赤い糸の先

丹葉 菟ニ

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焦り

親 6

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釣りポイント迄 船の室内で寛ぐ間に合い アル 自らお茶を入れてくれた。

「すみません ありがとうございます」

「焼き菓子もある。遠慮せずに食べなさい」

缶の箱を開けて差し出して来るので1枚を取り食べる。うーん、なんだろう?カンパンを薄く焼いたもの と言えば早いかな。
悪くわないけど、もう少し砂糖が欲しいかな?

・・・・ムシャムシャ ゴクゴク・・・
会話が見つからない。
早く 釣りポイントに着いて欲しい。

「坊ちゃん達 着きましたよ」

やっと 着いた 釣りポイント!釣り竿を取り出し 餌を付けようとするが 船頭さんが率先して付けてくれる。

「さぁ、どうぞ 初めてください」

「ありがとうございます」

竿は柔らかな木の素材で出来た釣り竿。電動リールなんて無い、手巻きのリールだ。下げたとしても深くまで下げれないのが残念だけど、釣りは釣りだ。楽しもう!

隣でアルも釣りを始め 船頭さんが、撒き餌を巻いてくれる。

ものの数分でクイクイ 餌をつつく感触!
コレコレ!
グイーン!

ホイ きたぁ~!ヒットォーー!!
この感触!!たまりませんなぁ~!
リールを巻き巻き グイグイ!
おっとぉー 大物の予感!!

「おぉー、坊ちゃん 早速 釣れましたな。頑張ってください」

船頭さんがタモを手に応援してくれる。

「頑張れイオリ」

「はい」

竿をそのまま放置して俺の横に来たアル?!

「アル、竿!持ってないと!!」

「ああ、そうなのか?」

竿を持ちに行ったと思ったら、竿を手に戻ってきた!

「アルベルト坊ちゃ~ん!!!」
「エッ、ダメダメ!アッ~!!バァカァーーー!!」

俺と船頭さんが同時に叫ぶが、アルは何が起きたのかわかってない。

「どっどうした!!」

「どうしたも こうしたも ございません!」
「祭りになった!」

わかってないのはアルだけで 俺と船頭さんはうんざりしてしまったが、何とか気を取り直したのは船頭さんだ。

「兎に角 アルベルト坊ちゃんはじっとしといて下さい」
「すっ、すまない」

俺はアルをキッと睨むと、シュン と項垂れてしまった。

「坊ちゃんは取り敢えず少し巻いてくれますか?」

船頭さんの指示通り少し巻いて竿を少し立てた。船頭が絡まった部分を解いてくれる。

その時になって やっと糸と糸が絡まった事がわかったのか 更に項垂れてしまったアルだが、かける言葉はハッキリ言ってない。
ズブの素人。そう言えば 釣りの知識無いって言ってたよな?それで良く 釣りをしようとか思ったよな?
それに、知らないなら知らないなりに一通りの事は聞くのが礼儀だ!!

「アルベルト坊ちゃん!いいですか?釣り竿は近づけてはなりません。こんな風になっしまいますからね」

「ああ、よくわかった。本当にすまない」

解きながら説明する船頭さんは優しくやっては行けないことを子供に言い聞かせる様に言って、素直に謝るアルは大きな子供に見えた。





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