―異質― 邂逅の編/日本国の〝隊〟、その異世界を巡る叙事詩――《第一部完結》

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チャプター1:「異世界への降着 ―異質な〝ヤツ〟と中隊―」

1-6:「町と山賊」

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 高地に設けられた野営陣地内の、指揮所天幕には、再び井神や小千谷、主要な陸曹空曹が集い、今後の方針が話し合われていた。

「知っての通り我々は流浪の民状態で五里霧中の状況にある。これは少しでも改善するには、先日も言った通り偵察行動と情報収集が不可欠と考える」

 天幕内で、長机の前に立つ井神が発する。

「――なんですが、その前に当面の懸念事項として、我々は補給の問題を抱えています」

 井神の言葉を引き継いだのは、需品科隊員で補給隊所属の長沼二曹だ。

「補給地点にある物資だけでは足りないんですか?」

 長沼の言葉を受け、一人の隊員が挙手をし、質問する。

「燃料弾薬はそれなりに備蓄がある。なにせ、中央補給地点の燃料弾薬区画が丸ごと一緒に飛ばされて来たからな。ただ――不安があるのは糧食の類だ」

 長沼は手にしていたバインダーに目を落とし、現在隊が保有している糧食の総量を読み上げる。それは、100名近い隊員の今後の食を支えていくには、お攻辞にも余裕のある物では無かった。

「糧食関係の区画はなぜか欠け落ちていて、一緒に飛ばされては来なかった。燃料弾薬と違い、毎日消費する物だし、現有量だけでは近いうちに底をつく」
「いっそ総出で狩りでもしますか?」

 長沼の説明を聞き、一人の陸曹が、冗談交じりに発する。

「最悪それも考える。しかしできる事なら、どこか町などから補給が望めればと思っている」

 隊員の言葉には、井神が返した。

「麓の村から……は無理そうですね」

 河義は麓の芽吹きの村を候補に上げようとしたが、すぐにそれを自ら否定する。

「あの村に我々100名強もの隊員に、食を提供できるキャパシティは無いだろう」

 河義の言葉に返しながら、井神は長机に置いてあったタブレット端末を手元に寄せ、画像閲覧機能を立ち上げる。
 画面に映し出されたのは、河義等が持ち帰ったこの攻界の地図の画像だった。

「地図と、村から聞けた話によれば、ここより東に行った所に比較的大きな町があるそうだ。偵察、情報収集も兼ねて、この町を当たってみたいと考えている」

 井神はタブレットに映る地図の一か所、町の記された位置を指し示しながら、発した。

「あの――調達するにしても、資金はどうするんですか?」

 そこで別の隊員が発する。
 当然のことながら、隊はこの攻界で使用されているであろう通過など、持ち合わせてはいなかった。

「こちらでこの世界の通貨を得る方法があればいいが――とりあえず有効なのは物々交換、もしくは物の換金だろう。申し訳ないが、各員から貴重品の提供を募りたいと思う」
「げ」

 井神のその言葉に、誰かが思わず言葉を零した。
 井神は引き続き、向かわせる部隊の概要説明に入る。
 向かわせる部隊の要員は、54普通科連隊からを主体に、各隊から必要と思われる人員を抽出し、編成。先日の騒ぎがあったばかりであることを鑑み、部隊には89式装甲戦闘車を随伴させることを、井神は説明した。

「人員は追って知らせる、それまでは各員、引き続き割り振られた業務作業に当たるように。質問は?」

 各員から、特に質問が上がる様子は無い。

「では、解散」



 翌日。
 隊は偵察分隊を編成し、分隊は早朝に高地を出発した。
 目的地は高地より東の方角に存在する、〝昇林の町〟という名の町。
 小型トラック1両と89式装甲戦闘車1両からなる偵察分隊は、地図と平坦な草原に出来た轍を頼りに進み、町を目指していた。現在は小型トラックが先行し、少しの合間を取って装甲戦闘車が続く布陣を取り、行程を進めている。

「エンブリーへ、こちらジャンカー4。視界に不審物無し」

 制刻はインカムに報告の言葉を発する。

《エンブリー、了解》

 相手は後続の装甲戦闘車の車長だ。報告に対する返答が、各員のインカムに伝わる。
 元々演習時に各隊、各車両に割り振られていた無線識別名は、この異世界で集結した各隊で部隊を再編するにあたり、新たな物へと変更されていた。一緒に飛ばされて来た本部管理中隊の隊員が考え、割り振った物だった。どうにもゲームの用語から取られたらしいそれ等のネーミングは、各隊員に若干訝しまれながら受け止められていた。
 偵察分隊は20分程轍に沿って進んだ所で、一つのなだらかな丘を越える。そしてそれまで遠くに山や森等しか見てこなかった分隊の各員の目が、視線の先に久しぶりの人工物を捉えた。恐らく石造りであろう城壁に囲まれ、その内側には建造物がひしめいている。まごう事なき町であった。

「あれじゃねぇか」
「あぁ……」

 制刻が発し、鳳藤が返す。
 待望の目的地をその目に映した各員だが、しかし、一様にその表情は険しかった。

「……煙が上がっている」

 双眼鏡を除いて町を確認していた河義が、零すように発する。
 町の各所からは、火の手が上がっていた。

「エンブリー、穏原おだわら三曹。ジャンカー4ヘッド、河義です。町の様子が見えますか?」
《あぁ、見えている》

 河義は小型トラックの斜め後方に停車した、装甲戦闘車に振り向き、視線を送る。
 装甲戦闘車の砲塔上に、キューポラから半身を出して双眼鏡を除く、穏原と呼ばれた装甲戦闘車の車長の姿が見えた。

「一体何が起こってるんだ……」
「まぁ、待ってんのは、十中八九厄介ごとだろうな」

 鳳藤の言葉に、制刻が返す。

「穏原三曹、どうしますか?」

 河義は、同階級ではあるが自身よりも年上で自衛隊歴の長い、この場の先任者である穏原へ指示を仰ぐ。

《ここで引き返したら偵察の意味がない。行ってみるしかあるまい……》
「了解です……」



 偵察分隊は町の南側にある門の前まで来る。
 普段がどうかは分からないがその門は今現在開け放たれ、そして周辺に人の姿は無かった。
 少なくとも、生きている人間の姿は……。

「冗談だろう」

 目に映った光景に、河義は思わず言葉を零す。
 門の周辺には、多数の人間の体が横たわり、散乱していた。

「策頼、周辺を警戒しろ。制刻、調べるぞ」
「了ぉ解」

 河義と制刻は小型トラックから降車。周辺を警戒しながら、散乱する体の一つへと近寄る。
 横たわっていた体は、脈を調べるまでも無く死体だと判別できた。胸に矢が突き刺さり、見開かれたその眼は濁り、虚空を見つめていた。
 そして他の横たわる体も、体を切り裂かれている等死因に違いはあれど、どれもすでに事切れている事に代わりは無かった。

