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チャプター8:「淡々と進む行程」
8-3:「増強再編成」
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翌朝。場所は再びスティルエイト・フォートスティート内の宿営地。
宿営地内の一角に設営された衛生隊用天幕。その出入り口から出て来る二人分の人影がある。一人は出蔵、もう一人はチナーチだ。
「ごめんね、昨日から立て続けの診察で」
「ううん……大丈夫」
出蔵は念を入れ昨晩に続いてチナーチの体を診察。たった今それを終え、天幕から出て来た所であった。
「一応体の方は大丈夫そうだけど……念のためもう数日の間、観察させてもらう事になるかも」
「ああ……」
出蔵はチナーチに説明の言葉を続け述べるが、それに対してのチナーチの反応は、どこか力なき物であった。商隊の仲間の死を知らされて以降、彼女の様子はずっとこのような物に終始していた。
(……そりゃ、元気出る訳ないよね)
そんなチナーチの心情を察し、出蔵は内心で言葉を紡ぐ。一方のチナーチは、無気力そうなその瞳を周囲へ流している。
「……!」
そんな彼女の狼の特徴を持つその耳が、ピクリと揺れ立ったのはその時だった。そして彼女はその顔と半身を一方向――宿営地の北西の方角へと捻り向けた。
「どうかした?」
「音が……風?いや違う……」
チナーチの様子の変化に、彼女に尋ねる声を掛ける出蔵。対するチナーチは、返事の代わりにそんな言葉を零し、そして灰色の毛で覆われるその二つの耳を、ピンと立てる。
彼女のその耳は、何かの音を捉えていた。
「音?――あぁ、来たのかな」
チナーチの様子に少し訝しんだ出蔵だが、直後に彼女は何かに察しを付けてそんな言葉を発する。そして出蔵は自身も顔を上げ、チナーチの視線を追う。
立ち並ぶ天幕群の屋根を越えたさらに向こう、北西方向の空に二人は小さな影を見た。そして同時に同方向からパタパタという、連続的に何かを叩いているようにも似た音が聞こえ来る。
「……空から……近づいてる」
「大丈夫、あれはウチの人達だから」
空の向こうの影と音を捉え、零されたチナーチの声には警戒の色が含まれていた。それに対して出蔵は、チナーチに対してそう言葉を掛ける。
そのやり取りの間にも音は大きくなり、見えた影はみるみるうちに大きさを増す。音はついには轟音へと変わり、周辺の空気を振るわせ出す。そして巨大なシルエットへと変貌したそれは、けたたましい音を響かせながら、二人の真上を通過して行った。
「ッ!」
「っとぉ」
チナーチはその轟音に思わず顔を伏せて両耳を寝かせた。出蔵は申し訳程度に片手で顔を覆いながら、声を零す。
そして顔を起こして真上を飛び抜けて行った物体を追う二人。その向こうには、飛び抜けて行った巨大な物体――CH-47J輸送ヘリコプターの、ホバリング体勢に入る姿があった。
野営地区画の外れ。開けたその場を利用して、臨時のヘリポートが設けられている。そしてその上空に、五森分屯地から発した航空隊仕様のCH-47J輸送ヘリコプターが、たった今飛来し到着した。
けたたましいローターの回転音を響かせるCH-47J。その機体が着陸態勢に入り地上に近づくと、ローターの巻き起こす風圧により地面の草は揺れ、砂埃が盛大に巻き上がる。
「来やがったな」
「フゥ、飛んだのはこっち来て以来だなぁ」
臨時のヘリポートから少し離れた位置には、その光景を眺めながらそれぞれ言葉を零す、竹泉や多気投の姿がある。隣には消火機材を乗せた小型トラックが停められており、彼等は着陸時の万が一の事態の発生に備えて待機していた。
「………」
「えぇ……」
そしてそんな竹泉等の傍らには、ディコシアとティの兄妹の姿もあった。二人は飛来したCH-47Jの姿を、その口をポカーンと開口したまま眺めていた。
ディコシア達スティルエイト家側にも、事前に隊の乗り物が空を飛んでくるという事は伝えられていた。しかし、この世界に存在する翼竜や大型鳥獣の類を予想していた兄妹は、実際に現れたCH-47Jを前に完全に意表を突かれる形となった。
「なんなの、アレ……」
「空を飛んで来るとは聞いていたが……」
思わず零すディコシア達。
そんな間にもCH-47Jはその高度を下げ、そして臨時ヘリポートの上に着陸脚を降着させた。
CH-47Jの機内。その大半を占める貨物室には、一輌の装備を満載した高機動車と、2個分隊15名程度の隊員の姿があった。これ等はこのスティルエイト・フォートスティートに向けられたさらなる増援の内の一部であり、今現在同時に地上からも、分屯地を発した増援第2陣の車輛群が向かっている最中であった。
