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第四章
野狐の幸せな記憶①
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あやかしの国に迷い込み、那沙というあやかしに出会ったあの日から四年の月日が経った。額に傷のある黒猫には、あの夏の日以来会っていない。優李は大学を中退し、父の遺した喫茶店を切り盛りするようになっていた。
父は二年前に仕事先で亡くなった。
父一人子一人、他に身内のない優李はしばらくなにも喉を通らないほど悲しみに暮れていた。それでも生きていかなければいけないと、懸命に悲しみと折り合いをつける日々。
優李がどうにか一人で生活できるまでに立ち直ることができたのは、近くに優しい気配を感じたから──
時折寄り添うようにそばにいてくれるその得体の知れないなにかに、優李は心当たりがあった。
「お父さん、お母さん、行ってきます」
優李は仏壇に手を合わせてから買い出しにいく。初夏の坂の町は日差しが強く、暑さが厳しい。優李は階段を駆け下りながら、商店街へと向かった。
優李は路地を抜けると、野良猫たちがすり寄ってくる。
「あぁ、ごめんね、今はかまってあげられないの」
「にゃぁ」と名残惜しそうに鳴く猫たちに声をかけてから、アーケードの中に入っていく。
駅からほど近い本通り商店街は、地元の人はもちろん、観光客にも人気スポットになっていてにぎわっている。優李も休日になるとお気に入りのカフェに行ったり、雑貨屋さんに行ったりと、何かと訪れる場所である。
だが、今日はお店を開けなくてはいけないのでゆっくりはしていられない。優李は日用品を買いそろえると、両親に供える分も兼ねて、大好きなドーナツを三つ買う。それから急いで帰路についた。
坂を駆けのぼっていた時のこと、目の端に、ちらりと黒猫が写った。この辺でいつも見るような黒猫ではない、どこか違和感がある。それは、高校最後の夏に感じたものに似ていた。
「いた……」
黒猫の気配がした。まだいる――見ると、猫は優李を待っているかのように店の上の方でじっとしていた。
「待って……!」
優李が慌てて駆けだすと、猫も走りだす。行く先はやはり竜王山がある方角だった。
猫は細い路地を抜けて、山の中に入っていく。優李はその背を追いかけた。
「きゃぁ!」
猫を追いかけて山の中に入った優李は突然何かにつまずいて倒れ込んだ。
「いってぇなぁおい!」
不機嫌そうな声がする。見れば、目の前に大きな犬がいた。
「ごめんなさい、慌てていたの。猫を追いかけていたから……あなた、もしかしてあやかし?」
ぐるると威嚇している犬に、優李は素直に謝る。一見普通の犬に見えるが、人の言葉を話すということはただの犬ではないだろう。
四年前にあやかしというものが実際に存在すると知ったので驚きは少ない。
「おまえ、俺の姿が……って優李?」
「は、はい、私は優李だけど……」
「なんだ優李か! 俺だよ、俺、リク! ちょっと前に一緒にヒダルガミ退治したろう?」
言われて優李は「あぁ!」と笑顔になる。四年前のことだがリクの感覚だと「ちょっと前」になるらしい。
「犬の姿になると、こんなに可愛いのね」
犬の姿になったリクは大型犬の類に似ている。優李は思わずリクの首に抱き着いた。頬をすりすりとしてみる。もふもふとした毛の感触が心地いい。
「ふわふわ~もふもふ~」
「おいやめろ! 恥ずかしいだろう!」
リクが顔を赤らめながらそういうので、優李は慌てて離れた。
「ご、ごめんなさい。つい……」
「つい、じゃねぇだろ。おまえ、仮にも女だろ! 俺は男だから!」
「は、はい。気を付けます」
リクの意味するところはうまく優李には伝わらなかったが、つまるところ突然抱き着いてはいけないということだろうと優李は気を付けることにした。
「で、おまえ何してんの? なんか前よりちょっといい匂いになってるな」
