赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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戸惑い

痣 16

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グー、パー、グー、パーと 握ったり開いたりさせてる自分の手を見つめながら 「ほら、なんだ、あれだ、アレ。その、ほら、」
モゴモゴと呟いてるだけで、言葉の意思疎通もままならない状態。

「はぁー、なんでしょ?」

「そのだな、ほら、・・・だからな」

何かの手遊びなのか?リズムゲームとか流行ったもんな。俺も友達と一通り遊んだな。

「俺には、その遊びが分からないので俺は帰ります」

覚えても余り面白そうだとは思わない。

「待て!それに俺は遊んでない!!」

「はぁー そうなんですね。何かの手遊びなのかと。で、なんでしょ」

「ほら、何か あるだろう?」

「なにが あるんですか?俺は何もないですよ?」

クッと息をのみ苦い顔をするアル。そんな顔をするなら吐いてしまえ。

「だからな!だから・・・」

「面倒臭い。お金も持ってない俺が 一人歩きをしてもつまんないので帰りたいです。お1人で出掛けたいなら 俺に構わずにどうぞ お出かけになって下さい。では!!」

クルッと 1歩前に進む事が出来た。今度は引き止められずにすんだみたいだ。

『なんなんだ?良くわからん!!』

『あ~あ。可哀想に、アルベルトも悪いが 少しも察してやろうともしないイオリも悪いな。しかも 己の不甲斐なさを猛烈に反省に入ったアルベルトの酷い落ち込みだ』

『後ろ 付いてきているの?』

『足に重りを付けて引きずってるぞ』

うん?足に重りを付けてる?重りなんて持ってたか?
気になり振り向いて確認してしまった。が、後悔することになってしまう。

真っ黒な霧を背負ったアルはズリズリと足を引きずって付いてきている。
うわぁー・・・俺 いきなり後ろから刺されても可笑しくないわ。

『俺 振り向いた事をすっげー後悔してんだけど どうすればいい』

『振り向けとは言っていない。なぜ、振り向いた。アレを私にどうして欲しいと言うのだ?』

『俺には 手におえないから桔梗に聞いたんだよ』

『私にも無理だ』

バッサリと桔梗に切り捨てられてしまった。
桔梗、オレも無理です。
でも、振り向いた事で 見なかった事にも出来ない。

俺のバカぁ~と、思いつつもアルの側にいき声をかけた。それも 思いっきり ぶっきらぼうに。

「帰りますよ!」

そして アルの背中に手を添えてただけで 硬直して息を呑む。

「いちいちと面倒。溜め息を吐きたいならどうぞ 思いっきり吐いてください。健康に悪そう」

吐きたい溜め息も吐かずに居たら ストレスで胃に穴が空きそうだと思い 溜め息を吐きたいなら吐けと言っただけなのに。

「断る!」

「へ?あ、あぁ~ そう。」

溜め息を吐いたら しあわせが逃げるって言葉を真に受けたのかよ?
人前で溜め息を吐くのはみっともないって事から伝わった 言葉をそのまま真に受けたんだ。
溜め息だけで 人の幸せが左右されるわけないじゃん。

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