「間もなく降着だ。降機時はモタモタするんじゃないぞ!」
そんな中で、女陸曹の帆櫛ががなり声を上げている。
「チッ、そんな急ぐ場面でもないだろうに。鬼軍曹気取りかよ……!」
口うるさく振る舞う帆櫛の姿に、隊列中に姿を置く町湖場が悪態を零す。
「カワイイ顔もあれで台無しだかんなー」
そして町湖場の隣に立つ樫端が、同調してそんな軽口を呟く。
「よせよ二人とも。聞こえるぞ」
そんな二人に背後にいた新好地から咎める声が飛ぶ。その脇には、彼の担当車輛装備であるオートバイが見える。
「構やしませんよ」
しかしそんな忠告の言葉を受けて尚、町湖場は不快そうな声色で零し、そして女陸曹帆櫛の姿を睨み一瞥した。
そんなやり取りの間に、CH-47Jは地上へとその巨体を降ろしたのだろう、機体、そして機内にわずかな揺れが走った。
《接地完了した。貨物室へ、降機を始めてくれて問題ない》
コックピットで操縦桿を預かる小千谷より、インカム越しに各員へそんな旨の言葉が送られて来る。同時に機体後部の貨物扉が解放され、ランプが降ろされる。そして貨物室後部に待機していた航空隊の空中輸送員が真っ先に機外へ降りて外部を確認。貨物室で待機していた車輛と各員へ、降機開始の合図を出した。
「よし、行け!」
それを見止め、帆櫛が指示の声を発し上げる。
最初に、すでにエンジンを吹かしていた高機動車が、ランプを下り機外へと乗り出る。続いて待機していた各員がそれに追従し、ランプを踏み地上へと駆け降りた。
地上の臨時ヘリポートの付近では事前に誘導のための隊員が備えており、高機動車と各隊員はその誘導に従い、指定された各所へと向かって行く。
搭乗していた各員の降機が進む一方、コックピットでは着陸に伴う各手順が進んでいた。CH-47Jの持つその二つのエンジンが停止されると、ローターは次第に回転数を落とし、鳴り響いていたその轟音も、徐々に小さな物となってゆく。そしてやがてローターは完全に停止。轟音と、周辺に吹き荒れていた風は鳴りを潜め、周囲はそれまでの静寂さを取り戻した。
「よし、エンジン停止確認。――やれやれだな」
コックピットの機長席には、着陸及び停止手順を終えて声を零す小千谷の姿があった。
「チッ、久々のフライトだったって言うのに、ほとんど何もしなかったな」
その隣、副機長席からはつまらなそうな声が上がる。CH-47J副機長の維崎(いさき)空曹長の物だ。
「愚痴は後にするんだ、着陸後チェックを始めるぞ」
「言われなくても」
そこへ掛けられた小千谷からの言葉に、維崎はつまらなそうに返す。
「得野(とくの)、機外チェックに行ってくれ」
「了解です」
そして機上整備員の隊員に指示を送る小千谷。航空隊の各員は、彼等の仕事を開始した。
機外では降機した増援部隊と宿営地の部隊が合流し、それぞれ移動、装備の積み下ろし、再編成等の各作業が始まっている。
そんな中、他の隊員とは違い一人遅れてCH-47Jより降り立ち、ヘリポート上を歩いて来る者の姿があった。
それは井神一曹であった。
現在。事実上、転移して来た部隊の全てを取りまとめている井神は今回、主となる活動の場がこの月詠湖の国周辺になるであろう事を見越し、その上での指揮の利便を考え、自らも増援の部隊に同行し、この地に赴いて来ていた。
「井神一曹」
そんな彼に声が掛けられる。
声を頼りに視線を起こし走らせた井神は、ヘリポート端の一角に、声の主である長沼の姿を見止める。
そして二人は近づき相対し、互いに敬礼を交わした。
「ようこそ井神一曹。お預かりしていた部隊の指揮を、そちらへ委譲します」
「受け取った――色々、範囲外の事を押し付けてすまなかったな、長沼さん」
「いえ、それは井神一曹も同じ立場でしょう」
相対した二人は所定の必要なやり取りをし、そして言葉を交わす。
「すまない――しかし、邦人の存在の発覚とは、本当に驚くべきことの連続だな」
「えぇ、本当に――現在の状況、情報と、予定している動きを説明します。ここでは難ですから、指揮所の方へ」
「あぁ」
ヘリポート端の一角では、騒がしく動く周囲の状況に、未だに呆然とした状態のディコシアとティの姿があった。
「本当に何なのアレ?どうやって飛んでるの……?」
そしてティが、傍らにいる竹泉に説明を求める言葉を零す。
「暇があったら、今度教えてやる」
「うっわ、アテにならない」
そんなティにだるそうな声色でそう返す竹泉。それを聞いたティは、呆れにも近い声を発した。
「竹泉、多気投」