「あはは、食べないでくださいよ。あの、私、黒猫をおいかけてきたんです」
「なんか、前も思ったけどその話し方気持ち悪いな。おまえ、普通に話せないの?」
「普通にって……どういうことですか?」
「その「ですか」をとれってこと」
リクの言葉に、優李は遠慮がちに頷く。
「わかり……わかった、敬語はやめるね」
「よし! で、また猫なんか追っかけてんのかよ」
「だって気になるから……」
「で、また迷子になるんだろ? ったく、成長したのは見た目だけか?」
「見た目? あぁ、あれから四年経ったからねぇ。髪の毛の少し伸ばしたから」
リクの尻尾がもふもふと揺れるものだから、優李は思わず目で追ってしまう。
「なぁ、おまえ、西都に行くなら案内してやってもいいぜ」
「本当!? 良かった! やっぱりあの猫、私を西都に連れて行きたがっているように見えるんだよね。でも私一人じゃ行けないから困ってたんだよ。助かるよ~ありがとうリク!」
リクの願ってもない申し出に、優李は喜びを露わにした。
「かわりに優李、ちょっと頼まれごとを聞いてくれないか? そしたら俺がきちんと西都まで案内してやる。白虎のやつにもなんとか話をつけてやるよ」
「お安い御用――っていえるような内容だったらいいけど……私で役に立てる?」
「俺より適任だと思う。それがな――」
リクは少し困ったような顔になってから、頼まれごとの内容を話し始めた。
どうやらリクの主人だった獣医の子供のことらしい。
「ご主人んとこの海《かい》の元気がないんだ。保育園とかでも、先生や友達を困らせてるみたいで……なんかなぁ、寂しいんじゃないかと思うんだよ」
リクは心配そうな声で話し続ける。
「ほら、ご主人の奥さんがまた妊娠してんだ。妹が生まれるみたいでさ、俺はすごく楽しみなんだけどなぁ。海は母さんの体調が悪くて遊んでもらえないから寂しそうなんだよ。それで、悪さしてんじゃないかってさ。できることなら俺が遊んでやりたいんだが……ほら、野良犬だと思われるだろう? 迂闊に近づけなくて困ってんだよ」
「私はどうしたらいいかな?」
見当のつかない優李は首をかしげる。
「だからさ、おまえが俺の飼い主みたいな顔して一緒に来てくれればいいだろう?」
「なるほど、それならお安い御用だよ!」
想像していたよりもずっと簡易な頼みごとだと思い、優李は快諾した。飼い犬としてなら海をかまうことができると考えたのだろう。リクはあやかしの世界に住み着いてからも、度々人の世に出向き、あの獣医の家族のことをずっと見守ってきた。大事に育ててくれた家族のことを、今でも大切に思っている。
一度山を降りて、二人――いや、一人と一匹は商店街に戻ってきた。
「首輪とリードを買ってこようか?」
そう提案する優李に、大型犬の姿をしたリクはぐるると不満そうな声を上げる。
「おまえ、俺の首を繋ぐつもりなのか?」
「飼い犬はみんな繋がれてるものだよ。嫌だとは思うけど、よほどのことがない限り引っ張ったりしないから」
再びぐるる、と唸ってから、リクはしぶしぶ首輪に繋がれることを承諾して優李と一緒に首輪とリードを買いに行くことにした。
リクを店の前で待たせて、急いで首輪とリードを買うと、優李はリクの首に赤い首輪をつけ、リードで繋ぐ。
「似合うよリク、素敵!」
「首輪が似合うといわれてもなぁ……」
「あはは、それもそうだよね」
なんて会話をしてから、犬の散歩よろしく一人と一匹は並んで歩きはじめる。
「私ね、犬も飼ってみたかったんだよ。お母さんが苦手だっていうから飼えなかったけど。あれってやっぱり母さんが猫だからかな? でも、こっちの猫と犬は仲が悪くないよ? 私はむしろ犬も好きっていうか……」
優李の問いかけにリクはふふんと鼻を鳴らした。
「仲が良いわけないだろう、猫も犬も互いに誇りを守っているのだ、慣れ合ったりはしない」
王の眷属である十四の貴族は十二支とイタチと猫。どうやら十二支である犬と猫の間にはそれなりの確執があるようだ。もしかしたらイタチも同様なのかもしれない。
