―異質― 激突の編/日本国の〝隊〟 その異世界を掻き回す重金奏――

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チャプター2:「凄惨と衝撃」

2-26:「惨劇の終結、そして行動再開」

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 光の届かぬ暗い空間。
 その内で一本の蝋燭が灯され、微々たる光で暗闇に小さな光点を造っている。
そしてそれを頼りに囲う、四人分の人影があった。一人は30歳前後の成人男性、そしてそれぞれ10歳程の男の子が二人と女の子が一人。

「フケンおじちゃん……」

 内の一人。中でも最年少の大人しそうな男の子が、か細い声で成人男性をそんな名で呼ぶ。

「大丈夫だケイク、大丈夫さ」

 フケンと呼ばれた男性は、その男の子に無理くり作った笑みを浮かべて、そんな言葉を紡いで頭を撫でてやる。
 彼らのいるこの暗い空間は、地下に造られた貯蔵空間。今、フケンと呼ばれた男性の所有する家屋の地下室であり、そして万が一の時に〝身を隠す〟場所でもあった。
 町が陥落し、抵抗の訴えも甲斐なく住民が次々にモンスター達に降っていく中。フケンは生き延びる事を諦めず、親とはぐれあるいは失った子供達を目に付いただけ片端から連れて、この自宅の地下空間へと逃げ込み身を潜めたのだ。
 そしてそれから丸二日が過ぎていた。
 食料こそ貯蔵に助けられているが、フケンはまだしも子供達は、その体力気力共に大分摩耗が見え始めていた。

(……脱出を考えるべきか?)

 子供達の様子から身を隠すにも限界を感じ始め、そんな事を脳裏に浮かべるフケン。
 はっきり言って助けが来る保証は無い。いつこの地下室が見つかるかも分からない。しかし、子供達を連れてモンスターの蠢く町中からの脱出を図る事もまた、危険を伴う博打だ。

「――ッ!」

 その大きな二択を思い浮かべたフケンであったが、直後。その彼を耳は軋むような元音を聞いた。音源は地下室の天井、梯子が駆けられ、そこに造られた地下と地上を結ぶ出入口扉だ。そして扉から微かに零れ落ちて来る砂埃。何者かが、その向こうから扉を開けようとしている証だ。

「ッ!みんな奥へ!」

 フケンは子供達に発し、そして自らは手元の剣を取って立ち、子供達を庇い構える姿勢を取る。
引き続き軋む音を立てていた天井の扉が、こじ開けられたのはその瞬間であった。
 放たれたその先に一瞬見えたのは、人の物ではない大きな影。まず間違いなくこの町を襲ったモンスターであろうと察し、その顔を険しくしながらもフケンは剣を構える。
 しかし直後。扉の向こうより突然瞬いた強力な光が、彼の視界を奪った。

「ッ!?」

 「しまった、目つぶしか」、内心でそう苦く焦る言葉を浮かべながらも、フケンはもはや我武者羅の抵抗を見せる勢いで、剣を突き出そうとした。

「――フケン?フケンか!」

 だが、そんな彼の耳に。彼の名の呼び、確かめるような声が届いたのはその時であった。

「?」

 それは、フケンにとっても聞き覚えのある物。眩しさに苛まれつつも、その正体を確かめるべく視線を前へと向けるフケン。丁度そのタイミングで、こちらを照らしていた強力な光は向きを変え、フケンの視界がいくらか回復する。
 同時に天井の開口部を潜り飛び降り、地下空間へと着地する巨体が見えた。緑色で体躯の良いそれは、まさにオークのもの。

「大丈夫だ、俺だ!ヘンシェルヴィーナだ!」

 しかしオークからは、そんな名乗り訴える声が寄こされる。そしてその名と声、いやそのオークの正体は、フケンのよく知る者であった。

「ッ!……ヘンシェルッ?お前、なのか――ッ!」

 薄暗い地下空間の中で、そのオークの顔、姿を目を凝らし確認するフケン。
 それは町の一部の者が密かに交流する、町を襲ったモンスター達とはまったく別のオーク部族、ユーティースティーツ部族の。その中でもフケンと親しく交友のある、ヘンシェルヴィーナという名のオークであった。