そんな所へ竹泉等に声が掛けられる。振り向けば、そこに声の主である長沼と、そして井神の姿があった。
「消火待機はもういい。君等も偵察捜索隊の要員だろう、そっちの準備に当たってくれ」
「了ぉ解ですぅ」
掛けられた長沼の指示の言葉に、竹泉は礼節に欠ける了解の返答を返す。
「君達は第1中隊の二人だったか。すまないな、色々大変だったと聞いている」
「えぇまったく、面倒には事欠きませんでしたよ」
続けて井神からは苦労を察する言葉が二人に掛けられる。しかし竹泉はそれに対して、上位階級者相手であるにも関わらず、皮肉の含まれた言葉を遠慮なく返した。
「竹泉」
そんな態度の竹泉に、長沼から少し圧の込められた咎める言葉飛ぶ。しかしそれでも竹泉は皮肉気な態度を崩す様子は無かった。
「まぁいいさ。所で――そちらのお二人は?」
一方の井神は特段気分を害した様子は見せず竹泉の態度を看過。そして竹泉等のさらに向こう側に立つ二人の分の人影――ディコシアとティの姿を目に留めて、尋ねる声を発した。
「ここん家の人間ですよ。先日はこの二人と手を取り合って、感動に満ちた奇跡的な生還を果たしましてねぇ!」
井神の疑問の声には、竹泉が二人を一瞥しながら、皮肉に満ちた説明を捲し立てる。
「竹泉!」
二人に対する無礼な態度に、長沼は再び咎める声を発し上げる。
「内容と口調が全くあってない」
そして竹泉の傍らに立つティが、呆れた声で零した。
二人の言葉を受けて尚、竹泉の態度は変わらずどこ吹く風であった。
「全く――こちらのお二人は、この個人所有領の所有者のご家族で、ディコシアさんとティさんです。お二人にはこの地を訪れて以来、様々な面でご協力を頂いています」
長沼は竹泉を困った様子で一瞥した後に、井神に二人を詳しく紹介する。
「成程――お二人とも初めまして、私は部隊長を代行しています、井神一等陸曹と申します」
「え、あ、どうも」
「は、はじめまして」
井神は二人に対して改まり、挨拶、そして自らの身分、姓階級を名乗る。それを受けた二人は、ぎこちない様子で返事を返す。
「お話はお伺いしています。敷地内への立ち入りと活動を許可していただけでなく、その上様々な場面でご協力頂いていると。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。何らかの形で、お礼を返させていただきたいと思います」
「そんな、とんでもない……」
井神の改まった態度とその言葉に、ディコシアは戸惑う様子を見せた。
「他にも、何か私達に要求等あれば、遠慮なくお伝えください――ではすみません、失礼します」
最後にそう言葉を伝え、井神と長沼はその場を去って行った。
「……なんか、丁寧だけど圧を感じる人だね」
立ち去った井神等の背を見ながら、ティは井神に対するそんな感想を発した。
「あぁ――正直不気味な陸曹だよ。心内で何考えてんのやら」
「あんた達の上官なのに?」
「直の上官じゃねぇんだよ」
同様に井神の背中を見送りながら竹泉は吐き捨てるように発する。それに対してティは不思議そうに尋ねたが、竹泉はなげやりな口調で返した。
「よく分かんないけど――ん?」
零しながら井神等の去った方向を眺めていたティだったが、彼女はその時、別方向にまた別の人影を見止める。
「ふわ」
そして直後に、ティは何か驚くような声を上げた。
ティの視線の先には、長い黒髪をたなびかせて歩く、端正な顔立ちの一人の女隊員の姿があった。
「ね、ね!兄貴あの人見て!」
「どうした?」
ティは横に立つディコシアの上着の裾を掴んで、自らの視線の先にある女隊員の姿は示す。
「なんかすっごい綺麗な人いる!」
「ん?――あぁ、まぁそうなのか?」
頬を微弱に染めて、その女隊員の姿を追うティ。しかし一方のディコシアは、同様にその女隊員の姿を見止めるも、その反応はどこか鈍く、そこまで興味を示した様子は見せなかった。
「あぁ……兄貴はそういうのに興味を示さないんだった……」
そんなディコシアの態度に何か残念そうに気付き発したティ。
「何をはしゃいでんだ」
そんなティの様子に気付き、竹泉が呆れた口調で声を掛ける。
「いや、なんかすっごい綺麗な人いたから」
「あ?――あぁ、鳳藤のヤツじゃねぇか」
対してティは返しながら、視線の先に居る女隊員を示す。それを追い、その先に居る人物の正体に気付いた竹泉は、何か投げやりな様子で発した。
「あんな人もいるんだね~。ちょっと怖そうだけど、キリっとしててまるで王子様みたい」
竹泉の言葉を横で聞きながらも、ティはその女隊員――鳳藤の姿を追い、どこかあこがれるような口調で零す。