「ここの衛兵のようだが……何者かの襲撃を受けたのか?」
「昨日の皺共か、はたまた別の何モンか」

 河義の疑問の言葉に、制刻が分析の言葉で返す。

「町の中を調べてみるしかないか……」

 河義は開け放たれた門の先を見ながら発した。
 制刻と河義は小型トラックに乗車し直し、偵察分隊は門をくぐる。
 門をくぐった先には、建造物の密集地帯になっていた。城壁沿いに左右に大きな道が伸び、密集地帯の合間には小型トラックがギリギリ通れそうな小道が伸びている。

「装甲戦闘車は通れないな」

 装甲戦闘車の砲塔上から、小道を確認した穏原が発する。

「私達で町の中心部に行ってみます」
「了解、こっちは城壁沿いに行ってみる」

 偵察分隊は二手に分かれ、町内の探索をする事となった。



 小型トラックは立ち並ぶ建造物の間を通る小道を、徐行速度で慎重に進む。
 その理由は、道に散乱する死体を踏まないようにするためであった。

「ひどい……」

 この町の住人であろうか、いくつもの死体が進路上に点在している。
 鳳藤はそれを横目に呟きながら、おそるおそるといった様子でハンドルを操り、死体を避けながら小型トラックを進めていた。しばらく小道を進むも、以前として生きている人間との接触は無く、やがて小型トラックは十字路に差し掛かる。

「鳳藤、そこを右折しろ」
「は」

 河義の指示で、鳳藤はハンドルを切って小型トラックを右折させようとする。小型トラックの前に、建物の死角から何かの影が飛び出してきたのはその時だった。

「うわッ!?」

 突然飛び出して来た物体に気付き、鳳藤は反射でブレーキを踏み込む。幸い徐行速度であった小型トラックは難なく停止し、飛び出して来た何かとの衝突は間逃れた。

「なんだ!?」

 各員の視線が前方に集中する。そこにいたのは、10歳前後と思われる一人の少年だった。

「子供だ……!」
「生存者がいたのか……君、大丈夫か?」

 鳳藤は驚きの言葉を零し、河義は生存者がいた事に少しの安堵を覚えながら、少年に向けて安否確認の言葉を掛ける。

「あ、あ……」

 しかし少年は河義の言葉に返事を返す様子は無く、怯えた目をこちらへ向けていた。

「あぁ、怖がらせてしまったようだな」

 ファーストコンタクトの失敗に、河義は悪態染みた言葉を吐きながら、制刻と共に小型トラックを降車し、少年に近寄る。

「よぉ坊主、そんなにビビるな。俺等は、別にお前さんに危害を加えるモンじゃねぇ」
「お前の顔で言ってもなんの説得力もないだろう……」

 制刻が少年に向けて発した言葉に、運転席の鳳藤は呆れた様子で呟く。

「――!、河義三曹、前方から人が来ます。複数です」

 その時、策頼が報告の言葉を上げる。
 小型トラックが右折しようとしていた方向に視線を向ければ、その先からこちらに向けて走ってくる、複数の人の姿が見えた。

「彼等も住人か?」

 その姿を目にし、疑問の声を上げる河義。

「いや、どうにもこの町の有様の原因のようだ」

 しかし制刻が河義の言葉を否定する。
 よく見れば、こちらへ走って来る集団は、皆その手に剣や斧、クロスボウ等の獲物を握っている。

「待ちやがれ小僧!」
「逃げられると思ってんのか!」

 そして少年に向けて投げかけられたであろう、そんな言葉がはっきりと聞こえて来た。

「うわ、き、来た……!」

 迫りくる集団を目にした少年の顔は、一層の恐怖に染まり、少年は制刻の脇を抜けて逃げ出そうとした。
 しかしそんな彼の襟首を、制刻が片手でむんずと掴み上げる。

「う、うわッ!?」
「坊主、乗れ」

 そして掴み上げた少年の体を、小型トラックの荷台へと荒々しく投げ入れた。
 その間にも集団は接近し、そして彼等はこちらの存在に気付いた。

「おい、なんだあいつら?」
「なんだぁ?妙なナリしてやがる。まぁいい……やっちまえ!」

 集団の内の一人が荒げた声を張り上げ、そして彼等はそれぞれの得物を手にこちらへと向かって来た。

「河義三曹」
「ッ――こちらは、日本国陸隊です!その場で停止して、武器を置きなさい!」

 制刻が河義に、集団が脅威である事を促し、河義は集団に向けて小銃を構え、警告の言葉を張り上げた。

「あぁ?何言ってんだあいつ?」
「何意味わかんねぇこと言ってんだ?――いいから、そのガキ渡せやぁッ!」

 集団は河義の警告の言葉に取り合う様子を見せなかった。そして集団の内の一人は、叫ぶと同時に、その手に握った手斧のこちらへ向けて投げ放った。放たれた手斧は回転運動を伴って飛来。そして小型トラックのボンネットに当たってバウンド、地面に落ちてその場に突き刺さった。

「ッ!」
「まぁ、だろうよ」

 集団の見せた反応と攻撃に、河義は表情を険しくし、制刻は淡々と発しながら、それぞれ角にあった建物と小型トラックの影に身を隠す。

「うらぁ!」
「やっちまえ!」

 集団は手斧の投擲を皮切りに、得物を握りしめこちらへ迫って来た。

「河義三曹」

 小型トラック上のMINIMI軽機に付く策頼が、発砲許可を求め、河義の名を呼ぶ。

「糞……今度はゴブリンじゃない……人が相手だぞ」

 しかし河義は、今回の相手が明確な人である事を前に、発砲指示をためらう。
 河義がためらっている間に、今度はクロスボウの矢が飛来し、河義の身を隠す建物の壁に突き刺さった。

「河義三曹」

 策頼が再び河義の名を呼ぶ。

「ッ……発砲を許可する!各員、彼等を無力化しろ!」
「了」

 河義は意を決したように命令を下す。策頼は河義の言葉に返すと、MINIMI軽機を集団に向けて旋回させ、その引き金を引いた。連続的な発砲音が響き出し、撃ちだされた5.56㎜の群れが集団へ襲い掛かった。集団の内、先頭を走っていた数人が掃射を諸に受け、「ぎゃッ」「ぐぁッ」といった悲鳴を上げてその場に崩れ落ちた。

「な、なんだぁ!?」

 突然の奇怪な何かが破裂するような音と、それと同時に崩れ落ちた同胞の姿に、集団の後続の者達は驚き、狼狽えた。

「繰り返します、こちらは日本国陸隊です!その場で停止して、武器を置きなさいッ!」

 河義は建物に身を隠しながら、再び集団に向けて警告の言葉を発した。

「ふざけやがってッ!」
「殺してやる!」

 しかし警告の言葉は集団の感情を返って逆撫でしたらしく、彼等はこちらへ向ける殺意をより増長させ、得物を手に再び駆け出した。

「ダメか、糞!」
「弾くより他、ないでしょう」

 悪態を吐く河義に、制刻は淡々と言葉を掛けながら、集団の内の一人を狙って、安全装置が単発に合わせられた小銃の引き金を引く。集団の端でクロスボウを構え、こちらを狙っていた一人が、もんどり打ち崩れ落ちた。

