赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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戸惑い

やめて下さい!!

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お美味しい食事を食べてお腹いっぱいになると自然と瞼が重くなり寝てしまい 起きたときにはだいぶ身体も楽になってた。

『起きたか』

『うん。寝すぎて身体の節々が凝って痛いけど だいぶ 楽になったかな』

『昼過ぎても起きないとかなり心配してたぞ』

『そんなんだ。アルは少し心配症なのかな?』

『少しとは程遠いと思うが』

『今は 何時なの?』

『日が沈み始める前だ』

夕暮れ前ってことなのかな?寝すぎてしまったな、このままだと またお世話になるのはダメだろう。それに教会にもいかないと、何時までも勘違いされたままは良くないしね。

ベッドから降りて部屋を見渡し ひとつのドアノブを掴み開けた。

ビンゴ!すっげー 広いウォーキングクローゼットだ。手前に俺の着ていた服が置かれていた。
着替えて部屋を出たが・・・廊下の先を眺める・・・二者択一 右に進むと階段を下る。キョロキョロと見渡して階段を下れば 宝塚の大階段の様に向こう側にも階段があり真ん中は広場になっており、広場から下に下がる階段がある。

この建物は個人の持ち物なのか? お城だと言われても納得の行く造りだ。


下に降りると観音開きの大きな扉があった。

「挨拶もしてないのに 玄関に辿りついたよ」

『挨拶もせずにそのまま出て行くのかと思った』

『まさか そんな事は絶対にしないよ』

横の扉から出てきた グリーさん。

「イオリ様!どうされました?」

良かった、コレでお礼が言える。

「えっと グリーさんで良かったですよね」

「自己紹介がまだでしたね。オリグリー・ベネソンと申します。遠慮なくグリーとお呼び下さい」

呼び捨てはダメだろう。

「えっと イオリです。あの、ほか・・アルベルトさんや皆さんに良くしていただきありがとうございました。これ以上 お世話になれませんので、出ていきます」

グリーさんの顔が見る見る強ばって行くけど、どうしよう。俺 なんかやらかしてる?わかんねぇ~、お礼だけ 言って出て行こうと思ってたけど、お金払わないといけないとか?
お金なんて持ってないしなぁ。

「旦那様や奥様 アルベルト様が外出なさっております。お帰りになる迄お待ち頂けませんか?」

それは好都合なのでは?

「いえ、日が沈む前に出て行きたいので」

「待って 頂けませんか?」

「すみません。俺も行きたい場所がありますので」

「そうですか」

良かった!わかって貰えた。

「アルベルトさんに ありがとぅ!!!
「皆様の外出中にイオリ様をお止め出来なかった不出来な私はダメな家臣でございます。かくなる上は この首をはねて 
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!ダメダメ やめて!!お願いですから やめて下さい!!」

そんな物騒な物 何処から取り出したと 問いたくなる。
剣を首に押し当てて そのまま引けば とんでも無い惨劇になりかねない。
慌てて止めて 剣を直して貰うけど 腰に下げてる薄い鞄の様なポシェットの中に収まったのを見届けて俺はその場に座り込んでしまった。

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