「ハリボテだけどなぁ」
「え?」
しかし直後に零された竹泉の皮肉気な言葉に、ティは疑問の声を上げた。
増援部隊の一人としてこの地に降り立った鳳藤は、本来の所属である普通科4分隊へ合流すべく、周囲を見渡しながら臨時ヘリポート上を歩み進んでいる。
その途中で彼女は、臨時ヘリポートの端に立ち構える一人の人影を見つめる。異質な存在感を放つその人影の正体は、他でも無い制刻であった。制刻の姿を見止めた鳳藤は、その方向へ歩み、そして二人は相対した。
「よーぉ」
「自由」
「久しぶりだな」
「あぁ。お前と顔を合わせないこの数日は、快適だったよ」
「気が合うな。こっちもだ」
相対した二人は早々、制刻は変わらずの不気味で読めない顔で、鳳藤はその端正な顔を少し険しくして、互いに皮肉の言葉を飛ばす。
「ふん――聞いたよ、こちらでは大分暴れたそうだな?」
「この辺は、弾ける理由に事欠かねぇようだからな。きな臭ぇ土地に、ようこそだ」
続けて、どこか呆れた様子で、聞き及んでいたこちらでの制刻等の同行について言及する鳳藤。対して制刻は、淡々とした様子で延べ、そして皮肉気に歓迎の言葉を発して見せた。
「制刻」
少しピリっとした空気が流れる両者の元へ、端から声が割り入り掛かる。二人が声の方向へ振り向けば、こちらへ小走りで駆けてくる河義の姿が見えた。
「――あぁ、鳳藤。到着したか」
「は。鳳藤陸士長、4分隊指揮下へと復帰します」
駆け寄って来た河義は、そこで制刻と相対していたもう一人が鳳藤である事に気付き、発する。対する鳳藤は河義に向けて姿勢を正して挙手の敬礼をし、申告の言葉を発した。
「了解」
それを河義は受け取り、敬礼を返す。
五森の公国への派遣小隊に選抜射手として組み込まれた鳳藤は、一時的に本来の所属である4分隊を外れていたが、今この時点を持って4分隊へと復帰した。
「さて、鳳藤。邦人の件は聞いているな?」
復帰の報告を受け取った河義は、鳳藤に向けて説明の言葉を発し始める。
発覚した邦人を捜索、接触するために、隊は偵察捜索隊を編成し発出する計画を立てていた。それには4分隊も編成に組み込まれ、本日午後より行程を開始する予定となっていた。
「復帰して早々になってしまうが、問題ないか?」
「大丈夫です」
河義の説明、確認の言葉に、鳳藤は問題ない旨の言葉を返す。
「よし、これより分隊で行程の詳細確認を行う。二人とも、各員を集めてくれるか」
「了ぉ解」
「は」
宿営地内の一角。止められた旧型小型トラックの周囲に、制刻と鳳藤。そして竹泉、多気投、策頼等、4分隊に組み込まれている各員が集まっていた。
「皆、揃ったか」
そこへ、一度外していた河義がその場へ姿を現す。
「あん?」
しかしそこで竹泉が微かに訝しむ声を上げた。河義の横には、もう一人別の隊員が並び歩いて来る姿があったからだ。
「皆、確認を始める前に紹介しておく」
小型トラックの前まで到着した所で、河義は各員へ向けて口を開く。そして横に立つ隊員へ視線を向ける。河義と共に新たに現れたのは、正直言って酷く陰険で胡散臭そうな印象を与える顔立ちをした、一人の二等陸士階級の陸士であった。
「5分隊の超保(こえほ)か」
しかし河義がその陸士を紹介する言葉を発する前に、制刻がその姿を見止めてその正体を零した。
「そうだ」
河義はそれに続けて補足の言葉を続ける。
異世界に飛ばされて来た第54普通科連隊、第2中隊の各分隊は、分隊ごとに飛ばされて来た人数に大きく偏りがあり、人員が揃った状態で飛ばされて来た分隊もあれば、人員を欠いた半端な状態で飛ばされて来た部隊もあった。その中には一人ないし数名だけが飛ばされて来た分隊もあり、彼――5分隊の越保もその例に該当する分隊の隊員であった。
彼始めそういった分隊の隊員は、分屯地で待機防衛に当たるか、他分隊と一時的に合流再編成するかの対応を取っていた。5分隊の彼は前者であったが、今回矢面に立つ機会の多くなった4分隊の人員を補うために、合流する流れとなった事を河義は説明した。
「ウチは胡散臭ぇ見てくれの輩で、組まねぇといけねぇ規則でもあるのか?」
その超保の姿を一見し、その後に周囲の各員を人眺めし、竹泉が思った事を無遠慮に発する。
「陰険な外観の、お前が言えた立場か」
「うるせぇガワだけプリンス」
そんな竹泉の発言に鳳藤が呆れの混じった声を上げるが、それに対して竹泉は煽る言葉で返す。
「やめろ竹泉」
そしていつもの調子の竹泉に、河義は顔を顰めて咎める声を上げる。
「ヘイ、ニューフェイス。この竹しゃんの言う事は、あんまり真に受けないでくれやぁ」
