終焉の支配者〖another,story〗

真條 沙織

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王妹殿下の密偵達③

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子爵家の密偵見習いが王族の密偵見習いに…。

見習いとはいえ、流石に王族に仕えるとなると1度でも失敗しようものなら処分は確実に免れない…。
これは…私達は使い捨て用に拾われたんだ。


セリス»「2人とも固まってるよ?」

エンル»「そりゃ試用期間とはいえ、いきなり王族に仕える事になるんだもん、普通に固まるよ。」

リーゼ»「そんなに気にしなくていぃぞ、私に王族の意識は無い。」

ルーネス»「リーゼも元は密偵で私達と変わらないよ、主様に気に入られて妹になっただけだ。」


密偵が王族に?いくら気に入ったからって王様の妹なんかにする?


ローナ»「でなきゃ普通に王族が屋根裏なんかに来る事は無いから。私達も普通に話してるでしょ?」


確かに会話は王族に対する言葉使いではない、むしろ仲間の雑談っぽい。


ハンナ»「国王も普通に屋根裏に遊びに来るけどね(笑)」

セリス»「王女も1回来たな、コハクの体重で床が抜けるかと思ったわ。」

エンル»「ミシミシいってたよね(笑)」

リーゼ»「こんな感じだ、出来たばかりの国だから王族とか階級の境目が良く分からんだろうが、気にしてたら倒れるぞ。」

ルーネス»「今のロズで、国王、王妹1人、王女1人、公爵家が1件、男爵位が1人、騎士爵位が4人だな。あとステリアラの騎士爵位を持ってるのも居るな。」

リーゼ»「あまり身構えてると失敗するぞ?この国ではステリアラの常識は通用しないから戸惑うかも知れないがな。」

エンル»「私達の主、国王陛下は私達が裏切らない限り失敗しても処分する方じゃないと思うよ、逆に心配されるんじゃないかな?」


国の王様が密偵ごときに心配?
普通は国王が暗部を直に使う事は稀だ、だがこの人達は国王を主としている、国王直属の密偵なのか。


ルーネス»「リーゼも密偵の気持ちは解るだろうし、酷い扱いはされないと思うよ?」

セリス»「じゃハンナ行こうか。」

ハンナ»「帰りは馬車かな?前金いるんじゃない?」

リーゼ»「少しなら持ってるが。」

ルーネス»「主様から支給されてるから大丈夫だよ。」

リーゼ»「そうなのか?」

ルーネス»「あぁ、私達が何時でも行動できるようにってラナから預かってる。」


2人は何処かへ行くみたいだ、気にはなるが新参者が任務の内容を聞くのは怪しいと思われるので黙って見送るしかない。


ハンナ»「どこ行くの?って顔してるね?」

メリビル»「あ、すみません。」

リーゼ»「当然の事だが、お前達の調査に行くんだ。」


そうか、自分達は他国の密偵だったし、信用なんて無いから調べるのは当然だ。


サーグ»「私達には隠さなけれはならない事は御座いません、調査よろしくお願いします。」

セリス»「リーゼに仕えてれば前より良い待遇なのは間違いないから、頑張ってね。」

メリビル»「有難うございます、頑張ります。」

コロモリ»「ロン行ってきたの。」

ローナ»「おかえり、何も無かった?」

ロン»「ん。」

エンル»「エンは?」

ロン»「エンね、もうすぐ来る。」


なんだコレ!?


ルーネス»「空から監視するんなら2人じゃ足りないんじゃないか?」


エンル»「ルーネスもコロモリ欲しいの?」

ルーネス»「ちょっと可愛いなと思ってるだけだ。」

リーゼ»「欲しいなら金は有るんだし買ってくればいぃんじゃないか?」

ルーネス»「あの金は皆の活動資金だから使えないだろ。」

リーゼ»「空に飛ばして巡回してるんだろ?必要経費になるんじゃないのか?」

エンル»「我慢したら主様に叱られるかもよ?(・∀・)ニヤニヤ♪」

リーゼ»「欲しい物があるなら買っていぃんじゃないか?とりあえず私はお姉様の所に戻る、盗賊の話をしているみたいだ。」

ルーネス»「わかった。」

リーゼ»「2人はココで待機だ。」

メリビル&サーグ»「はい。」


ジークリーゼ様が行ってしまった、どうしよう…。


ルーネス»「リーゼが呼ぶまで仕事は無いよ、出来ればリーゼ近くの屋根裏に居た方がいぃね。だいたいココ、執務室の上だけど。」

サーグ»「はい。」

エン»「どーんッ!!」

エンル»「ぐッ!! その顔に張り付くの可愛いんだけど、なかなか痛いのよね。」


また来た、なにこれ?


エン»「だいぢょぶなの。」

エンル»「顔に張り付くのはいいけど普通に飛んで来てくんない?私は大丈夫じゃないの。」


なんか可愛い。
さっき買うって言ってた、従魔?


エンル»「コロモリ欲しいならリーゼに頼んでみな?ダメとは言わないと思うよ?」

メリビル»「いえ、そんな…。」

ルーネス»「私達の主は暗部を大切にして下さるんだよ、けして暗部を使い捨てにしないと力説なさってた。」


そんな主が存在するのか?
言うだけなら簡単だ。
でも皆は主人を信頼してる感じがする、ジークリーゼ様も元は密偵だったらしいが、王族だからと密偵を見下した感じはしなかった。

それに、いつの間にか居なくなった2人、姿を消した事も気が付かなかった、やはり元王妃の暗部なのだろう。

その後マイズトーレに調査へ行くとの事で、調査隊に混ざって初仕事。

ジークリーゼ様より街に変化があれば知らせろと指示を頂いたので2人で街を見回っている。

街の冒険者との戦闘の後、違う冒険者が街に近付いているのをジークリーゼ様に報告。
そこで国王陛下が…。


ユーリ»「あんた達、覆面するとかしないの?」


 (。・о・。)あ。


リーゼ»「言わなかった私にも落ち度はある、あまり意味はないが、慣れる意味でも今から覆面してろ。」


許して下さった。
暗部として、特に密偵として致命的な失態のはずなのに、大した問題でも無いかの様に許して下さった…。

これか?ルーネスさんの言ってた暗部を大切にしてるって。
しかしこれ、暗部の扱いじゃなく、普通に部下として見てるだけなんじゃ…?










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