「うぎゃぁ!?」
「な、なんなんだアイツ等!?」

 MINIMI軽機による掃射を中心とした攻撃に晒され、集団はあっという間にその数を2割以下へと減らす。そして残された者達は攻勢の勢いを失い、狼狽えだした。

「く、糞……逃げようぜ!」
「あ、あぁ……あいつらおかし――グェッ!」

 逃走の様子を見せた集団だが、その内の一人が小銃弾を首に受け、奇妙な悲鳴と共に倒れ込む。

「おい!もういい、逃げる者まで撃つな!」
「いえ、逃がすと俺等の事を、仲間に知らせるかもしれません」

 河義の命令に、しかし制刻は意義を唱え、そして背中を見せて逃げ出した最後の一人に向かって引き金を引く。最後の一人はその背中に5.56㎜弾を受け、悲鳴と共に前のめりに倒れ込む。

 それを最後に、各員の視線の先には死体のみが散らばり、動く者の姿は無くなった。

「静かんなったな」

 それを確認した制刻は、簡単な作業でも終えたかのように、シレっと一言発した。

「お前……懸念は認めるが、指示には従え……!」
「えぇ、失礼しました」

 制刻に対して河義は、表情を険しくして、釘を刺す言葉を発する。対する制刻は態度を変えず、淡々とした謝罪の言葉で答えた。

「人を……撃った……」

 一方、運転席では鳳藤が小銃を降ろした姿勢で、震えた声を零していた。
 こちらに明らかな敵意を向ける存在だったとはいえ、初めて人を撃ち、殺傷したという事実に、彼女の心は動揺していた。

「鳳藤、大丈夫か?」

 そんな状態の鳳藤に、制刻は変わらぬ淡々とした口調で声を掛ける。

「大丈夫なわけ……あるか……!お前とは違うんだ……!」

 制刻の言葉に、鳳藤は険しい表情と震えた声で言葉を返した。

「まぁ、ちょっと休んでろ。でだ――坊主、大丈夫か?」

 制刻はその禍々しい眼を、鳳藤から、荷台に放り込まれていた少年へと向ける。

「ひ……」

 しかし制刻の恐ろしい顔と眼を向けられ、少年は縮こまり小さな悲鳴を上げた。

「……君、心配しないで。大丈夫、私達は君の敵じゃない」

 河義は返って少年を怖がらせた制刻の存在に若干呆れながら、両者の間に割って入り、少年に向けて発する。

「え……?は、はい……」

 制刻と違って人並みの風貌である河義から発せられたその言葉に、少年は未だ状況を飲み込めていない様子ながらも、ようやくその顔から恐怖の色を少しだけ消して返事を返した。

「君はこの町の人かい?この町で一体何があったんだい?」

 少年の様子が少しではあるが落ち着いた事を確認した河義は、少年に向けて尋ねる。

「あ、あの……助けて下さい!お、お兄さんが……ッ!」

 しかし少年は河義の質問の言葉には答えず、逆に何か焦った様子で河義へと訴えて来た。

「落ち着いて。そのお兄さんというのは?」
「坊主の兄貴か?」

 河義は少年に落ち着くよう促してから訪ね、隣にいた制刻が言葉を付け加える。

「い、いえ……僕を山賊達から逃がしてくれた、猟師のお兄さんがいるんです!でも……僕を逃がす代わりに山賊に囲まれて……!」

 少年は焦りながらも、必死に彼の身に起こった出来事を伝えて来る。

「山賊というのは、今しがた交戦した彼等のことか?」
「また、分かりやすい奴らが出て来たな」

 河義が視線の先に散乱する死体を一瞥しながら発し、制刻が続いて低い声で発する。

「お願いです!お兄さんを助けてください……!」

 少年は焦った様子で懇願して来る。

「河義三曹、どうします?」

 制刻は河義に尋ねる。

「――放っておくわけにはいくまい」
「ですね……」

 河義は一瞬考えた後に言い、鳳藤も以前青い表情ながらもそれに同意する。

「君、大丈夫だ。その人は私達が助けよう」

 そして河義は少年に向けて言った。

「で、肝心のその兄ちゃんが囲われてるってのはどこだ?」

 続いて、制刻が少年に向けて尋ねる。

「役所……あそこに見える建物の前です……!」

 少年は北東の方向を指さす。他の建物より若干大きな建物の屋根が、町の中心部付近に見えた。

「あれか、分かったよ」

 河義は役所の建物をその目で確認すると、身に着けていた指揮官用無線機のハンズフリーマイクに向けて話し始めた。

「エンブリー願います、こちらジャンカー4ヘッド河義。この町の住人らしき子供を一名保護。彼の話によると、この町は山賊の襲撃に遭っているとのことです」
《山賊だって?》

 河義の発報した通信の内容に、装甲戦闘車の穏原から若干の驚きが含まれた言葉が返って来る。

「そうです――さらに彼の話によると、危険な状態に陥っている人がいるとの事。 場所は町の中心部に見える役所の近くです」
《役所――ああ、あれか?こちらでもそれらしき建物を確認した、なんとかそちらに合流する》
「こちらは先行して、その人の保護に向かいます」
《了解、無理はするなよ。エンブリー、終ワリ》

 更新を終えた河義は、そこで少年が訝し気な視線を自分に向けている事に気付く。

「あの……何を……?」

 そして少年は突然一人で喋り出した河義を不可解に思ったのか、困惑した表情でおずおずと尋ねてくる。

「あぁ、私たちの味方と連絡を取ったんだ。ともかく、今はその人の所へ急ごう」

 河義と制刻は再び小型トラックに乗車。

「鳳藤、急いでくれ」
「は」

 鳳藤の操作で小型トラックは発進する。

「う、うわ……ッ!?」

 動き出した小型トラックに少年は驚く。そんな彼を乗せて、小型トラックは役所を目指して速度を上げた。



 町の中心部には、この昇林の町の役所があった。
 とても豪華と言うわけではないが、左右対称でそれなりに整った作りのその建物の元には、複数の人間の姿があった。

「く……はぁ、はぁ……」

 一人は動きやすい服装にジャケットを羽織い、弓を背負っている男性。この世界で一般的に見られる猟師の格好であった。猟師の格好をした彼は、役所の建物を背にし、その手には斧を握って構えている。
 そして彼の足元には、五人分の人間の死体が転がっていた。
 彼の息は荒く、そして苦し気だった。

「チ、厄介なヤツだな。一人で五人も伸してくれやがって……!」

 そしてそんな彼を、10人近い数の人間が取り囲んでいた。彼等はいずれもあまり身綺麗とはいえない恰好の上から、軽装の鎧を纏い、その手には剣や斧などの得物を手にしている。
 彼等は皆、山賊であった。
 この町を略奪目的で襲撃し、奪い、火を放ち、そして今はそれを邪魔立てする目の前の猟師の男性を排除すべく、それぞれ手にした得物の切っ先を向けていた。

「うらぁッ!」

 猟師の男性を取り囲んでいた男の内の一人が、その手に握った斧を振り上げて、猟師の男性に襲い掛かる。しかし男の攻撃は躱され、攻撃が空振りに終わり隙のできた男の体を、反対に猟師の男性の斧が切り裂いた。

