、彼は俺を快く「友人」として扱ってくれた。
サーカス以外で出来た・・・初めての友達だった。
彼は、友情の証にと
町外れに建てたという「小さな秘密基地」へと案内してくれた。
此処に居ていいんだ。
・・・ここが新しい居場所になるんだ。俺の、心の拠り所・・・。
思えば、あの日から・・・
俺の夢は「自分だけの居場所を作る事」だった。
それと同時に、忘れるべく心の奥底に封印していた記憶さえも蘇って来る。
「畜生・・・あんな事さえなけりゃ、今頃は・・・。」
俺は、歩調を速め旅路を急いだ・・・。
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