「無事か!?」

 そのヘンシェルヴィーナはフケンに急く様子で近寄ると、その武骨な片手でフケンの肩を抱き、彼の安否を確認尋ねる。

「あぁ、なんとかな……皆、このオークの兄ちゃんは味方だ」

 フケンはそれに答え、それから背後で不安の様子を浮かべていた子供達に、そう伝える言葉を送る。

「来てくれたのか……!」

 そしてフケンはジューダに向き直り、救いに来てくれたであろう彼に、喜びと驚きの混じる言葉を送る。

「あぁ、ジューダが異常を感じて飛び出して行ってな。俺達も、何人かでそれを追って来たんだ」

 それに対してヘンシェルヴィーナは、事の次第をかいつまんで話した。

「しかし、よく来れたな……地上は、町は軍勢に支配されているだろう……?」

 続けフケンは、ヘンシェルヴィーナがここまで辿り着き自分達を見つけられた事に対して、少しの驚きを示し。そして伺うように言葉を紡ぐ。

「あぁ、俺達が来た時にはな。――だが、もう連中はもういない。全部倒されたよ」
「な……なんだって……!?」

 しかし、次に返されたヘンシェルヴィーナからの答えに。フケンはまた別の形での驚く声の上げた。

「全部、まさかそんな……お前達が倒したのか……?」
「まさか……連中を退けたのは、彼等だ」

 驚き、そしてまた尋ねる言葉を返したフケン。しかしヘンシェルヴィーナはそれを否定、そして自身の背後へ視線を送りそちらを示す。フケンもそれを追い、そこにある気配存在は感じていた別の人影を、初めてしっかりと見る。
 そこにあるは、異質な斑模様の衣服を纏う一人――1型迷彩服装備の隊員、第2分隊分隊長の浦澤であった。

「あんたは……?」
「初めまして、私達は日本国陸隊の者です。訳あってこの町に介入し、ユーティースティーツ部族の皆さんに協力して行動しています」

 疑問の声を零したフケンに、浦澤は自らの組織を。そして目的を名乗って見せる。

「ニホン……あんた、等が魔物の軍勢を……?」
「後ほど詳しくご説明します。しかし今は、まずはあなたと子供達の避難移動を」

 また訝しむ声を零したフケンに、しかし浦澤はそう促す言葉を返した。



 町の中心部近くの一角。そこにある一つの家屋。
 そこは町の診療所でありそして現在は、発見に至った生き残りの町の人々の避難所として使用されていた。
 中を覗き見えるは、待合室に値するスペースに身を寄せる人々。
 一度町の外へ避難してもらっていたサウセイに、先に発見保護したフケン。他にも見つかった恰幅の良い中年女性、ネンエルと名らしい人。それらが子供達へ寄り添い。町医でありこの診療所の所有者でもあるドゥクフレイという壮年の男性が、陸隊の衛星隊員の手伝いを受けつつ、生存者の人々を見て回っている。
 他、大人が両手で数えられるほど。そして子供達が十名少し。
 合計で20にも満たない人数。それが、捜索の結果見つかった生存者の全てであった。

「〝本当に無事と言える人々〟は、これで全てです」

 その診療所待合室内の一角、そこで報告の声を上げるは策頼。淡々とした口調で発せられた、しかし少し強く主張するようなそれ。
その言葉はここに保護された人々が、彼等が最後まで抵抗逃走を諦めず。モンスターに降り己が身を悪しき敵に委ねる事などしなかった、そして汚さなかった真の意味で無事と言える人々である事を表すものだ。

「そう……」

 そんな策頼の報告に、何か力の無い色での声が返る。
 その場、待合室の壁際に置かれた長ソファの隅に、ぐったりとした様子で体を預ける直宇都の姿が在った。その額には濡らしたタオルが乗っかっている。
 先の凄惨な〝清算〟の場を目の当たりにして腰を抜かした彼女は、制刻の手によりこの診療所まで運び込まれたのであった。
 直宇都の目の前には制刻が立ち構え、直宇都の姿を少し呆れた色で見下ろしている。