「ぎぁッ!」

 襲い掛かった男は背中を諸に切り裂かれ、先に倒れていた五人の山賊の躯へ仲間入りを果たした。

「糞、またやられた!」
「あぁ……だが奴の体に傷が増えたぜ」

 山賊の一人が仲間がまた一人やられた事に悪態を零すが、同時に別の山賊が笑みを浮かべて、猟師の男性を見る。

「ッ……!」

 猟師の男性は先の一太刀を完全に避け切る事はできていなかった。彼の腕には斧による切り傷が出来ている。いや、それだけではなく彼の体のあちこちには、山賊から受けた物と思われる傷ができていた。

「へへ、そろそろ限界みてぇだな。傷も痛ぇだろ?」

 山賊達の中でもリーダー格らしき男が、猟師の男性に言葉を投げかける。

「どうせ逃がしたあのガキも今頃捕まってる頃だろう、こっちもいい加減終わらせてもらうぜ!お前等、一斉にかかれ!」

 リーダー格らしき男は、周りの山賊達に命じる。そして周りの山賊達は、猟師の男性に一斉に襲い掛かろうとする。
 しかし山賊達が猟師の男性に襲い掛かろうとした直前、その場に居る全員が、奇妙な唸り声のような音をその耳に捕らえた。



 小型トラックは町内の小道を右に左に曲がり進み、この町の役所の近くまでたどり着いた。そして乗車している各員は視線の先に、役所の元で多数の人間が一人の男性を囲んでいる様子を確認した。

「あ、あれです!あの真ん中にいるのが猟師のお兄さんです!」

 そして、それまで荷台で初めての自動車に驚き若干怯えていた少年は、猟師の男性の姿のその目で確認すると、運転席と助手席の間から身を乗り出して、河義に訴えた。

「あれか――鳳藤、一度停車しろ」
「は!」

 鳳藤がブレーキを踏み、小型トラックは集団から数十メートル程距離を取った位置で停車する。そして河義は助手席で拡声器を手に取り、視線の先にいる集団に向けて言葉を発し始めた。

《こちらは、日本国陸隊です!全員、その場で停止し、武器を置きなさい!》

 拡声器越しの独特な音声が、山賊達に向けて響き渡った。



「何だぁ?アイツ等!?」

 突然現れた奇怪な荷車と、それに乗る奇妙な恰好の者達に、山賊達の注意は猟師の男性から反れてそちらへと向く。

《こちらは、日本国陸隊です!全員、その場で停止し、武器を置きなさい!》
「うわ、なんだこの声!?」

 そして響き渡った奇妙な音声に、山賊達は驚き狼狽える。

「何だぁ?何かわけの分からん事言ってやがるぞ?」
「おい、さっき逃げてったガキがいるぜ?追っかけた連中は何やってんだ?」

 おかしな者等の登場と 異質な音声を前に、山賊達は口々に発する。

「は!よく分からんが、獲物が増えたぜ。先に奴らをやっちまえ!」

 しかしリーダー格の男の言葉を皮切りに、彼等は標的を猟師の男性から奇妙な一団へと移し、それぞれの得物を手に駆け出していた。



「――やはり警告ではダメか……」

 河義は助手席で苦々しく言葉を零し、手にしていた拡声器を足元へ置く。
 警告の言葉も空しく、山賊の集団は得物を手に、明確な殺意を持ってこちらへと迫っていた。

「だが調度いい。あの兄ちゃんから離れてくれた」

 制刻が言う。
 制刻は荷台のベンチシートに仰向けに寝そべるように座り、その姿勢で小銃を構えていた。

「河義三曹、いいですね?」

 そして制刻は河義に攻撃の許可を求める。

「仕方がない……彼等を無力化する!各個に撃て!」

 河義が命令を下し、車上の各員はそれぞれの装備する銃器を構え、発砲を開始した。
 まず策頼の操るMINIMI軽機が再び唸り、真正面から突撃して来た山賊達に5.56㎜弾の雨を浴びせる。機関銃弾の猛攻を真正面から諸に受けた山賊達は、「ぎゃぁ!」「ガハッ!」といった悲鳴を上げて、次々に倒れて言った。

「な、なんだぁ!?何が起こってやがる!?」

 突然の事態に、リーダー格の男は声を荒げて狼狽する。

「な、なんだよコレ!?どうなって――ぎぇッ!?」
「当たった……!」

 鳳藤が汗を一筋垂らしながら零す。
 MINIMI軽機の掃射を逃れた山賊も、各員の小銃射撃により倒されてゆく。

「糞、ふざけんなよ!こんなの聞いてね――ぐぁッ!」
「うまく命中った」

 そしてリーダー格の男も、制刻の小銃から放たれた5.56㎜弾に胴を貫かれ、亡骸の仲間に加わる事となった。



 山賊の一団の無力化が完了し、周辺に響くのは小型トラックのエンジンの回転音のみとなった。
 異質な荷車に乗る異質な者達に、猟師の男性は半ば呆然しながら視線を送っていた。
 突然合わられた彼等は、つい先程まで自分を囲っていた山賊の一団を、武器なのか魔法なのかも分からない不可解な術により、瞬く間に殲滅してしまった。

「一体……なんなんだ……?」

 思わず零した彼の耳が、何か唸り声のような音を捉える。

 そして異質な荷車が馬やロバに引かれる事も無く、こちらに向かってくる様子が彼の目に映った。

「ッ……」

 山賊に追い詰められていた状況を、彼等に救われたことは事実であったが、しかしその正体や目的、彼我は未だ不明だ。猟師の男性は、近づいて来る奇怪な荷車に警戒の姿勢を取る。
 しかし彼は、近づいてきて停止した荷車から、飛び降りて来た存在に驚くこととなった。

「お兄さん!」
「!、ロナ君!?」

 奇怪な荷車から飛び降りて来たのは、先程自分が山賊達の手から逃がした少年であった。

「お兄さん、大丈夫?」
「あ、あぁ……でも、なんでロナ君が……?」
「あの人たちが助けてくれたんです」

 ロナと呼ばれた少年の視線を追いかけ、猟師の男性はこちらへ近づいて来る人物に気が付く。
 緑を基調としたこれまた奇怪な服に身を包んだ男。その体の前には、黒色の杖のようなものを下げている。不可思議な人物の接近に、猟師の男性は再び警戒の色を見せる。

