異世界無知な私が転生～目指すはスローライフ～

スローライフに不穏な足音

クロウ夫妻

私達が 泊まってた部屋の家具をコウキが貸してあげたマジックバックにしまい 宿の家具が無くなり、リホームに携わる職人達がゾロゾロと入ってくる。最終確認を終え 近隣に迷惑が掛からないように薄い幕で結界が張られリホームが開始された。

レビンの修行の場所は私が借りた家になる為に地図は渡してる。
今日は家族サービスで少し遠出をするとリューイちゃんがはしゃいでた。

私たちは 借りた家に行けば中でクロウと1人の女性が待っていた。
女性は期待の篭った目で見られてるが、だれだ？

「突然 済まないね。私の妻のテッシーだ」

「お初にお目にかかりますクロウ・シュバルツの妻テッシー・シュバルツと申します。以後お見知り頂けましたら光栄でございます」

ぉぉー コレはヨーロッパ中世とかで流行った挨拶 カーテシーか。
一連の動きが滑らかで美しく 綺麗だ。

「ご丁寧な挨拶ありがとうございます。私 初めて見ました。一連の動きが 滑らかでいて優雅に美しく綺麗なものですねカーテシー。
その動きは女性一人一人が持つ優美さの全てが現れる挨拶ですね」

手に持っていた扇子をバッ と広げ 口元を隠したが嬉しそうな雰囲気が伝わってくる。

「ありがたく存じます」

控えめな お礼で好印象だ。
ワゴンを押してきた老婦人の人がお茶を入れてくれる。

みんなで座って、何の話かと思えば婦人は私のファンで結婚して1度もお願い事をしなかった妻が、はじめて私とお茶を飲みたいと我儘を言ってきたので 叶えてやりたいと思い 事前にアポも無しに やってきたそうだ。

たんたんと語ったクロウに対して婦人はアポ無しと知ると真青になり今にでも倒れてしまいそうで怖い。
この場は 私が何とかしないと。

「アラアラ、私が断るとでも？」

「初めての妻の我儘だからね 少々強引でも叶えたかったからな。全ての責任は全て私にあるが、私 相手でも確りと自分の意見を述べるからな 多少は許してくれる かなと」

全く悪びれてないクロウは、私がそんな事でいちいち怒らないと思っての行動だっていいたいのか？
当たってるけど、婦人の前だし。

「残念ですよ。生まれて初めて カーテシーの挨拶を見せてくれる女性とのお茶会ですよ。私がどんなに逆立ちしても出来ない挨拶の変わりに、私に出来るお茶菓子の準備も出来なかったじゃないですか。
ね、テッシー様もお茶にはお菓子が必要だと思いません？」

「ええ、お茶には甘いお菓子は必要かと」

「ほら、ご覧ない。男性が思うより 女性は繊細に準備が必要なんです。次からは事前に連絡して下さい」

「そうだな、今回は私が突っ走ったせいでミホさんには悪いことをした」

いい事思い付いた！

「本気で思ってます？」

「ああ、本気で思ってる」

「なら、許して上げる変わりに1つお願い事を聞いてくれません？」

妻の前だからこのお願い事は断らないよな。

「私に出来ることなら何でも」

よっしゃー！どれ程の貴族か知りませんが出来ますよぉ～。

「できますよ、貴族のクロウ様なら。試験者兼試食者の会長をして頂きたい。絶対に口外しない事が条件です。会長なんですから、会員を集めて下さいね。当然 口の固い方をお願いします。
あっ、この話を聞いてしまった奥様は副会長を、お願いしたいですが、嫌なら旦那様に押し付けてしまって下さい。会員は10名程がいいですね。会員は夫婦でも構わいません。
クロウ様よろしいでしょうか？」

「オイオイ、許してやる代わりの願い事が、厄介事の予感しかしないが？」

「そうですか？リニューアルさせる宿の料理と、そのデザート・甘いお菓子の試食をして欲しいだけですよ。
それと、宿の従業員の動きを見てほしいだけなんですけど？
そんなに厄介事にはなりませんよ」

「サラッと言ってくれる。味覚に優れ、的確にいい動きを見れる者を10名連れて来いと言ってるのだろ。その絶対条件が口の固い者ときた」

テッシーはお茶をぐびぐび 飲むと 立ち上がり 

「旦那様！ミホ様！私 副会長務めさせて頂きます！ですが、1つ質問がございます絶対口を割らないと言いきれるお方を思い浮べると幼少の頃からのお友達２名と、息子の妻でも宜しいでしょうか？」

「絶対に秘密を守ってくれる方なら私は大歓迎です。私は初めて出来た貴族のお友達を信じます」

バッと広げた扇子で口元を隠すが、やっぱり嬉しそうな雰囲気が伝わってる。

どれ程の方かは私にはわからないが、一応は貴族の末端に位置するから、それなりの優秀な人を集めてくるそうだ。
クロウやテッシーのように気取らないが、動作1つとっても優雅な人がいい。




☆☆☆☆☆

「私もあのお方が本物のミホ様とは思わなかったと」ミネルバと話してる時に ミホの名前を妻がたまたま忘れてしまった書類を持ってきた時に漏れ聞いてしまった。

妻と結婚して20年経つが1度も我儘を言って来ない妻が初めてのお願い事が憧れるミホとのお茶会だ。
私もお茶会のアポ取りなど当然知っているが、一度しかあってないが彼女は貴族を知らないなら、アポ無しで行けばいい。
彼女の遠慮ない性格なら怒らないと判断して、場所を貸し出す借家に勝手に決めて妻に伝えたところ、大はしゃぎで大変だった。

お気に入りのドレス数着を見せられて、ミホ様はどれが1番 好まれますか？なんて聞いてきた。
今まで お茶会に行くのに、どのドレスにするか等聞かれたことも無いから 内心焦りながらも1番シンプルだが妻が良く際立つデザインのドレスを進めた。
ドレスが決まると髪型や小物まで細部に渡って決めてる姿に、さすがの私も罪悪感に駆られて当日、落ち着いた所で曝露した。

呆気に聞いてるミホと避難する召使い達の目線と今にも倒れてしまいそうな妻にヒヤヒヤするばかりだ。

「あらあら、私が断るとでも」

言葉は軽いが、私からしたら好感触。
正直に話した方が得策だな。
ミホは今まで 貴族との関わりを持ったことがないと言っていた。言ってる事が本当なら感性が凄いのかも知れない。
初めて見たカーテシーの感想もそうだ。
女性のカーテシーは、優雅 知性 可憐全てが分かるのが最初の挨拶とそれてる。

言葉巧みに 妻には責任がないと言って来ている。私から責は自分にあると言わざる終えない。が、一応は貴族だがら大腕を振って謝っても駄目なわけで 濁してミホに謝れば、妻の前で断れない願い事を・・・何とも厄介事な事になりそうな雰囲気が漂う。
断るつもりでいたが、まさかの妻のやります宣言。
断れ無くなった。