「そんだけかよ……ッ」

 その横から、今の策頼の報告の言葉に対しての、苦い色での声が聞こえ来る。制刻の横で、拝借した丸椅子に座っている敢日のものだ。

「コミュニティとしては、壊滅でしょう」

 そこへ続け策頼が、端的な分析の言葉を紡ぐ。

「一応、俺等の方の目的は成されたが――こっからはどうすんだ?」

 制刻は直宇都に向けて発する。
 隊の当初の目的は、北方の77戦闘団と南方の54普連他部隊との連絡路上にあるこの町を安全化する事であった。そして町からのモンスター勢力の一掃、隊による確保が完了したことにより、その目標は成された。
 制刻の言葉は、その上でのこれよりの指針をどうするかを尋ねるものだ。

「これ以上は、私達だけでは限界があるわ……――」

 それを受けて、直宇都はまだぐったりとした様子ながらも、説明を始める。
 ――町にあっては、当面少しの間は54普連装甲小隊に引き続き残ってもらい、保護他の提供を続けてもらう手はずだ。しかしそれ以降の長期の話となれば、隊だけでは限界があり、どこかこの異世界の外部コミュニティからの応援が必要不可欠となる事がまず話される。
 そしてしかし直宇都はそこで、今現在自分等がいるこの〝笑癒の公国〟の状況を推察の上で述べる。
 どうにも、現在77戦闘団が展開している〝綿包の町〟より以北。国の王都などからの交易や音信の類が一切途絶えており、状況が不明との事であった。そしてその北よりモンスターの軍勢が襲来した事、果ては南に近いこの愛平の町までこの惨状であった事を考えれば、この笑癒の公国全体が混乱下にある事は想像に難く無かった。
 その事を鑑み直宇都は、他の国――それも大国にこの事を持ち込み、応援を打診する必要がある事を説明した。

「それが、今んトコ取れる選択って所か」

 一連の説明を聞き、敢日が小さな溜息混じりに呟く。

「色々対処すべきことが増えちゃったけど……私達は一度、予定通り豊原基地を目指すわ……」
「んじゃ、再開の準備をしとくか」

 そして直宇都は、制刻等の当初の目的であった豊原基地への合流帰還をまず果たす事を促し。最後に締めくくる様に制刻が発した。

「――なぁ。すまない、いいか?」

 そんな所へ、制刻等の背後より声が聞こえた。
 各々が振り向けば、そこにサウセイの立つ姿があった。

「サウセイさん……?いかがなされました?」

 民間人を前に、さすがに直宇都は額の濡れタオルを取り払って、姿を取り繕い立ち上がり相対する。

「他の人(隊員)から聞いた。あんた方は月詠湖の国に拠点を構えていて、そこに戻ると。……差し出がましい事は承知だが、頼みがあるんだ――」

 その直宇都始め各々へ向けて、サウセイは紡ぎ始めた。



 診療所の外の傍ら。
 その一角に集い、囲いたむろする大きな姿がいくつかある。
 ジューダを筆頭とするユーティースティーツ部族のオーク達と、トロルのハープンジャーだ。
 ちなみに囲う面子から離れて。フワフワとした雰囲気の女オークのネオジェルシィだけは、その場で待機状態にあったGONGに何か色々話しかけている。

「ッ、酷ぇコトんなっちまった……ッ」

 吐き出され聞こえる苦い色の声。その主は、少し荒っぽい気質のオークのデュラウェロ。言葉は町の惨状と、わずか20名にも満たない生存者を嘆くものだ。

「すごく痛ましいけどさ……一緒に驚きもすごくて、色んな所で整理ついてないんだよね……」

 そんなデュラウェロの言葉に、続け言葉が挟まれる。主は女オークのサウライナス。
 その言葉は、主としてここまで数々の衝撃を体現して見せた陸隊及び航空隊について言及するものだ。
 今も丁度通過して行った73式中型トラックを、サウライナス始め何名からその視線で追う。