傍ら、多気投は超保に向けてフォローの言葉を発する。しかし当の超保は返事を返す事は無く、どこか不快そうな眼で周囲の各員へ視線を流すのみであった。
「まったく……どうあれ、これでフルで分隊を編成できる」
相も変わらず不穏な空気に事欠かない様子に、河義はため息混じりに零したが、その後に気を取り直して発する。
「さて、説明するぞ」
そして続けて発すると、河義は地図を取り出して広げ、それを小型トラックのボンネット上に広げた。
「その邦人は、先日のハシアさん達と同じような勇者と呼ばれる一行に身を寄せ、旅路を進んでいるそうだ――」
河義は偵察捜索行程についての詳細を話し始める。
隊はチナーチから聞き及ぶことが出来た、その邦人と勇者の出発点と目的地から、彼女達が取ると思われるルートを予測。偵察捜索隊はそれに基づき辿り、彼女達に追いつき接触を試みる計画であった。
「そう簡単に行くのかねぇ?」
説明を聞いた各員の中で、竹泉が訝しむ声を上げる。
「彼女達は徒歩での旅路だそうだ、取るルートはおのずと限られる。それを辿れば、接触できる可能性は高い」
その声に、河義は説明の言葉を返した。
「話はずれるけどヨォ。その勇者ってのは、お前等が何度かコンタクトしたボーイ達とはちげぇのかぁ?」
その後に、今度は多気投がそんな疑問の声を、制刻や鳳藤へ視線を送りながら上げた。
「チナーチさんによるとその勇者一行は、女の人二人組との事だ。そして同時に伺えた名や出身国も、私達が接触したハシアさん達の物ではなかった」
多気投の疑問の声には河義が答える。
「ハシアのヤツが女と間違えられてる可能性も、最初は疑ったがな」
続けて制刻が、美少女と間違えられがちであったハシアの容姿顔立ちを思い返し、少し不気味に笑いながら言葉を零した。
「そんなにボロボロいるモンなのかぁ、勇者ってヤツはよぉ?」
「この世界には、多数の勇者を名乗る一行が、魔王という存在を討伐するために活動していると聞く」
呆れ気味に零した竹泉に、河義は以前にハシアより聞き及んだ、勇者についての情報を説明してみせた。
「マジでとんだ世界だぜ……」
勇者そして魔王の名を、加えてこの世界の状況を再びその耳に聞き、竹泉はウンザリした様子で吐き捨てた。
「こぼれ話はここまでにしよう。注意事項として、私達がこれより入る〝紅の国〟という国は、どうにも不安定な情勢の中にあるようだ――」
河義は隣国についての情勢に触れ、その上で隊は不測の事態に備え、偵察捜索隊とは別途に小隊規模の部隊を編成し待機させる旨を説明。呼応展開小隊と呼称されるこの小隊は、この月詠湖の国と紅の国の国境線付近に待機し、偵察捜索隊が単体では手に余る事態に遭遇した場合に、これに追走合流、展開し事態の対処に当たる事を告げた。
「そんな事態がねぇ事を祈りたいね」
「こんな所だろう――何か質問は?」
竹泉は気だるげに言葉を吐くが、河義はそれには取り合わずに、その他の各員に向けて尋ねる。
「特には」
「無し」
「ありません」
各員からは特段それ以上の疑問点は無い旨の返答が返される。
「よし。行程は1300から開始される。各員装備を整え、再集合するように――かかれ」
それを受けた河義はその上で必要事項を告げ、指示する。そして掛けられた号令と共に各員は解散、各々準備に掛かって行った。
武器弾薬を始めとする各装備類が集積されている天幕内で、4分隊の各員は各々補充のための弾薬装備を受け取り、それらを適切に整え身に着ける作業に当たっている。
「――ったく、邦人たぁまた妙な事になったモンだなぁ」
そんな中で竹泉の呟く声が上がる。自身の護身火器である9mm拳銃に弾倉を装填し、弾帯のホルスターに収める竹泉。
それを最後に担当する装備火器の準備着装をいの一番に終えた彼は、その背後、天幕内の真ん中に置かれ、いくつかの装備品が上に積まれた長机に振り返った。
「これを見つけたせいで、余計な面倒が増えたぜ」
そして長机の端に、その他の装備とは別に避けて置かれた、ビニールケースに収められたある物を摘まみ上げる。それは野盗の根城で竹泉自身が発見した100円硬貨であった。
その場に保管されていた、邦人の存在発覚をもたらしたそれを若干忌々し気に眺めながら呟く竹泉。
「――あん?」
しかし直後、竹泉はその硬貨が妙な部分を持つことに気付いた。
「どうした?」
そんな竹泉の上げた声と、様子の変化に気付いたのだろう、横から制刻が現れ声を掛ける。
「おい――これを見てみろや」
そんな制刻の視線の先に、竹泉はおもむろにそのビニールケースに収められた硬貨を翳す。そしてその硬貨の、刻印された製造年をもう片方の手の指先で指し示して見せた。
