先祖返りの三毛猫さん

丹葉 菟ニ

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第3章

匂い

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今日も恐怖のお風呂タイム、怜登の言葉を信じてお風呂に入るとしっかり入浴迄付いてるけど 怜登にしがみ付いて50数えて出る。

「何度も俺と繰り返して 入ればその内慣れるよ」

そうかな?そうなるのかな?それよりも同じ石鹸 同じシャンプー使ってるのに怜登から微かにいい匂いがする。

「・・・・なぁー俺と同じシャンプーだよな」

「同じボトルを使ってるの知ってるでしょ?・・・敦 俺からいい匂い感じた?」

「・・・微かに」

「今も匂う?」

「今は 匂わない」

ニコッと甘く笑う怜登は俺を抱き上げてソファーに座るけど俺は怜登の膝の上。

「今から話すことは大事な事だからちゃんと聞いて。猫には1年に3回  猫の発情期が来る、2~3月、7~8月、9~10月 その度に 先祖返りした猫は自分が1番落ちつける匂いを求め出す。普通の猫も先ずメスが発情し始めてオスが触発される、その点が一致してる所だ。敦はきっと今発情期を迎えてる。明日からは学校を休もう」

「大丈夫 今は何ともない。気の所為だったかもしれないし、あらためてシャンプーがいい匂いに感じただけかも知れないだろ?もし体調がおかしかったりしたら早退するし」

「そう、大丈夫?」

「大丈夫、とりあえずもう寝ない?」

「・・・わかった」

ベッドでは怜登に抱きしめられて横になってるが、先程から甘い誘うよ様な匂いが時折漂う。この匂いには覚えがある、初めて怜登に会った時に怜登から匂ってた匂いだ。
この匂わなく無くなったのはプールに落とされて無くなった。
また プールに入れば匂わなくなるのか?

実際に耳も尻尾も出てる、夢じゃなかった。でもまだ 俺はふつうの人で居たいと そんな事を考えながら眠りについた。





「残念だけど こんな事もあるさ」

「雨は苦手」

「敦らしいね。海莉が制服に防水スプレーを施してくれてるはずだよ」

「それはすっごく嬉しい嬉しい後でお礼言っとこう」

「敦、匂いはする?」

「しない。やっぱり シャンプーの匂いが改めていいなって思ったんじゃない?」

嘘だ。時おり怜登から匂ってくる匂いは心の中をザワザワさせる。

「体に異変があれば直ぐに早退すること!いい?」

「何度も執拗い 分かったって。気にし過ぎだって」

明るく言ってみても怜登の心配は拭えないのか 眉を潜めるだけだ。



時間になり いつも通りにキスされるけどドキドキが止まらないまま車に乗り込み学校に向かったが、後悔は始まってた。


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