先祖返りの三毛猫さん

丹葉 菟ニ

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第3章

匂い 2

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ずっと イライラするし、匂いがはっきり言って臭い。
汗臭い男子ばっかりの部室に入った時の様に汗が発酵した臭さが教室に充満してる。
最速 吐きそうだ。

気分が悪いけど何とかの自分の席に付き 窓を全開にして顔をうつ伏せた。
気を抜くと直ぐに椅子を蹴り飛ばして学校を飛び出しそうな自分を自制する。

「よぉー、おはようさん。どうした敦?また、姉ちゃんが何かやらかしたか?」

陽気に声をかけてくる雄大に腹が立つがそれは八つ当たりだと分かってる。それは、したくない。

「ごめん 冗談に付き合えない。マジで吐きそう」

「オイオイ こんな所に居ないで保健室だろ!おい!保健委員 俺敦を保健室に連れていくから オヤジに伝えて。敦 立てるか?」

肩を親切に貸してくれるけど、ありがた迷惑にしかならない。
下手をしたら今すぐに殴ってしまいそうだ。

保健医がまだ居ないけど勝手にベッドに寝かしてくれるが腐った匂いが鼻に付き飛び起きてしまった。

「おい、寝てろよ、それに顔色悪いぞ、今 先生呼んで来るから」

驚く雄大はグイグイと俺の肩を押してくる。

「うぅぅぅん、ごめん 吐きそうでトイレ行ってくる」

態々 付いて来てくれる雄大の面倒見の良さが恨めしい。
トイレは入れない ドブ 臭さにノックアウト。

「雄大 ごめん 俺 帰るわ 」

ダメだ。何処も彼処もくさくてたまらない。イライラしてたまらない。

「そうか?付いて行こうか?」

「ううん、迎え呼ぶから」

学校についたばかりの雄大に迷惑をかけれない。

「カバン 持ってきてやるよ」

保健室で雄大を待ってると、保健医が入って来た。

「あら どうしたの?」

いつもは清潔な石鹸のいい匂いをさせてる保健医なのに今は鼻を摘みたくなる匂いを保健室に撒き散らす。

簡単にクラスと名前だけを伝えて 眼の前で迎えを呼んだ。
そうこうしてる内に カバンを持ってやって来た雄大にお礼を言って、待ってろと呼び止めるが途中で会えるからと教室を飛び出し校舎を出た。

校舎内が色んな臭いが入混じり臭い箱になってた。
そんな箱を飛び出し 少し呼吸が出来るようになったが なにかが足りない。

注意が散満してた。
校門を出た所で 腕を掴まれて 無理やり引きづられる。

「なっ!!」

「貴様のせいで!!責任を取ってもらうからな!!!」

理由の分からない事を言いながら俺を無理やり車に詰め込むのは 例の記者だ。



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