「あ?」
訝しむ声を零し、示された部分を睨む制刻。そして程なくして制刻は、その硬貨が異質な物である事に気付いた。
――平〝生〟元年――
硬貨の製造年を示す部分には、そんな文字が刻印されていた。
「……それだけじゃねぇな」
さらにそれ以外にも異なる箇所に気付き、竹泉はその異質な硬貨を机上に置くと、自身の財布からまた別の100円硬貨を取り出し、二つを並べ置く。
「どうしたんだ?」
「今度は何の発見だぁ」
そこへ様子の変化に気付いた鳳藤や多気投等も集まり覗き込んでくる。
「見て見ろ」
そんな各員へ、竹泉は並べ置いた二つの硬貨を指し示し、促して見せる。
「……なんだこれ……年号の字が違ってる?」
鳳藤等も、硬貨の年号の刻印が自分達が知る物と異なるそれである事に気付き、声を零す。
「どういうこっちゃ?」
「誤印か?」
疑問、そして推測の声を上げる多気投や鳳藤。
「こんな誤印は流石に発生しねぇだろ。それに、年号以外にもデザインに違いがある」
竹泉は鳳藤の言葉を否定し、そしてその異質な硬貨を再び指し示し説明する。言う通り、その硬貨は竹泉等が知る物と違い、桜の数や配置、刻印された字の字体等、細かい部分が異なっていた。
「では偽造された物……?」
「だとしたらアホな間違いが多すぎるし、変な方向に手間もかかり過ぎてる」
鳳藤はまた別の可能性を上げるが、竹泉は再びそれを否定する。
「つまり、どういう事だぁ?」
「これもこのファンタジー世界同様、得体の知れねぇ世界のブツの可能性があるって事だ――そして、今から追っかけに行くその邦人とやらもなぁ」
疑問の声を上げた多気投に、竹泉はそう可能性を説いた。
「まさか……」
「俺等が実際この奇妙奇天烈なワールドに飛ばされて来てんだ。考えられねぇ話じゃねぇ」
鳳藤の零した信じられないと言う様子の言葉に、竹泉は自分等を例に挙げて、それが起こり得る事態である事を発する。
「だろ?」
そして最後に竹泉は、制刻に振り向き問いかける。
「あぁ。――まぁどうにせよ、答えはコレの持ち主を見つけてみりゃ判明するだろ」
それを受けた制刻は、置かれた硬貨に視線を落としながら、淡々と発した。
宿営地内の一角に設営された衛生隊用天幕。その出入り口から出て来る二人分の人影がある。一人は出蔵、もう一人はチナーチだ。
「ごめんね、昨日から立て続けの診察で」
「ううん……大丈夫」
出蔵は念を入れ昨晩に続いてチナーチの体を診察。たった今それを終え、天幕から出て来た所であった。
「一応体の方は大丈夫そうだけど……念のためもう数日の間、観察させてもらう事になるかも」
「ああ……」
出蔵はチナーチに説明の言葉を続け述べるが、それに対してのチナーチの反応は、どこか力なき物であった。商隊の仲間の死を知らされて以降、彼女の様子はずっとこのような物に終始していた。
(……そりゃ、元気出る訳ないよね)
そんなチナーチの心情を察し、出蔵は内心で言葉を紡ぐ。一方のチナーチは、無気力そうなその瞳を周囲へ流している。
「……!」
そんな彼女の狼の特徴を持つその耳が、ピクリと揺れ立ったのはその時だった。そして彼女はその顔と半身を一方向――宿営地の北西の方角へと捻り向けた。
「どうかした?」
「音が……風?いや違う……」
チナーチの様子の変化に、彼女に尋ねる声を掛ける出蔵。対するチナーチは、返事の代わりにそんな言葉を零し、そして灰色の毛で覆われるその二つの耳を、ピンと立てる。
彼女のその耳は、何かの音を捉えていた。
「音?――あぁ、来たのかな」
チナーチの様子に少し訝しんだ出蔵だが、直後に彼女は何かに察しを付けてそんな言葉を発する。そして出蔵は自身も顔を上げ、チナーチの視線を追う。
立ち並ぶ天幕群の屋根を越えたさらに向こう、北西方向の空に二人は小さな影を見た。そして同時に同方向からパタパタという、連続的に何かを叩いているようにも似た音が聞こえ来る。
「……空から……近づいてる」
「大丈夫、あれはウチの人達だから」
空の向こうの影と音を捉え、零されたチナーチの声には警戒の色が含まれていた。それに対して出蔵は、チナーチに対してそう言葉を掛ける。
そのやり取りの間にも音は大きくなり、見えた影はみるみるうちに大きさを増す。音はついには轟音へと変わり、周辺の空気を振るわせ出す。そして巨大なシルエットへと変貌したそれは、けたたましい音を響かせながら、二人の真上を通過して行った。
「ッ!」
「っとぉ」
チナーチはその轟音に思わず顔を伏せて両耳を寝かせた。出蔵は申し訳程度に片手で顔を覆いながら、声を零す。