「彼等は異質で――少し危険に感じる」

 そんな所へ、少し難しい声色で言葉がまた挟まれる。その主はトロルのハープンジャー。

「えぇ……いくらなんでも、町の人達ごとだなんて……」

 それに、またサウライナスが続く言葉を発する。
 言及されるは、彼等ユーティースティーツ部族が目の当たりにした、隊の行動。及びその資質、価値観。
 隊は、モンスター達に降った町の住民を、モンスターごと屠って見せた。
 いくら住民達が抵抗を諦め降り媚びに行き、そして汚され取り戻せないまでに壊されたとはいえ。それを躊躇なく救う価値無しと断じ、モンスター共々屠って見せた。
 ハープンジャー等の言葉はそれ等から隊を、過激で危険な価値観と行動指針を有する組織と見て、懸念を示すものであった。

「一理無いとも思わないがね」

 しかしそんな所へ割り入れる声がある。その主は方眼鏡(モノクル)が特徴的なオークのロードランド。

「あの有様になってしまったら、死を持って解いてやるよりないだろう。生きる事は、自由を諦めなかった者にのみ与えられるという考えも、分からなくはない。現にサウセイさん達は、諦めなかったからその身を守り通せた」

 ロードランドが紡ぐは、隊の価値観と行動指針に一理ある事を示すもの。その重低音での言葉は、しかしどこかドライであった。

「お前まで、なんてこと言うんだよロードッ」

 ロードランドの冷たいまでに感じる言葉に、デュラウェロは少し荒げた声色で異論を返そうとする。

「やめないか」

 そんな両者に、仲裁の声が割って入る、他ならぬジューダのものであった。

「――だが一方で、彼等のおかげでサウセイ達が救われたのも事実だ。いや、私達もな」

 続けジューダは、傍にある開け放たれた診療所の玄関扉から、内部を覗き見ながら発する。内部には子供達を見て回り、あるいは寄り添いあやす生き残りの町の大人達の姿が見える。

「確かにね。それに彼等は過激な一面の一方で、慈悲深く保護が手厚いように見える」

 ジューダに続くように、ロードランドもまた言葉を紡ぐ。
 それは隊が生き残った住民に提供する保護を見て、それを評し。隊がまた別種の一面を合わせ持つ事を推察するもの。

「俺達をオークだから魔物だからと言って、矢面に立たせるような事もしなかったからな。どころか彼等は、俺達に対してまでどこか過保護なくらいだった」

 さらに言葉を引き継ぎ発するはヘンシェルヴィーネ。それは遭遇依頼からここまでの、隊からユーティースティーツ部族への接し方を顧みて、それを評価表現するもの。

「私達とは根底から事なる、独自の価値観を。正しいと思う指針を持っているのだろう――」

 締めくくる様に、ジューダは〝日本国隊〟という組織。いや日本人という人々に対して、そう推察の上での評する言葉を述べる。


 物語を外れ、この場を借りて述べさせてもらえば。
 それは現実世界での日本国、日本人。そして我々の知る〝自衛隊(じえいたい)〟の価値観、倫理、正義ともまた異なるものであった――


 そんなジューダ等の会話が一区切りした所を狙ったかのように。診療所の玄関口からいくつかの人影、他ならぬ制刻等が出て来た。

「ん?サウセイ?」

 そこでデュラウェロが声を上げる。診療所より出て来たその中に、サウセイの姿が在る事に気付いたからだ。

「あぁ、みんな」
「おい、安静にしてなくでいいのかよ?」

 脚を負傷している身であるサウセイに、デュラウェロは案ずる様子で言葉を掛ける。

「こんくらい差した事はない。それより、少し急だが俺は町を発つ」
「はッ?」

 それに問題ない旨を返すサウライ。しかし同時にサウライが発した言葉に、デュラウェロは訝しむ声を上げた。

「どうにも笑癒の公国全体が、まずい状況にあるようだ……俺は月詠湖の国にこれを伝えに行く、その必要がある。彼等の拠点が月詠湖の国の月流州にあって、これからそこに戻るらしい。それに同行させてもらえる事になった」

