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王妹殿下の密偵達①
しおりを挟む287話の少し前からのお話です。
ステリアラ王都
とある貴族の当主が急死した為、急遽嫡子が当主となり、細かい所まで配慮が行き届かずに貴族間の横の繋がりが断絶し、修復を試みたが失敗に終わった。
そんな中、屋敷の使用人達も暇を貰って出ていく者も居た。
ラバレサ»「2人共、もうこの屋敷にいても仕事は無い、自分で主を選んで仕えるか、ワシの知り合いを頼ってみるかだ。」
サーグ»「先生の知り合いって、怖い人?」
ラバレサ»「グワルと言う男だが、別に怖くはない。もう死んだとの噂もあるが、本当かは分からん。」
メリビル»「そのグワルって人は何処に居るんですか?」
ラバレサ»「グワルは元王妃陛下の影でな、多分、生きていれば城に居るかロズグランデに居るんじゃないかの?」
メリビル»「ロズグランデって、あの邪神が居るって言う最近国になった所?」
ラバレサ»「その邪神の側近にグワルの可愛がっていた弟子が居るんだよ。名前は確かサイスナーラと言ったか、なんとなく感情の薄い冷酷な子の印象があるな。」
サーグ»「私達にロズグランデへ行けと?」
ラバレサ»「ここに居るよりマシなのではないのか?」
メリビル»「先生もロズグランデに行くんですか?」
ラバレサ»「ワシはもう歳だから残る、行っても邪魔にしかならん。お前達だけで行ってくれ。」
サーグ»「そんな…。」
メリビル»「先生1人を残して行けませんよ。」
ラバレサ»「一緒にワシが行くと2人の足枷になるやも知れん、それにロズグランデで仕事を貰えるとは限らん、あそこには元王妃陛下の暗部が多く居ると聞く、危険はあるが抵抗しなければ可能性はある。」
サーグ»「命懸けじゃないですか、そこまでして行く価値あるんですか?」
ラバレサ»「聞いた話しだが、ドルザビーク侯爵家の令嬢も側近に居るはず。かなり気性の荒い令嬢らしいが、話しを聞く耳を持っているとか。」
メリビル»「サイスナーラって人はどんな人?」
ラバレサ»「サイスナーラは感情を表に出さないのか、見た感じではワシには良く分からん、会った事は有るが、それだけだ。グワルに手紙を書く、それを持ってロズグランデに行きなさい。」
グワル宛の手紙を持たされ、ロズグランデに向かう2人。
もしグワルがロズグランデに居ない場合は弟子のサイスナーラへ手紙を渡せとの指示だ。
2人は王都からロズグランデまで徒歩で移動、馬車等の乗り物が無いので仕方ない。
8日間かけてロズグランデ王都らしき街に到着したが、綺麗な造りかけの街と、どう見ても廃墟にしか見えない街の落差が激しすぎる。
廃棄には人の気配はするが人影がなく、街に入るのを戸惑っている所を不審に思われ衛兵らしき者達に捕まってしまった。
2人は縄で縛られた状態で城に運ばれた。
しばらくして誰かが玄関から入ってきたのだが、人間に見える人も居る、あの人も捕まったのかな?
ユーリ»「ただいま、これは?」
ミザリ»「街の外で不審な動きをしていた者を捕らえて連れて来た所です。」
ライズ»「他領の密偵らしく、ロズを探っていた所を捕獲しました。」
ユーリ»「なんで他領の密偵って解るの?」
ライズ»「ロズの街を探ってる魔族なんて他領の者しか居ませんよ。」
ユーリ»「それもそうか。見た目は若そうな密偵さんだけど、ロズ王を始末しに来たのかな?」
魔神を始末って私達に不可能でしょ。
それより今の状況が凄くヤバいんじゃないだろうか…。
ユーリ»「これ取ったらマズいの?」
クチの詰め物を取ってくれるのか?
ライズ»「暗部は基本的に囲まれて撤退不可か拘束される前に自害するのが常です、ですのでクチに詰め物をしているのです。」
ユーリ»「拘束される前って…既に拘束されて縄でグルグルじゃないのよ?」
リルビ»「我々の方が人数が多いですし、この者達の技術は素人よりマシな程度でした。」
そうか、この人達が王妃の暗部だった人達なんだ、さすが一流の暗部、怖すぎる。
ユーリ»「リゼル、クチの詰め物とってくれる?」
リゼル»「自害されて背後関係が解らなくなりますが?」
ユーリ»「多分ね、自害しないだろうし、仮に死んだとしても私に損害は無いから構わないよ。」
この人間、魔族を従えてる?
ロズグランデの魔神って…この人なのでは?
たしか魔神って、国が行使した召喚陣で召喚された違う世界の人。
多分、間違い無い、この人が魔神だ。
リゼル»「承知しました。」
リゼルと呼ばれた人がクチに詰まってる布を取ってくれた。
ユーリ»「さてどうしよう。」
ラナ»「ここで無計画ですか!?」
ユーリ»「いや、この子達は多分、主人に廃棄されたんだと思う、でなきゃ未熟な密偵を任務に出さないでしょ?捕まって調べられたら自分もヤバいじゃない。」
なんとか自分達がロズグランデに来た理由を聞いてもらいたい、先生の言ってたグラスウォーカーのドルザビーク侯爵令嬢は居ないみたいだ。
メリビル»「あの…発言よろしいでしょうか。」
ユーリ»「許します。」
メリビル»「有難うございます、私はメリビルと申します、隣りの子はサーグ、私達は任務を受けてロズグランデ国に参ったのでは御座いません。」
人間が怪訝な顔で見てくるが、仕事で来たワケではないのは事実だ。
多分この王妃の暗部らしき人達に囲まれた状態で嘘は通用しないしバレたら終わりだ。
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