そして顔を起こして真上を飛び抜けて行った物体を追う二人。その向こうには、飛び抜けて行った巨大な物体――CH-47J輸送ヘリコプターの、ホバリング体勢に入る姿があった。
野営地区画の外れ。開けたその場を利用して、臨時のヘリポートが設けられている。そしてその上空に、五森分屯地から発した航空隊仕様のCH-47J輸送ヘリコプターが、たった今飛来し到着した。
けたたましいローターの回転音を響かせるCH-47J。その機体が着陸態勢に入り地上に近づくと、ローターの巻き起こす風圧により地面の草は揺れ、砂埃が盛大に巻き上がる。
「来やがったな」
「フゥ、飛んだのはこっち来て以来だなぁ」
臨時のヘリポートから少し離れた位置には、その光景を眺めながらそれぞれ言葉を零す、竹泉や多気投の姿がある。隣には消火機材を乗せた小型トラックが停められており、彼等は着陸時の万が一の事態の発生に備えて待機していた。
「………」
「えぇ……」
そしてそんな竹泉等の傍らには、ディコシアとティの兄妹の姿もあった。二人は飛来したCH-47Jの姿を、その口をポカーンと開口したまま眺めていた。
ディコシア達スティルエイト家側にも、事前に隊の乗り物が空を飛んでくるという事は伝えられていた。しかし、この世界に存在する翼竜や大型鳥獣の類を予想していた兄妹は、実際に現れたCH-47Jを前に完全に意表を突かれる形となった。
「なんなの、アレ……」
「空を飛んで来るとは聞いていたが……」
思わず零すディコシア達。
そんな間にもCH-47Jはその高度を下げ、そして臨時ヘリポートの上に着陸脚を降着させた。
CH-47Jの機内。その大半を占める貨物室には、一輌の装備を満載した高機動車と、2個分隊15名程度の隊員の姿があった。これ等はこのスティルエイト・フォートスティートに向けられたさらなる増援の内の一部であり、今現在同時に地上からも、分屯地を発した増援第2陣の車輛群が向かっている最中であった。
「間もなく降着だ。降機時はモタモタするんじゃないぞ!」
そんな中で、女陸曹の帆櫛ががなり声を上げている。
「チッ、そんな急ぐ場面でもないだろうに。鬼軍曹気取りかよ……!」
口うるさく振る舞う帆櫛の姿に、隊列中に姿を置く町湖場が悪態を零す。
「カワイイ顔もあれで台無しだかんなー」
そして町湖場の隣に立つ樫端が、同調してそんな軽口を呟く。
「よせよ二人とも。聞こえるぞ」
そんな二人に背後にいた新好地から咎める声が飛ぶ。その脇には、彼の担当車輛装備であるオートバイが見える。
「構やしませんよ」
しかしそんな忠告の言葉を受けて尚、町湖場は不快そうな声色で零し、そして女陸曹帆櫛の姿を睨み一瞥した。
そんなやり取りの間に、CH-47Jは地上へとその巨体を降ろしたのだろう、機体、そして機内にわずかな揺れが走った。
《接地完了した。貨物室へ、降機を始めてくれて問題ない》
コックピットで操縦桿を預かる小千谷より、インカム越しに各員へそんな旨の言葉が送られて来る。同時に機体後部の貨物扉が解放され、ランプが降ろされる。そして貨物室後部に待機していた航空隊の空中輸送員が真っ先に機外へ降りて外部を確認。貨物室で待機していた車輛と各員へ、降機開始の合図を出した。
「よし、行け!」
それを見止め、帆櫛が指示の声を発し上げる。
最初に、すでにエンジンを吹かしていた高機動車が、ランプを下り機外へと乗り出る。続いて待機していた各員がそれに追従し、ランプを踏み地上へと駆け降りた。
地上の臨時ヘリポートの付近では事前に誘導のための隊員が備えており、高機動車と各隊員はその誘導に従い、指定された各所へと向かって行く。
搭乗していた各員の降機が進む一方、コックピットでは着陸に伴う各手順が進んでいた。CH-47Jの持つその二つのエンジンが停止されると、ローターは次第に回転数を落とし、鳴り響いていたその轟音も、徐々に小さな物となってゆく。そしてやがてローターは完全に停止。轟音と、周辺に吹き荒れていた風は鳴りを潜め、周囲はそれまでの静寂さを取り戻した。
「よし、エンジン停止確認。――やれやれだな」
コックピットの機長席には、着陸及び停止手順を終えて声を零す小千谷の姿があった。
「チッ、久々のフライトだったって言うのに、ほとんど何もしなかったな」
その隣、副機長席からはつまらなそうな声が上がる。CH-47J副機長の維崎(いさき)空曹長の物だ。
「愚痴は後にするんだ、着陸後チェックを始めるぞ」
「言われなくても」
そこへ掛けられた小千谷からの言葉に、維崎はつまらなそうに返す。
「得野(とくの)、機外チェックに行ってくれ」
「了解です」
そして機上整備員の隊員に指示を送る小千谷。航空隊の各員は、彼等の仕事を開始した。