 それに対して、その理由、説明の言葉を紡ぐサウセイ。

「ちょ、ちょっと待てよ!深くは無いからって、お前怪我してんだぞ!?」

 しかしデュラウェロはそれを差し止めた。それは負傷している彼を案じ、懸念を示すもの。

「言ったろ、大したモンじゃない。それに俺が行くのが一番都合が良い。ドゥクフレイ先生には居てもらわないと困るし、フケンやネンエルは甥っ子や息子さんが居る。対して俺は独り身だからな、それに月詠湖の国の中枢にはツテがある」

 対してサウセイは問題ない旨を、続け自身が発つ合理性を説く。

「だからって……ッ!だったら俺も行くぞ!」

 しかし、サウセイの事を酷く心配している様子のデュラウェロは。少し言葉に迷いを見せた後に、そんな訴える言葉を発した。

「おい、デュラウェロ」

 それに声を掛けるはジューダ。ジューダは荒む様子のデュラウェロを差し止める。

「別に、構わねぇが」

 しかし、そこへ別方から声が飛んだ。声の主は他ならぬ制刻だ。

「アレならそっちから、何人か同行してもらって問題ねぇ。今回の件やこっちの地域の詳細やら、その辺説明してくれるモンが複数人いりゃそれも都合がいい」

 制刻は同行者が複数名いる事に、隊側としては問題ない旨。他都合を説明して見せる。

「んなッ、自由!勝手に……」
「別に、こっちにゃキャパはあるだろ?」

 その自由に直宇都は勝手な判断許可を咎める声を上げるが、制刻は「何の問題がある?」とでも言うように言葉を返す。

「責任者の私を飛ばして、勝手に決めるなって言ってるのよ!……はぁ……」

 それにまた叱る声を飛ばし。しかしどこ吹く風の制刻を見て、直宇都は米神を抑えて溜息を吐く。

「――皆さん。私達の側では、何名かの方の同行を受け入れる事が可能です。お送りするだけでなく、向こうでの滞在も支援させていただきます。私達としましても各国への応援要請の上で、今回の事件を証言していただる方が、何名か居ていただけると有難く思います」

 そして居住まいを正し、ジューダ等に向けてそう説明の、そして要請の言葉を紡いだ。

「滞在……そこまでを?」
「いいの?」

 それに、ジューダやサウライナスが訝しむ色の混じった声を返す。

「問題ありません。後は、皆さんのご希望次第です」

 それに対して直宇都は問題ない旨を。そしてジューダ等の希望を問う旨を返した。

「――デュラウェロの追う通り、サウセイを一人で行かせるのには懸念がある。しかし今回の件を、他国へ伝えなければならないのも事実だ。サウセイは月詠湖の国には、首都学校時代の繋がりでツテがある。サウセイが行くのが話が早いのも確かだ」

 ジューダはまず懸念事項を紡ぐも、同時にサウセイが月詠湖の国に赴くことの合理性を言葉にする。

「――そうだな。申し訳ないが、私達も数名同行させてもらいたく思う」

 そしてジューダは、そう決断する言葉を紡いだ。

「どちらにせよ、今となっては君達の協力は不可欠だ。何を偉そうにと思われるかもだが、君たちの事をもう少し知っておきたい。代わりに、私達から提供できる何かがあれば、協力させてもらいたい」

 ジューダは続けそう言葉を紡ぎ、願い入れる言葉を直宇都や制刻に告げる。

「とんでもありません、ありがとうございます。私達は、あなた方の要請を受け入れましょう」

 対する直宇都は、そう礼と受け入れる言葉を返した。

「ありがとう――申し訳ないが、少し時間をいただきたい。一度私達の住処に帰り、今回の事を伝え、旅支度も整えてこなければ」

 ジューダによれば彼等の住まう場所は、この愛平の町より西方に行ったところにあるとの事だ。森や丘を伴う一地域を居住地としているらしい。

「問題ねぇ、こっちはいくらか時間にゃ余裕がある」
「よければ、居住地に戻るための車輛を出しましょう」

 それに制刻は問題ない旨を答え、直宇都は提案の言葉を紡ぐ。


 それから、これよりの次なる行動を起こすべく。各々はそれぞれの準備行動を開始した――
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