陸上自衛隊 異世界作戦団

EPIC

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Part5:「魔を携えし脅威」

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ネタバレ:メチャつよ魔法出て来て、自衛隊にちょっと被害出るよ。


――――――――――


 ――突然の待ち伏せ。罠、襲撃。
 合わせて遭遇相対したのは、未観測の――正体の知れぬ敵。

 帝国陸軍大尉のエリスンは、突如として苛烈な戦闘の最中に置かれ。そして未知を有する状況に困惑を伴いながらも、必死に指揮・戦闘行動を行っていた。

「各小隊は下がりなさい、再編成をっ!――砲手、次弾装填完了次第撃てっ!」

 キューポラの内に身を落として、必要なだけの視界を出しながら。
 指揮下の擲弾兵に後退再編を命じ。同時進行で擲弾兵の後退の援護、兼攻撃行動のための指揮を執っているエリスン。

 しかし、待ち伏せからイニシアティブを取られてしまった現状は、はっきりいって最悪であり。
 組織的な後退というよりも、最早逃走に近いそれで下がろうとする擲弾兵たちは。次から次へと、入念に配置した敵の火点よりの銃火に喰われ、崩れ沈んでいく。

 無論、エリスンの直接率いる戦車小隊も、仲間の援護のために死の物狂いの抵抗戦闘を行っている。
 エリスンの乗るフェアト中戦車が、次には主砲である9.5dhh戦車砲を唸らせ向こうに撃ち放ち。
 それに続くように、前側方に配置したフェアトの派生型の突撃砲が。歩兵直協支援のための短砲身砲を撃ち放つ。

 しかしフェアトの放った9.5dhh戦車砲弾は。向こうに現れた未知の敵戦車――角ばった全形が特徴の、おそらく重戦車級のそれの正面装甲に、容易く儚いまでに弾き退けられる。
 そして突撃砲の砲撃は、向こうの家屋建物に叩き込まれて、その上階の爆砕を成したが。
 しかしそんなものは小手先と、恐れも怯みも知らぬ色で。敵の銃砲火は衰えること無く、向こう各方より襲い飛び来る。

「こんな強敵……同盟各国にあんな戦車は無いはず……――っぅ!?」

 未知の相手方を向こうに、険しい顔で唸りかけたエリスンだが。次にはすぐ目の前で上がった爆発爆炎とその衝撃に、それすらも阻まれる。
 一瞬伏せた視線を戻せば。目の前では、敵戦車からの応射砲撃の直撃を受けた突撃砲が。大破炎上、なり果て沈黙した姿がそこにあった。

「!……おのれ、どこまで私たちを……っ!」

 その、無残で惨たらしいまでに果てた仲間の姿が。しかし彼女に憤怒の炎を宿らせた。

「砲手……指揮を任せる!私は前に打って出る!その間にお前たちは、後退再編を試みなさい!」

 エリスンは一度、戦車の砲塔内に向けて指示命令の声を張り上げると。次には少なからず驚く部下たちの返事も聞かずに、キューポラからするりと這い上がり。
 戦車上より側面へと、流れる動きで飛び降りながら。その途中でフェアト中戦車の車体に括りつけ載せていた、大きな何かを取った。
 ――それは、大剣。
 刃渡り200dhh(2m)を越えようかと言う、とてつもない得物。
 しかしエリスンはそれを。愛用の得物であるその巨大剣を、片手で易々と掴み持って支えると。
 次には地面に着いた足を、しかし着くと同時に踏み切り。未知の、そして憎き敵に向けて飛び掛けだした――


 エリスンのその正体は、『魔女』だ。
 20歳程の若々しく見える容姿に反して、その齢は300近い。この異世界に存在する、幻想の存在の一人。
 その身には、人間のそれを優に上回る力を、強靭さを携え。
 同時に『魔力』を宿し、それを術と現して扱う『魔法』を体得する。

 その力は、まさに一騎当千に値する。

 大隊長のクリエールから彼女に至るまで、そういった強大な幻想の存在は。明かせば、敵対の師団旅団クラスを単騎で相手取り全滅させることすら可能だ。
 正直な所を言えば。彼ら彼女らにとって大規模な部隊と足並み揃えての進行は、必要無く煩わしくすらあるのだ。

