続・骸行進(裏怪談)

メカ

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視える友人 「絢女」の話

長屋で掃除を。 3

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絢女が、件の長屋を調査し分かった事がある。

橋田君の両親の証言から、あの長屋は
元々は民宿の為の施設であったそうだ。

しかし、ソレが何時から開業し何時に閉業したのかは分からなかった。

古くなった建物は、半ば強引に安値で叩き売りされていた土地なのだという。

その昔、古くなった長屋の実家を父と祖父が協力しながら改修して住んでいたらしい。
父の話では、自身の幼い頃は「心霊」など・・・そのような出来事など微塵も起きなかったという。

父は成人と共に、家から独立しその後の事は知らないのだそうだ。
それ以上のことを聞こうにも、肝心の祖父母はもう居ない。
調査も頭打ちかと落胆していた時だ。

絢女が言う。

「そう言えば、あの長屋・・・『あるもの』を見なかったんだよねぇ・・・。」

「あるもの?」

「うん、仏壇。」

「仏壇など神聖な物の類は、いの一番で移動する成り片付けないか?」

「確かにそうなんだけどさ。何て言うのかな・・・あぁ、此処に在ったんだろうなぁ。
っていう気配と言うか、そういった痕跡みたいなものが何処にも無かったんだよね。」

彼女の話が本当であれば、それはそれで妙な話だ。

最後まで住んでいたという祖母は祖父の遺影などを祀っていなかったのだろうか?
そんな事、何でもスマートに済ませようとする現代っ子でもあるまいし
全く何も用意しなかったというのも変な話だ。

ましてや、私や絢女の様に多少、そういった世界の知識を齧った者ですら
「あ、ここにあっただろうな。」という凡その推理は出来る。

それは普通の人でもそうだ。
仏壇の置かれていた場所とその周囲で「日焼け」の差で分かったりなどが最たる例だろう。

この点については、橋田の両親からも「仏壇はなかった」との証言を得た・・・。

なぜ、祖母は祖父の仏壇を用意しなかったのか・・・些か謎であるが・・・
その謎は後に、仮説を立てた。

次に、絢女が調べたのは周辺の土地や建物についてだ。

土地または建物に、何か後ろ暗い過去があったのではないか?

約1か月かけて調べたそうだが、これと言って目立った過去は出てこなかったという。

しかし、その数日後の事
橋田によって暴かれた「ある包み」によって、状況は一変する。

発端となったのは、最初の遺品整理の際
両親によって持ち出されていたという祖父母の遺した持ち物を
質屋に入れるべく、品定めをしようとなった時だった。

そこで、橋田が何気なく手にした大きい紙袋。
其処には、紙袋一杯に入っていたという「巨大な包み」。

風呂敷で巻かれたソレはそこそこの重さがあり
両親は小躍りしながら包みを開ける。

最初の風呂敷を解くと、新たに風呂敷で荷物が包まれており
ソレが、マトリョシカの様に5枚ほど風呂敷が重なっていた。

祖母の悪質なイタズラかと思われた矢先
今度は、包装紙によって厳重にまかれた四角い箱型のモノが出て来た。

・・・その箱の中身こそ、件の一件を紐解くすべての謎だった・・・。
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