「そういうものなんだ、あやかしの世界も大変だね」
優李は感心しながらも、そうなると半分猫のあやかしである自分のことはどう思っているのだろうかと首をひねった。
優李はリードをゆったりと持って僅かに前を歩くリクについていく。
父は二年前に仕事先で亡くなった。
父一人子一人、他に身内のない優李はしばらくなにも喉を通らないほど悲しみに暮れていた。それでも生きていかなければいけないと、懸命に悲しみと折り合いをつける日々。
優李がどうにか一人で生活できるまでに立ち直ることができたのは、近くに優しい気配を感じたから──
時折寄り添うようにそばにいてくれるその得体の知れないなにかに、優李は心当たりがあった。
「お父さん、お母さん、行ってきます」
優李は仏壇に手を合わせてから買い出しにいく。初夏の坂の町は日差しが強く、暑さが厳しい。優李は階段を駆け下りながら、商店街へと向かった。
優李は路地を抜けると、野良猫たちがすり寄ってくる。
「あぁ、ごめんね、今はかまってあげられないの」
「にゃぁ」と名残惜しそうに鳴く猫たちに声をかけてから、アーケードの中に入っていく。
駅からほど近い本通り商店街は、地元の人はもちろん、観光客にも人気スポットになっていてにぎわっている。優李も休日になるとお気に入りのカフェに行ったり、雑貨屋さんに行ったりと、何かと訪れる場所である。
だが、今日はお店を開けなくてはいけないのでゆっくりはしていられない。優李は日用品を買いそろえると、両親に供える分も兼ねて、大好きなドーナツを三つ買う。それから急いで帰路についた。
坂を駆けのぼっていた時のこと、目の端に、ちらりと黒猫が写った。この辺でいつも見るような黒猫ではない、どこか違和感がある。それは、高校最後の夏に感じたものに似ていた。
「いた……」
黒猫の気配がした。まだいる――見ると、猫は優李を待っているかのように店の上の方でじっとしていた。
「待って……!」
優李が慌てて駆けだすと、猫も走りだす。行く先はやはり竜王山がある方角だった。
猫は細い路地を抜けて、山の中に入っていく。優李はその背を追いかけた。
「きゃぁ!」
猫を追いかけて山の中に入った優李は突然何かにつまずいて倒れ込んだ。
「いってぇなぁおい!」
不機嫌そうな声がする。見れば、目の前に大きな犬がいた。
「ごめんなさい、慌てていたの。猫を追いかけていたから……あなた、もしかしてあやかし?」
ぐるると威嚇している犬に、優李は素直に謝る。一見普通の犬に見えるが、人の言葉を話すということはただの犬ではないだろう。
四年前にあやかしというものが実際に存在すると知ったので驚きは少ない。
「おまえ、俺の姿が……って優李?」
「は、はい、私は優李だけど……」
「なんだ優李か! 俺だよ、俺、リク! ちょっと前に一緒にヒダルガミ退治したろう?」
言われて優李は「あぁ!」と笑顔になる。四年前のことだがリクの感覚だと「ちょっと前」になるらしい。
「犬の姿になると、こんなに可愛いのね」
犬の姿になったリクは大型犬の類に似ている。優李は思わずリクの首に抱き着いた。頬をすりすりとしてみる。もふもふとした毛の感触が心地いい。
「ふわふわ~もふもふ~」
「おいやめろ! 恥ずかしいだろう!」
リクが顔を赤らめながらそういうので、優李は慌てて離れた。
「ご、ごめんなさい。つい……」
「つい、じゃねぇだろ。おまえ、仮にも女だろ! 俺は男だから!」
「は、はい。気を付けます」
リクの意味するところはうまく優李には伝わらなかったが、つまるところ突然抱き着いてはいけないということだろうと優李は気を付けることにした。
「で、おまえ何してんの? なんか前よりちょっといい匂いになってるな」
「あはは、食べないでくださいよ。あの、私、黒猫をおいかけてきたんです」
「なんか、前も思ったけどその話し方気持ち悪いな。おまえ、普通に話せないの?」
「普通にって……どういうことですか?」
