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30話

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30分ほど休憩を入れ、後は夕方まで走り続けるようだ、夕方には宿場町に泊まるらしい

「ナオト君って金貨何枚持ってきました?」

なんかすごいこと聞く、いくら知り合いでも財布の中身って普通聞かなくない?

「何故今それを?」

20枚ほど持ってきたが、素直に答える気にはなれない

宿代とか護衛代の経費で銀貨60枚は必要らしい、往復分考えて金貨1枚と銀貨20枚は出すように言われた

経費と言われたら出すしかない、その中にはヒルダの手数料は入ってないようだが、今まで色々とピンハネされてきたのだ、当然と言えば当然だ

いきなり馬車が止まった

「どうかしたんですか?」

「レッサーウルフ出た、ここで殲滅する。」

簡単に状況を説明してモラーが弓を射る、レッサーウルフは素早く中々当たらない

メイズはこちらに来て馬車の警護をする、マークは馬車の中に逃げ込む

(お前仕事しろよ)

「ウインドアロー」

ミューラーのカマイタチのような魔法がレッサーウルフを切り裂く、見えない風は流石に避けきれないようだ

とどめを刺すには至らないが動きを止めることには成功した

マークが飛び出して一頭ずつ首を後ろを一突きで殺していく

1番楽なポジションじゃん、そう思ったがこれがいつも彼らのやり方のようだった

弓で牽制し、魔法で傷を作り、小剣でとどめを、リーダーのメイズは守りを

中々いいコンビネーションだ、普通の動物と違いレッサーウルフは魔物だ、心臓の場所にある魔核を取り出し、身体を燃やした、燃やさないとまた魔物を誘発するらしい。

ものの15分ぐらいの攻防ではあったが迷走の猪の熟練度がわかった、彼らで正解だったな、ヒルダの目は正しい

予想外の時間ロスだった為急いで宿場町に向かう

なんとか真っ暗になる前までに宿場町サルに着いた

宿は決まっているらしく、部屋へと案内されたが、ここでも素直に肯けない事態が

「なんでヒルダさんと同じ部屋なんですか?同性である迷走の猪のメンバーと同じ部屋でいいですよ」

「雇主と一緒に泊まるなんて非常識ですよ、部屋がたくさん有れば分けて泊まりますが、そんなにここに部屋数はないので仕方ないですよ」

なんか納得できないが、部屋がないと言われたら断ると野宿になってしまう、昼間の危険なやりとりを見てて野宿なんて選択はできない。

「じゃあ部屋の中は仕切りますからね、ここからは来ないでください」

と布で部屋の中央部で分断する、だがベッドは一つしかない為俺はごろ寝だ、馬車の中のクッションでも取ってこよう

「寝る前にお酒でもいかがですか?飲むとぐっすりと眠れますよ」

確かに昼間の血を見てしまった衝撃でまだドキドキが止まらない、少しは飲んでもいいかもしれない

「わかりました、私弱いので少しだけ頂きます」

ヒルダの持ってきた酒はかなり強く、一口飲んだだけで喉がヒリヒリと焼けるようだったが、勧められるまま一杯飲み干した

飲み干したまでは覚えているけど、その後の記憶がない、気が付くとベッドで寝ていた、目の前にはヒルダが

(あれっいつの間に一緒に寝ていたんだ)

「う う~ん、あっナオト君おはよう、昨日の夜は、、、うふふ」

(もしかして、、、、)

「何かありました?」

「責任取ってくださいね」

特段着衣の乱れもない、おそらく何もないはず、恥ずかしい話だけど、俺はお酒が入ると男としての機能は使えない、何も起こるわけがない

もちろんそんな事情を説明はしたくないが、いざとなったら暴露するしかない

「責任って同衾のですか?添い寝ぐらいで責任なんて取れませんよ、別にやましいことは何もしてませんから」

「何故何もないと?」

「いくら酒に酔っても理性はなくなりませんから」

「チッ」

盛大な舌打ち聞こえたぞ

「そんなことより朝ごはんにしましょう、もう出来てると思いますよ。」

下の食堂からいい匂いがするから間違い無いだろう

朝飯はソーセージとスクランブルエッグと野菜スープであった、ソーセージは胡椒が利いてて美味しかったが、スクランブルエッグはケチャップが良かったが味が薄い、野菜スープも同様だ

こっちって基本味が薄いんだよね、香辛料が余り普及してないようだ、塩とか砂糖って国が管理してるから商売のネタにはならないけど、こんだけ薄味じゃ商材にしたい。

今度許可が取れるかどうか、ヒルダさんに聞いてみよう

まだバッグの中には塩と砂糖1キロずつあるし、帝国だと法律も違う可能性があるから調べてみよう

今日も長期の移動だ、帝国までまだしばらく掛かる

その間に色々と模索してみよう。
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