「大丈夫ですか?」

 しかし、近づいて来た男からはそんな言葉が発せられた。

「あぁ、心配しないで下さい。私たちはニホンコクリクタイの者です。あなたに危害を加えるものではありません」

 そして異質な恰好の男は、不可解な自己紹介をしてみせた。



 河義は飛び出して行った少年を追って、猟師の男性の前に立つと、自己紹介と危害を加える者では無いという旨を彼に伝える。

「何者なんだ……アンタ等……?」

 しかしそれだけで彼の疑問を解決することは、やはりかなわず、猟師の男性は河義に向けて以前警戒の視線を向けながら、そんな言葉を発した。

「山賊どもを一瞬で蹴散らしてみせたな……あんな魔法は見た事がないぞ。それに……なんだい?その勝手に動き回る荷車は?」

 続けて質問の言葉を発する猟師の男性。

「それを全て説明するには長くなるのですが……」

 河義は何から説明すべきか、少し困りながら言葉を発そうとする。

「河義三曹!」

 しかしその時、車上でMINIMI軽機に付く策頼、河義を呼ぶ声が響いた。

「前方からこちらに迫る人影があります!数は分隊規模!」

 策頼は続いて報告の言葉を発する。小型トラックの進行方向、100m程先にある曲がり角から、10人近い集団がこちらに迫って来る姿が見えた。

「こっちだ!」
「あれだ、妙な奴らがいやがる!」

 そして集団から上がる声が微かに聞こえてくる。おそらく騒ぎを山賊の仲間が騒ぎを聞きつけ、駆け付けて来たのだろう。

「糞……奴らの仲間だ……!」

 猟師の男性は、山賊の集団を目にして苦し気な声で零す。

「ッ、増援か。あなたはこの子と一緒に隠れていて下さい」

 河義は猟師の男性に促す。

「だが……!」
「大丈夫、我々で対応します」

 策頼がMINIMI軽機の引き金を引き、新たに現れた山賊の集団に向けて発砲。集団に撃ち込まれた5.56㎜弾の群れが、山賊達をなぎ倒す。そして掃射を逃れた者達を、各員の小銃が狙い、倒してゆく。
 新たに現れた集団の無力化は、早々に完了したかに見えた。

「――ッ!河義三曹、また敵の増援です!」

 しかしその時、鳳藤が叫ぶ。前方からさらに分隊規模の山賊の集団が現れる。

「河義三曹、後ろからも来ます」

 さらに、制刻が小型トラックの後方に視線を送りながら発する。言う通り、背後にある交差路の影からも別の集団が現れた。

「ッ、発砲音が奴らを集めてしまったのか……!」

 河義は悪態を吐く。

「策頼、引き続き前方の集団に撃て!制刻と鳳藤は後方の集団に対応しろ!」
「了」
「了解」
「は、はい!」

 河義は各員に指示を送ると、指揮官用無線で通信を開き、ハンズフリーマイクを口元に寄せて発し出す。

「エンブリー、こちらはジャンカー4ヘッド!こちらは目標人物と接触、保護するも敵性集団からの波状攻撃を受けている!そちらの現在位置を知らされたい!」
《ジャンカー4、こちらはすでに先に知らされた役場らしき建物の真下にいる。発砲音も聞こえている、おそらくそちらの反対側だ》
「エンブリー、こちらに合流できませんか?こちらはあまり余裕のある状況ではありません!」
《待ってくれ、この近辺は装甲戦闘車が通れそうな道が無い……。ッ、仕方がない――》

 そこで無線が一度途切れる。
 河義が通信を行っている合間も、山賊達はこちらへと迫り、それに対する各員の激しい銃撃は続いていた。
 その時、銃撃音に鈍いエンジンの唸り声と、履帯独特の鉄の擦れるような音か混じるのを、各員の耳が捉えた。それが装甲戦闘車の物であろう事を各員は瞬時に察したが、しかし音がするのみで肝心の姿が見えない。

「一体どこから――」

 疑問の声を上げた河義だが、その彼の耳が今度はミシ、グシャリといった何かの壊れる音を捉える。そして、小型トラックの横に位置していた役所の正面玄関が、内側から勢いよく倒壊したのは次の瞬間だった。

「ッ!」

 上がった砂埃に、思わず河義は片手で顔を覆う。
 倒壊した役所の正面玄関。その先の空間から現れたのは、他ならぬ89式装甲戦闘車であった。

「派手にやったな」
「建物を壊して、現れるなんて……」

 制刻と鳳藤は装甲戦闘車の登場の仕方を見て、それぞれ呟く。
 一方、驚愕していたのは猟師の男性とロナ少年だ。

「う、うわぁ……!」
「な、なんだこのバケモノは!?」

 突然現れた、彼等にとっては正体不明の巨大な動く物体に、二人は驚きそして身構える。

「大丈夫、落ち着いて。あれは私たちの味方です!」

 そんな二人を、河義は宥めるように説明する。

「味方、あれが……?」

 河義の言葉に、猟師の男性は訝しむ顔を作りながら、再び現れた装甲戦闘車に視線を向けた。



 装甲戦闘車は役所の建物内部を倒壊させながら突っ切り、反対側に出て先行した小型トラックとの合流を果たした。

「当たりだ、見つけた」

 車長の穏原はキューポラのペリスコープ越しに小型トラックと各員の姿を確認し、声を上げる。

「これ、後で問題になるんじゃないですか?」

 隣で砲手席に座る砲手の髄菩陸士長が、穏原に向けてどこか他人事の様子で発する。

「仕方がないだろう、緊急事態だ……!」

 髄菩の言葉に、穏原は苦々しい口調で返す。

《エンブリー!敵性集団は道の前後から迫っています!そちらは、北側の集団に対応してください》
 そこへ、河義からの通信が両者の耳に届く。

「了解。藩童はんわらし、まず道に出ろ」
《了解》

 穏原の指示を受け、藩童と呼ばれた陸士長の操縦手は、アクセルを軽く踏み、徐行速度で装甲戦闘車を前進させる。そして装甲戦闘車の車体は、役所の前を走る小道を、その巨体で塞ぐように鎮座した。

「髄菩、砲搭を左旋回させろ。その後に同軸機銃を用意」
「……了解」

 砲手の髄菩の操作で装甲戦闘車の砲塔は旋回して左を向く。
そして砲身が微弱に俯角を取り、砲手用の照準器越しに、髄菩の目がこちらへ迫る山賊の集団を捉えた。

「……穏原車長、本当にいいんですか?」
「あぁ……すでに4分隊が交戦してる。彼等は明確な脅威だ、交戦しろ」
「ッ……了解」

 砲手の髄菩は、89式装甲戦闘車の各装備の中から、74式7.62㎜機関銃を選択。少しのためらいを見せた後に、射撃装置のトリガーをその指で引いた。
 撃ち出された7.62㎜弾が、装甲戦闘車が姿を現したことにより、狼狽え浮足立っていた山賊達をなぎ倒してゆく。
 薙ぎ倒され、散らばった山賊達の奥から、また別の山賊の集団が現れたのは、その時だった。山賊達は鎮座している装甲戦闘車の姿と、横たわる仲間の姿に驚きながらも、内何名かは果敢にこちらへと向かってくる。

「車長、新手です。およそ2個分隊規模」
「多いな。そして密集してる――髄菩、機関砲を使用しろ」
「……生身の人間相手ですよ?」
「あぁ……許可する」
「……了解」

 穏原の言葉を受け、髄菩は89式装甲戦闘車の主砲である90口径35㎜機関砲KDEを選択。
新手の山賊集団を照準に収め、トリガーを引いた。
 二発の35㎜機関砲弾が撃ち出され、機関砲弾はこちらへ果敢に迫っていた山賊達の足元へ着弾。着弾と同時に炸裂し、数人の山賊達を爆発と飛び散った破片で弾き飛ばした。