「その「ですか」をとれってこと」
リクの言葉に、優李は遠慮がちに頷く。
「わかり……わかった、敬語はやめるね」
「よし! で、また猫なんか追っかけてんのかよ」
「だって気になるから……」
「で、また迷子になるんだろ? ったく、成長したのは見た目だけか?」
「見た目? あぁ、あれから四年経ったからねぇ。髪の毛の少し伸ばしたから」
リクの尻尾がもふもふと揺れるものだから、優李は思わず目で追ってしまう。
「なぁ、おまえ、西都に行くなら案内してやってもいいぜ」
「本当!? 良かった! やっぱりあの猫、私を西都に連れて行きたがっているように見えるんだよね。でも私一人じゃ行けないから困ってたんだよ。助かるよ~ありがとうリク!」
リクの願ってもない申し出に、優李は喜びを露わにした。
「かわりに優李、ちょっと頼まれごとを聞いてくれないか? そしたら俺がきちんと西都まで案内してやる。白虎のやつにもなんとか話をつけてやるよ」
「お安い御用――っていえるような内容だったらいいけど……私で役に立てる?」
「俺より適任だと思う。それがな――」
リクは少し困ったような顔になってから、頼まれごとの内容を話し始めた。
どうやらリクの主人だった獣医の子供のことらしい。
「ご主人んとこの海《かい》の元気がないんだ。保育園とかでも、先生や友達を困らせてるみたいで……なんかなぁ、寂しいんじゃないかと思うんだよ」
リクは心配そうな声で話し続ける。
「ほら、ご主人の奥さんがまた妊娠してんだ。妹が生まれるみたいでさ、俺はすごく楽しみなんだけどなぁ。海は母さんの体調が悪くて遊んでもらえないから寂しそうなんだよ。それで、悪さしてんじゃないかってさ。できることなら俺が遊んでやりたいんだが……ほら、野良犬だと思われるだろう? 迂闊に近づけなくて困ってんだよ」
「私はどうしたらいいかな?」
見当のつかない優李は首をかしげる。
「だからさ、おまえが俺の飼い主みたいな顔して一緒に来てくれればいいだろう?」
「なるほど、それならお安い御用だよ!」
想像していたよりもずっと簡易な頼みごとだと思い、優李は快諾した。飼い犬としてなら海をかまうことができると考えたのだろう。リクはあやかしの世界に住み着いてからも、度々人の世に出向き、あの獣医の家族のことをずっと見守ってきた。大事に育ててくれた家族のことを、今でも大切に思っている。
一度山を降りて、二人――いや、一人と一匹は商店街に戻ってきた。
「首輪とリードを買ってこようか?」
そう提案する優李に、大型犬の姿をしたリクはぐるると不満そうな声を上げる。
「おまえ、俺の首を繋ぐつもりなのか?」
「飼い犬はみんな繋がれてるものだよ。嫌だとは思うけど、よほどのことがない限り引っ張ったりしないから」
再びぐるる、と唸ってから、リクはしぶしぶ首輪に繋がれることを承諾して優李と一緒に首輪とリードを買いに行くことにした。
リクを店の前で待たせて、急いで首輪とリードを買うと、優李はリクの首に赤い首輪をつけ、リードで繋ぐ。
「似合うよリク、素敵!」
「首輪が似合うといわれてもなぁ……」
「あはは、それもそうだよね」
なんて会話をしてから、犬の散歩よろしく一人と一匹は並んで歩きはじめる。
「私ね、犬も飼ってみたかったんだよ。お母さんが苦手だっていうから飼えなかったけど。あれってやっぱり母さんが猫だからかな? でも、こっちの猫と犬は仲が悪くないよ? 私はむしろ犬も好きっていうか……」
優李の問いかけにリクはふふんと鼻を鳴らした。
「仲が良いわけないだろう、猫も犬も互いに誇りを守っているのだ、慣れ合ったりはしない」
王の眷属である十四の貴族は十二支とイタチと猫。どうやら十二支である犬と猫の間にはそれなりの確執があるようだ。もしかしたらイタチも同様なのかもしれない。
「そういうものなんだ、あやかしの世界も大変だね」
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