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呼び声
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あれは確か、中学で行った修学旅行で体験したことだった。
宿での自由時間、僕は他の部屋に遊びに行く途中だった。
『おーい、1人でどこ行くんだ?』
不意に後ろの方から声を掛けられた。
「ん?他の部屋に遊びに・・・」
言いながら振り返るが、そこには誰も居ない。
気のせいか・・・
僕はそのまま友達の部屋へと向かった。
階段を上り始めると再び声を掛けられた。
『一緒に行っていいか?』
「おう、一緒に行くか?」
返事を返し振り向くが、やはり誰も居ない。
誰かイタズラしてやがるな・・・
気にしない事にして歩き出した。
『ちょっと待てって』
やっぱりもう一度来たか、また隠れるつもりだろう?今度は引っ掛けてやる
聞こえないふりをして無視して歩く・・・
『無視すんなよ、待てって』
言って肩に手を置かれた。
今だ! その手をしっかり掴み勝ち誇ったようにイタズラ犯に言い放った。
「さっきからくだらねぇ事すんなよ」
顔を確認しようと振り返った瞬間。
掴んでいた手の感触が消え、目の前には誰も居ない、隠れる場所も見当たらない廊下が続いていた。
確かに掴んでいた手の感触を何度も確認し、その場で呆然と立ち尽くしてしまった。
何が起きたのか?確かに掴んでいたはず?イタズラ?どこに隠れる?手を掴んでいたはず?・・・
訳がわからなくなり、何度も同じ事を考えて立ち尽くす。
カタン・・・
廊下の奥から物音が聞こえ、飛び跳ねるようにその場から逃げ出した。
自分の部屋に逃げ帰り必死で今起きた事を説明したが、誰も相手にしてくれない。
しばらく説明を続けたが諦め、その日は寝る事にした。
よく朝着替えをしていると、何かに気付いたルームメイトに声を掛けられた。
「ケガでもしたのか?」
「?・・・いや、特にケガしてないけど」
「首の辺り、アザみたいになってるよ」
言われ慌てて、シャツを脱ぎ鏡に映してみる。
そこには手の形に見えるアザができていた。
昨日見えない誰かに掴まれた場所にくっきりと・・・。
その後もアザは消えず、少しずつ下に移動していき、1月後には肩甲骨・・・心臓の裏の辺りまで下りてきた。
次の日の明け方、強烈な胸の痛みに飛び起きた。
異常な寝汗と共に、背中に違和感を覚え鏡を見てみると、開いた手型のようだったアザから指の部分が消え、まるで握り拳のような形に変わっていた。
呆然とアザを見ていると、耳元でつぶやくような声が聞こえてきた。
悔しそうな声で一言だけ。
『ちがう』
声が聞こえたと思った直後、みるみるアザが薄くなり消えてしまった。
いったい何が『ちがう』だったのか?
もし『ちがう』とならなければ、どうなっていたのか?
・・・・・・
とりあえず今のところは何事も無く過ごせている。
宿での自由時間、僕は他の部屋に遊びに行く途中だった。
『おーい、1人でどこ行くんだ?』
不意に後ろの方から声を掛けられた。
「ん?他の部屋に遊びに・・・」
言いながら振り返るが、そこには誰も居ない。
気のせいか・・・
僕はそのまま友達の部屋へと向かった。
階段を上り始めると再び声を掛けられた。
『一緒に行っていいか?』
「おう、一緒に行くか?」
返事を返し振り向くが、やはり誰も居ない。
誰かイタズラしてやがるな・・・
気にしない事にして歩き出した。
『ちょっと待てって』
やっぱりもう一度来たか、また隠れるつもりだろう?今度は引っ掛けてやる
聞こえないふりをして無視して歩く・・・
『無視すんなよ、待てって』
言って肩に手を置かれた。
今だ! その手をしっかり掴み勝ち誇ったようにイタズラ犯に言い放った。
「さっきからくだらねぇ事すんなよ」
顔を確認しようと振り返った瞬間。
掴んでいた手の感触が消え、目の前には誰も居ない、隠れる場所も見当たらない廊下が続いていた。
確かに掴んでいた手の感触を何度も確認し、その場で呆然と立ち尽くしてしまった。
何が起きたのか?確かに掴んでいたはず?イタズラ?どこに隠れる?手を掴んでいたはず?・・・
訳がわからなくなり、何度も同じ事を考えて立ち尽くす。
カタン・・・
廊下の奥から物音が聞こえ、飛び跳ねるようにその場から逃げ出した。
自分の部屋に逃げ帰り必死で今起きた事を説明したが、誰も相手にしてくれない。
しばらく説明を続けたが諦め、その日は寝る事にした。
よく朝着替えをしていると、何かに気付いたルームメイトに声を掛けられた。
「ケガでもしたのか?」
「?・・・いや、特にケガしてないけど」
「首の辺り、アザみたいになってるよ」
言われ慌てて、シャツを脱ぎ鏡に映してみる。
そこには手の形に見えるアザができていた。
昨日見えない誰かに掴まれた場所にくっきりと・・・。
その後もアザは消えず、少しずつ下に移動していき、1月後には肩甲骨・・・心臓の裏の辺りまで下りてきた。
次の日の明け方、強烈な胸の痛みに飛び起きた。
異常な寝汗と共に、背中に違和感を覚え鏡を見てみると、開いた手型のようだったアザから指の部分が消え、まるで握り拳のような形に変わっていた。
呆然とアザを見ていると、耳元でつぶやくような声が聞こえてきた。
悔しそうな声で一言だけ。
『ちがう』
声が聞こえたと思った直後、みるみるアザが薄くなり消えてしまった。
いったい何が『ちがう』だったのか?
もし『ちがう』とならなければ、どうなっていたのか?
・・・・・・
とりあえず今のところは何事も無く過ごせている。
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