「今度は奥の方のやつ等だ」
「ッ……了解」

 髄菩の操作により、砲搭と砲身は微弱な修正動作を行う。そして髄菩が三度トリガーを引き、装甲戦闘車の主砲は再び火を吹いた。今度は三発の撃ち出された35㎜機関砲弾が、小道の奥で狼狽えていた山賊達の足元に着弾。再び爆発と飛び散った破片が、10人近い山賊達を次々に吹きとばし、四散させた。

「――アクティブな敵影無し。髄菩、よくやった」
「そりゃ、どうも……」

 穏原の言葉に答えた髄菩。しかしその顔は、酷く青く染まっていた。



 装甲戦闘車との合流により、状況は再び偵察分隊側に好転した。
 装甲戦闘車が、小道の前後から迫る山賊の片方を抑えてくれた事により、4分隊の各員は、もう片側に集中することが出来るようになった。
 車上の策頼はMINIMI軽機を180°旋回させ、小型トラックの後方から迫る山賊達に向けて、弾幕を形成していた。そしてそれまでのセオリー通り、MINIMIが撃ち零した山賊を各員の小銃が狙う。

「ひぃぃ!バケモノだ!なんなんだよあいつ等!」
「に、逃げ――ぎゃッ!」

 装甲戦闘車の登場。そして合流を果たした偵察分隊からの苛烈な攻撃に、山賊達はついにパニックに陥る。そして再編も逃走もままならないまま、ついに彼等は殲滅され、動く者は一人としていなくなった。

「……各員、報告してくれ」
「動くやつぁ、いません」
「同じく」
「こちらもです……」

 河義の報告を求める声に、制刻を始めとする各員は返答を返す。

「エンブリー、そちらはどうなってます?」

 河義は装甲戦闘車に通信で尋ねる。
 対して無線越しの返答は無く、かわりに装甲戦闘車の砲塔上に設けられた、車長用ハッチが開く様子が、河義の目に映る。

「こちら側の敵性集団は全て沈黙した。動く奴は見えない」

 そしてそこから半身を出した穏原が、そこから河義を見下ろして、直接伝えて来た。

「了解です」

 河義はそれに手を上げる動作と共に返事を返す。そして、役場の影に隠れている猟師の男性とロナ少年へ視線を向けた。

「すごい……」
「ふわ……」

 二人は、呆気に取られた様子で周辺と、そして偵察分隊に視線を送っていた。

「二人とも、大丈夫ですか?」

 河義はそんな二人に歩み寄り、安否確認の言葉を再び投げかける。

「あ、あぁ……」

 その言葉に、猟師の男性は戸惑いながら返す。

「あんたら……本当に何者なんだ……?山賊共の仲間じゃない事は分かったが……何が目的でこの町に……?」

「あぁ……先ほども言った通り、我々については話すと長くなるのですが……」

 猟師の男性の質問に、再び困り顔を浮かべる河義。

「先程も名乗らせてもらいましたが、私達は日本国の陸隊です。私達は、物資の調達、取引ができないかと思い、この町を訪問させていただいたんです」
「ニホン国の……陸上部隊?軍隊か?だが、ニホンなんて国は聞いたことがないぞ?」
「まぁ、遠くの国なんです……。そこの、軍隊と言うか、防衛組織と言いますか……」

 不可解な境遇にある自分達の事を、どう説明したものかと苦悩する河義。

「よぉ、いいか?」

 しかしその時、両者の間に制刻が割って入った。

「ッ!」

 禍々しい姿顔立ちの制刻の登場に、猟師の男性の表情が強張り、そして再び警戒の色が浮かぶ。

「あぁ……心配しないで下さい、私の部下です。――で、何だ制刻?」

 河義は警戒の色を見せた猟師の男性に説明してから、少し呆れた様子で制刻に問う。

「えぇ、俺等からも聞きたい事は山程あるでしょう。それを聞くべきかと思いまして」

 制刻はやや礼節を欠いた態度で、河義に進言。そして河義の返事も待たずに、猟師の男性に向けて発した。

「この町の生存者は他に居ないのか?まさか、アンタ等が最後の住人ってわけではないだろう」
「あ、あぁ。生き残った人たちは北側の区画に避難して立て籠ってる」
「んじゃ、まずそこに案内してくんねぇか?」

 まだ山賊の仲間が残っているかもしれず、少しでも守られてる場所の方が話もしやすいだろうと、制刻は猟師の男性を説く。

「………いいだろう。あんた達は俺やこの子を助けてくれた。信じよう」

 猟師の男性はすこし考える様子を見せたが、その後に制刻の発案を受け入れた。

「制刻、お前勝手に……」
「町のど真ん中より安全かと思いまして。それにコミュニティと接触もできる」

 河義の言葉に、制刻は悪びれず答える。

「まぁ、いいだろう……では乗って下さい、えぇと……」
「あぁ、俺はエティラ。旅の途中の猟師だ」
「こちらも申し遅れました、河義と申します。ではエティラさん、それとロナ君だったかな?二人もトラックに乗って下さい。エティラさんは、怪我の手当ても必要でしょう」

 偵察分隊は二人を小型トラックに乗せ、エティラの案内で、この町の住民が避難しているという区画を目指した。



 町の北側の区画は、臨時の町人の避難所が設けられていた。
 避難区画の境目として、道には突貫的なバリケードが築かれ、境目に面する家屋の上階を見張り櫓代わりに、衛兵や有志の住人が見張りについていた。

「どうだ?様子は?」

 見張りに付く衛兵に、屋内から声が掛けられる。衛兵が振り向くと、少し肥満気味だが温和な表情の壮年男性が立っていた。

「あ、町長」

 衛兵は発する。壮年の男性は、この町の町長であった。

「先程まで、妙な破裂音のようなものが聞こえていたのですが、それが鳴り止んでからは、静かな状態が続いています」
「あぁ、それは私も聞いたよ」
「山賊どもが、また何かしでかしたのでしょうか?」
「分からんな……それより、エティラさんやロナは戻って来ないか?」
「えぇ……」
「そうか……」

 衛兵の報告に、町長は落胆する。

「な、なんだあれ!?」

 その時、窓際で見張りに付いていた有志の住人が声を上げた。

「どうした?」
「みょ、妙なものがこっちに向かってきます!」
「妙な物?」

 訝しみながら、町長と衛兵は窓際に駆け寄り、外を見る。

「な!?」

 そして目に飛び込んで来た物に、彼等は驚愕した。
 バリケードから伸びる道の先から、異質な物体がこちらに向けて近づいてきていた。
 一つは異質な者達の乗った、馬も無く勝手に動く荷車。そしてその後ろには、さらに異質な形状をした巨体の怪物が、不気味な音を立てて迫って来る姿があった。

