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結論から話そう

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 私が読みたい作品はオリジナリティ溢れる、作者を感じられる作品です。


 ――そんなの小説大賞の募集要項と一緒じゃん?


 もしかするとそう思った人もいると思います。

 それに対する私の回答はこうです。

 そうだよ?でもそれが本音だから。そこが一致していたから恐ろしく安い報酬でも下読みという仕事を請けています。
 
 では、なぜ私が《オリジナリティ溢れる、作者を感じられる》作品を読みたいと感じたのか、言語化していこうと思います。

 そもそも小説とは何なのかを考えました。

 私の答えは、作者が自身の中に作っている世界を表に出す表現方法の一つだというものでした。


 創作作品というものは恐らくすべて、自己表現の手段であると考えたわけです。

 小説も、漫画も、絵画も、アニメも、音楽も、ダンスも創作作品というものは作者が自分はこういう人間なのだと誰かに伝えるための手段なのではないかと私は考えました。

 とはいえ、作者が伝えたい事さえしっかりしていればどんな作品でも読みたいのか?と聞かれると答えはNOです。

 これをお伝えするためには”オリジナリティ溢れる、作者を感じられる作品”というものの要素を分解していって少しずつ言語化していくのが恐らく厳密に伝えるためには最適だと思います。若干長くなるとは思いますが。

 まず、作品について。

 小説やその他の作品というのは先程言ったように、”伝えるための手段”です。
 手段……芸術関連なので言い換えれば手法ですが、これらには基礎となるものが存在しているのが一般的です。
 それは、文章力、構成力、プロットの大まかな作り方であったり、コマ割であったり、デッサンであったり、音程の取り方であったり、ステップだったり、創作の種類によって様々ですが、基礎という土台は恐らく全てにあるものだと私は思います。

 それが、相手にストレスなく普通に伝わるレベルである作品が読みたいです。

 基礎がしっかりとしていない作品は悲惨です。何を伝えたいのかがわからない。基礎ができていない表現というのは作品から自己満足のナニカへと成り下がります。

 そしてそういうものを作る作者ほど、何が悪いのかを理解していないことが多いです。
 投稿サイト的に言えば、何が面白いのか、何を伝えたいのかが一切伝わってこないから感想が貰えず、どこが悪いのかを知る機会が得られない、公募で言えば1次を通ることが無いから評価シートが基本的に貰えないし、1次で落ちても評価シートを貰えるものはそもそもとある理由で(機密保持契約に触れる可能性があるので言えない)額面通りに受け取れないものが殆ど。

 だから基礎は基礎なのです。基礎を疎かにしてはそもそも作品にすらならない、作品の大事な土台であると私は思います。

 そして基礎というものは土台ですから、作品であれば出来ていることが前提です。
 
 なので私は、(基礎がしっかりした)オリジナリティ溢れる、作者を感じられる作品が読みたいと思います。


 次回はオリジナリティ溢れる、作者を感じられるとはどういうものなのか。
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