 その彼ら彼女ら幻想の存在が組織に与し、その煩わしくある足並みを、しかし揃える理由は。
 また軍も、そんな強力な存在にわざわざ足並みを揃えさせる理由は。

 強力だが希少な個である彼ら彼女らは、単騎乱舞し滅することには秀でても。
 「占拠」、「広範囲の確保維持」などの。数をもってのカバー、継続行動などには不向きである事情が。

 そして当人たちからすれば。
 仲間に背を預け、戦いを共にするのも時に有用であり。そして『悪くない』という個人的な好みの所も大きかったのだ。

 ――そしてそんな、共にする日々を心地よく思っていた仲間たちが。
 しかし今。エリスンはその目の前で、次々に容易く崩され奪われた。

 彼女からすれば、最早激昂に値するもの。

 彼女のような強大な力・魔力を携える、一騎当千に値する強力な個人は。
しかし帝国軍では、その単騎突入行為などは。
 戦況作戦の混乱を招く恐れや、最悪敵中に堕ちる事を懸念され、規則で原則控えるようされていた。

 だが、見せつけられた惨劇を前に、それにより煮え滾った感情に。エリスンにとって、最早そんなものは細事であった。

「――っ!」

 彼女は村道上を、まさに飛翔するまでに跳躍で駆ける。
 その向こうに鎮座し見えるは、敵の重戦車級戦車。その砲塔が旋回し、砲身砲口が彼女を捉え――唸りを上げた。
 一瞬と形容することすら不足な速度で、砲弾が彼女を狙い飛び込む――

 ――キィンッ、と。

 次に響いたのは、微かに鈍くも透る金属音。
 その発生源はエリスンの元。その彼女は愛用の巨大剣を、流すような太刀姿で翳し突き出している。
 直後――彼女の背後。何も無い明後日の方向で、爆炎が上がった。

 ――察せるだろうか。
 彼女は巨大剣の刃を用いて、襲来した戦車砲弾を『切って』。同時に逸らして退けたのだ。
 人間業では無い。文字通り人ならざる『魔女』たる存在が成したそれ。

「ふっ!」

 そのエリスン当人は、その砲撃も小賢しいものと一蹴するように。次にはまた地面を蹴り、一層大きく跳躍。
 敵戦車――90式戦車――の、その懐へ入り踏み込み。

 ――巨大剣にて、一閃を薙いだ。

 戦車の砲塔に、微かに一筋の反射する射線が走ったかに見えた――直後。
 ――戦車は、爆発。
 彼女の手によって撃破された。

「――っ、零し逃がしたっ」

 戦車の撃破にこそ成功したが。憎らしいことに、敵の戦車乗員等は彼女の肉薄の一瞬前には、戦車を放棄して飛び出し。
 戦車の爆発炎上の衝撃に煽られながらも、怒号を張り上げながら逃げ去っていた。

「ふん、臆病者ね!」

 口ではそう罵りながらも。相手の様相から、どこかそれがただの臆しての逃走では無く。敵側のそういった行動指針、予期からの取り決めであるように見え。
 逆に揶揄われているように感じ、忌々しさを感じてしまうエリスン。

 そしてそれを証明するかのように。向こうの家屋に掩体する敵機関銃から、乗員脱出の援護のためであろう機関銃掃射が襲い来る。

「っ――静かにしていなさいっ!」

 そんな注いだ機関銃の銃火をその身に喰らい、『豆でも投げつけられた』かのような痛みにまた苛々を覚えながらも。
 次にエリスンは、その手を向こうへと翳し向ける。

「稲妻よ――貫きなさいっ!」

 そしてその口に紡がれたのは『詠唱』。
 次の瞬間、その向こうの家屋に強烈な落雷が落ちた。
 それは彼女の扱う『雷魔法』の体現。

 強力かつ強烈なエネルギーのそれは、落ちた家屋の上階を崩壊崩落させ。
 仕留めたか、逃げられたかは不明だが、敵機関銃の銃火を止ませた。

「仲間たちの命を奪った罪は重いわ……覚悟することねっ!!」

 そして次に。彼女は怒りの感情を、断罪の意志を高らかに発し上げる。
 その彼女の感情をまるで可視化するかのように。彼女の身より漏れ出る魔力が、ピリ、ピリ、と雷魔法の形態でもって、まるでオーラのように発生してエリスンにまとわりついている。
 そしてそんな様相を見せる彼女は、麗しいまでの単騎乱舞をまた見せ始めた――


――――――――――


ネタバレ:次で自衛隊が反則技で勝つよ。
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