「あれはなんだ……」
「山賊共の用意した怪物でしょうか……?」
「なんということだ……く!攻撃に備えろ!女子供を奥へ隠し、動ける者は武器を取るように伝えろ!」

 異質な一団の接近を前に、町長は衛兵や住人達に備えるように命じる。

「……あ!待ってください町長!」

 しかしその時、見張りの住人が再び声を上げた。そして住人は奇怪な荷車を指し示す。荷車の上に、立ってこちらへ手を振る人影があった。

「おーい町長さん!俺だ、エティラだ!」

 そして人影はこちらへ向けて大声で呼びかけてくる。

「あれは……エティラさん!それにロナも!」

 それにより町長は、異質な荷車の上で手を振る存在の正体に気付き、先とは別種の驚きの声を上げた。町長を始めとした彼等が驚いている間に、異質な荷車はバリケードの近くまで接近して停止。そしてその荷車からロナ少年が、続いてエティラが飛び降り、バリケードの元まで駆け寄って来た。

「エティラさん、ロナ!」

 町長は家屋上階の窓から身を乗り出し、二人に向けて声を掛ける。

「町長さん、心配かけてすまない。ロナ君は無事だ、あなた方の元へお返しするよ」

 そんな町長へ、エティラはロナの肩を一度ポンと叩きながら発する。

「とんでもない、二人とも無事でよかった……所で、彼等は?……それにあの怪物は……?」

 二人の無事に一度は胸を撫でおろした町長だったが、しかし二人の背後にいる奇怪な一団の存在を思い出し、その目に警戒の色を宿しながら尋ねる。

「あぁ……俺にも正直さっぱりなんだが……。だが、彼等が俺やロナ君を、山賊から救っくれたんだ」

 エティラは言いながら背後へ振り向き、町長達の視線がそちらへ集中する。異質な荷車から降りて、こちらへ歩いて来る異質な恰好の人物の姿がその先にあった。
 奇妙な恰好の人物は、エティラ達同様バリケードの元まで来ると、町長達を見上げて声を上げた。

「はじめまして。私はニホンコクリクタイのカワギと言います。物資の調達、取引が目的でこの町を訪ねさせていただきました」



 偵察分隊は初めは町長を始めとする町人たちに、その存在を訝しまれ、警戒されたが、エティラの口添えもあり、どうにか町に脅威を与える存在では無い事を納得してもらえた。そしてバリケードの内側へ入る事を許可されたが、さすがにバリケードを全撤去して小型トラックや装甲戦闘車を通すわけにはいかなかった。
 結果、装甲戦闘車は砲手の髄菩と操縦手の藩童を残してバリケードの外で警戒しつつ待機。小型トラックはその傍らに停車させておき、河義等4分隊の各員と、この場の先任者である穏原が避難区画内へ入ることとなった。

「そうですか……そんな事が……」

 隊員等は避難区画内にある町長の住宅へと招かれていた。
 机を挟んで町長が椅子に腰かけ、反対側では河義と穏原が同様に椅子に座っている。そしてその背後では、制刻等が姿勢を崩して雑把に並んでいた。

「今考えてみれば、あんた達が駆け付けてくれなければ、俺もロナ君も危なかった。お礼をいわせてくれ」

 両者の脇にはエティラの姿があった。状況が少し落ち着いて気持ちが落ち着いたのか、彼は警戒の色を消して、頭を下げた。

「よしてください。私たちは自分にできる事をしたに過ぎません」

 それに対して、河義が代表して言葉を返した。

「しかし……物資調達や取引が目的で訪れられたとは……」
「恩人のアンタ等に言うのもあれだが、正直悪い時に来たな……」

 町長とエティラは苦い顔を作って言う。

「えぇ、私達もまさかこんな事態になっているとは……」
「申し訳ございません、せっかく足を運んでくださったのに。こんな状況でなければ、ご期待に沿う事もできたでしょう……」
「よしてください!町長さんが謝ることではありません!」

 謝罪の言葉を述べた町長に、河義は慌てて町長の非を否定する言葉を返す。

「そうだ、町長さん!悪いのは山賊共だ。奴らが襲ってこなければ、こんな事にはならなかった!あんたの責任じゃない!」

 そしてエティラも町長を庇う言葉を発した。

「――ちょっといいかい?そもそも、あの山賊達はどこから湧いて出たんだ?」

 そこへ言葉を挟んだのは、穏原だ。

「あぁ、それはおそらく、この町の南東にある山からでしょう」

 穏原の質問に、町長は答える。

「南東の山――こっから見えるあれか」

 立ち構えている制刻が窓の外に視線を送りながら発する。町の南東方向には、連なる山々の姿が見て取れた。

「目と鼻の先だな」

 穏原が同様に窓の外に視線を送りながら呟く。

「えぇ、無事だった衛兵から、山賊達は南東の山の方向から攻めて来たと、報告を聞いております」

 さらに町長は、南東の山の頂上には、元々山師たちが拠点として使っていた小さな廃村があること。そしておそらく山賊達は国境を越えて流れて来た者達であり、廃村に住み着きそこを根城にしたのであろう事を説明した。

「俺達が戦ったのは、そのほんの一部だ。その廃村には、まだ連中の仲間がゴロゴロしてるだろう」
「そんなにいるのか……」

 付け加えられたエティラの説明に、穏原は呟いた。

「さらに悪い事に、少なくない数の女子供が、山賊の根城に攫われてしまったんです……」
「最悪だな」

 拳を握りしめて苦々しく発せられた町長の言葉を聞き、穏原は再び呟いた。

「あの、いいですか……?」

 そこで口を挟んだのは鳳藤だ。

「どこかに……例えば国とかに救援を求められないんですか?」
「もちろん、襲撃と同時に伝令を出しました。一番近い騎士隊のいる町まで、馬を飛ばして丸一日かかります。そして騎士隊が準備を完了して、こちらに到着するまでの時間を考えると……」
「……その間に、さらなる襲撃があるかもしれない……」

 鳳藤の言葉に、町長は静かに頷く。

「助けてもらったあんた達に素っ気ない事は言いたくないが……悪い事は言わない、なるべく早くこの町を離れたほうがいい」

 エティラの発した言葉に合わせて、町長は再び静かに頷いた。



「――以上が、町の状況です」
《また、厄介な事になっているな》

 河義は一度小型トラックに戻り、大型無線機を用いて高地の野営地と通信を行っていた。
 現在の通信の相手は、相手は他ならぬ井神だ。

「この世界は、私達の想定よりも遥かに物騒な攻界の様です……」

 河義は表情を顰めて、無線に声を送る。

「河義三曹、いいですか」

 そこへ鳳藤が横から割って入り、無線に向けて声を発する。

「町の町長さんや助けた猟師の男性からは、危険が及ばないうちに町から去るように促されましたが、私としては彼等を見捨てることはできません……。井神一曹、私達の手でなんとか彼等を守れませんか?」

 鳳藤は懇願するように言った。

「私としても同じ考えだよ、鳳藤士長。それにどちらにせよ、その山賊集団は放っておけば、我々にっても脅威となる。増援を編成して、そちらへ向かわせよう」
「あ、ありがとうございます!」

 鳳藤は表情をパァと明るくして、無線に向けて発した。



「何だって?」

 装甲戦闘車の操縦席から、操縦手の藩童がハッチをくぐって這い出して来る。彼は、砲搭に腰掛けてチョコレートバーを齧っている、砲手の髄菩を見上げて尋ねた。

「増援が来るらしい。俺等が山賊からこの町を守るんだとよ」

 髄菩は、端から聞いていた無線の内容を藩童に伝える。

「成程、現地住民の保護活動ってわけだ」

 それを聞き、飄々とした口調で発する藩童。

「は、冗談じゃない、首を突っ込み過ぎだ。俺は早く帰りたいよ」

 言いながら、髄簿は再びチョコレートバーを乱暴に齧った。



 避難区域内にある町の広場。そこにエティラの姿があった。彼は周囲をきょろきょろと見渡しながら歩き回っており、何か、いや、誰かを探している様子だった。

「エティラさん、何かお探しですか?」

 そこへ町長が声を掛ける。

「あ、えぇ……町長さん、セネの姿を見なかったか?」

 周囲を見回しながら、町長に尋ねるエティラ。セネとは、彼の旅の仲間である剣士の女性の名だった。

「セネさんですか?彼女でしたら、怪我人の手当てを手伝ってくれているはずですが?」
「そうか、ありがとう――ん?」

 エティラは、視線の先にロナ少年がいる事に気付く。
 ロナは、山賊達の根城がある山を見つめ、拳を握りしめていた。

「ロナ君、どうした?」

 ロナは話しかけて来たエティラに少し驚いた様子を見せたが、すぐにその表情を神妙な物へと戻し、再び山を睨む。

「……ニナが……ニナがあいつ等に……」

 そしてそんな言葉を零した。

「ニナ?」
「山賊にさらわれた、その子の友達です。そして……私の娘でもあります」

 エティラの疑問の声に、答えたのは町長だった。

「そんな……じゃあ、ロナ君が町中に一人でいたのは……」
「えぇ、ニナを取り戻すため、飛び出して行ったのです……」
「無茶をしたな……だが、気持ちは分かるよ……」

 エティラは言いながら、ロナの肩に手を置いた。

「町長さんも、つらいだろうに」
「えぇ……ですが家族をさらわれた者は他にも多くいます……私だけがつらい顔はできません」

 エティラの同情の言葉に、町長はそう返した。

「ロナ!」

 その時、ロナ少年の名を呼ぶ声が背後から響いた。
 ロナ当人と、エティラ達が振り向くと、こちらに駆けてくる一人の女性の姿があった。

「!、母さん……」
「よかった!もう、心配かけて……!」

 女性はロナ少年の母親だった。彼女はロナへと駆け寄ると、屈みこんでロナを抱きしめた。

「母さん……僕、何もできなかった……ニナが……!」

 抱きしめられたロナは、悔しそうに声を零す。

「大丈夫よ……ニナちゃんはいい子だもの。きっと神様が守って下さるわ」

 ロナの母親は、ロナを少しでも安心させようと、彼の頭を撫でながら言い聞かせる。

「ほら、あなたも大変だったでしょう。お母さんはまだ怪我をした人たちの手当てに戻らなきゃならないから。先に帰って、少し休んでいなさい……」
「うん……」

 母親に言われ、ロナは気落ちした表情のまま、家路へと着いた。

「……あの、エティラさん!大事なお話が……!」
「はい?」

 ロナを見送った母親は、エティラに振り返ると、それまでの落ち着いた態度を崩し、エティラに向けて焦った様子で訴えだした。

「セネさんが……セネさんが、ニナちゃんやさらわれた人達を助けるために、一人で山賊達のいるあの山に……!」
「な、なんだって……!?」

 母親のその言葉に、エティラの表情がこれまで以上に険しくなる。

「あいつ……ここを守るよう言っておいたのに、なんだってそんな無茶を……!」
「私のせいなんです……私がロナやエティラさんがなかなか帰らない事を心配して、弱音を吐いたりしたから……!」

 今にも泣き崩れそうな声色で、ロナの母親は事情を話す。

「俺がやられて、ロナ君までさらわれたと考えたのか……ッ、あいつは事態を悪い方向に早とちりするきらいがあるから……」

 苦虫を噛み潰したように発したエティラは、町長に向き直る。

「町長さん、借りられる馬はないか?」
「馬ですか……厩舎に行けば何頭か……」
「よし、一頭借りるよ!」

 言うと、エティラは駆けだそうとする。

「待ってください!エティラさん一人で行く気ですか!」

 町長は慌てて制止の言葉を発する。

「放っておくわけには行かないんだ!」

 しかしエティラがそれで止まる事は無く、彼は厩舎の方向へと駆けて行った。



 偵察分隊が高地に連絡を取り、増援を要請してから数時間程が経過していた。
 避難区画内と外を隔てるバリケードの近くでは、制刻と策頼がたむろしている。
 制刻はバリケードに隣接する家屋の壁に背を預け、策頼は玄関口の段差に腰掛けている。家屋の上階で見張りをしている衛兵や住人が、訝しむ視線を向けて来ていたが、制刻等に特に気にした様子は見られなかった。

「ヤバイ世界ですね、ここ」
「まぁな」

 真顔で淡々とそんな会話を交わす二人。

「おいお前達。少しは人目を気にして――」

 そんな二人の様子を見かねたのか、鳳藤が咎める声を上げながら二人に近づこうとする。しかし、隣接するバリケードが開かれ、両者の間を割って一頭の馬が勢いよく駆け抜けて行ったのは、その時だった。

「ひゃッ!」

 危うく跳ね飛ばされかけた鳳藤は、素っ頓狂な声を上げながら飛び退いた。

「今のは、エティラさん?」

 立哨に付いていた河義は、その馬に跨っていたのが、エティラであることに気付いた。

「え、エティラさん……!」

 そして少しの間をおいてから、町長が息を切らしながらバリケードの向こうから出て来た。

「町長さん?一体何があったんです?」
「あぁ、皆さん……それが……」

 町長は事の仔細を河義等に説明する。

「エティラさんの仲間が一人で……!?なんて無茶を……!」
「そしてエティラさんも単騎でそれを追いかけて言ったのか……」

 説明を聞いた鳳藤が険しい顔で声を上げる、河義が苦い表情で呟く。

「どうするんだ?放っておくにはいかない雰囲気だが」

 傍らにいた穏原が発する。

「追いかけて連れ戻しますか」

 そこへ制刻が進言の言葉を発した。

「山の偵察もできて、丁度いいでしょう」
「丁度いいって、お前な……!」

 制刻のいささか不謹慎にも思える発言に、鳳藤は咎める声を上げる。

「いや、だがエティラさんの事は追いかけた方がいい」

 しかし河義は制刻の発案を受け入れた。

「穏原さん、4分隊でエティラさんを追いかけます」
「俺等は同行しなくていいのか?」
「まだ山賊の襲撃がある可能性は捨てきれません。 装甲戦闘車は、増援が到着するまでは、ここで待機警戒をお願いします」
「ん、了解」
「4分隊各員、乗車しろ。これより偵察行動に出る。間もなく日が落ちる、夜間装備も確認しておけ」

 河義の指示を受けて、制刻等4分隊の各員は小型トラックに乗車。エティラを追いかけ、出発した。
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