機外では降機した増援部隊と宿営地の部隊が合流し、それぞれ移動、装備の積み下ろし、再編成等の各作業が始まっている。
そんな中、他の隊員とは違い一人遅れてCH-47Jより降り立ち、ヘリポート上を歩いて来る者の姿があった。
それは井神一曹であった。
現在。事実上、転移して来た部隊の全てを取りまとめている井神は今回、主となる活動の場がこの月詠湖の国周辺になるであろう事を見越し、その上での指揮の利便を考え、自らも増援の部隊に同行し、この地に赴いて来ていた。
「井神一曹」
そんな彼に声が掛けられる。
声を頼りに視線を起こし走らせた井神は、ヘリポート端の一角に、声の主である長沼の姿を見止める。
そして二人は近づき相対し、互いに敬礼を交わした。
「ようこそ井神一曹。お預かりしていた部隊の指揮を、そちらへ委譲します」
「受け取った――色々、範囲外の事を押し付けてすまなかったな、長沼さん」
「いえ、それは井神一曹も同じ立場でしょう」
相対した二人は所定の必要なやり取りをし、そして言葉を交わす。
「すまない――しかし、邦人の存在の発覚とは、本当に驚くべきことの連続だな」
「えぇ、本当に――現在の状況、情報と、予定している動きを説明します。ここでは難ですから、指揮所の方へ」
「あぁ」
ヘリポート端の一角では、騒がしく動く周囲の状況に、未だに呆然とした状態のディコシアとティの姿があった。
「本当に何なのアレ?どうやって飛んでるの……?」
そしてティが、傍らにいる竹泉に説明を求める言葉を零す。
「暇があったら、今度教えてやる」
「うっわ、アテにならない」
そんなティにだるそうな声色でそう返す竹泉。それを聞いたティは、呆れにも近い声を発した。
「竹泉、多気投」
そんな所へ竹泉等に声が掛けられる。振り向けば、そこに声の主である長沼と、そして井神の姿があった。
「消火待機はもういい。君等も偵察捜索隊の要員だろう、そっちの準備に当たってくれ」
「了ぉ解ですぅ」
掛けられた長沼の指示の言葉に、竹泉は礼節に欠ける了解の返答を返す。
「君達は第1中隊の二人だったか。すまないな、色々大変だったと聞いている」
「えぇまったく、面倒には事欠きませんでしたよ」
続けて井神からは苦労を察する言葉が二人に掛けられる。しかし竹泉はそれに対して、上位階級者相手であるにも関わらず、皮肉の含まれた言葉を遠慮なく返した。
「竹泉」
そんな態度の竹泉に、長沼から少し圧の込められた咎める言葉飛ぶ。しかしそれでも竹泉は皮肉気な態度を崩す様子は無かった。
「まぁいいさ。所で――そちらのお二人は?」
一方の井神は特段気分を害した様子は見せず竹泉の態度を看過。そして竹泉等のさらに向こう側に立つ二人の分の人影――ディコシアとティの姿を目に留めて、尋ねる声を発した。
「ここん家の人間ですよ。先日はこの二人と手を取り合って、感動に満ちた奇跡的な生還を果たしましてねぇ!」
井神の疑問の声には、竹泉が二人を一瞥しながら、皮肉に満ちた説明を捲し立てる。
「竹泉!」
二人に対する無礼な態度に、長沼は再び咎める声を発し上げる。
「内容と口調が全くあってない」
そして竹泉の傍らに立つティが、呆れた声で零した。
二人の言葉を受けて尚、竹泉の態度は変わらずどこ吹く風であった。
「全く――こちらのお二人は、この個人所有領の所有者のご家族で、ディコシアさんとティさんです。お二人にはこの地を訪れて以来、様々な面でご協力を頂いています」
長沼は竹泉を困った様子で一瞥した後に、井神に二人を詳しく紹介する。
「成程――お二人とも初めまして、私は部隊長を代行しています、井神一等陸曹と申します」
「え、あ、どうも」
「は、はじめまして」
井神は二人に対して改まり、挨拶、そして自らの身分、姓階級を名乗る。それを受けた二人は、ぎこちない様子で返事を返す。
「お話はお伺いしています。敷地内への立ち入りと活動を許可していただけでなく、その上様々な場面でご協力頂いていると。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。何らかの形で、お礼を返させていただきたいと思います」
「そんな、とんでもない……」
井神の改まった態度とその言葉に、ディコシアは戸惑う様子を見せた。
「他にも、何か私達に要求等あれば、遠慮なくお伝えください――ではすみません、失礼します」
最後にそう言葉を伝え、井神と長沼はその場を去って行った。
「……なんか、丁寧だけど圧を感じる人だね」
立ち去った井神等の背を見ながら、ティは井神に対するそんな感想を発した。
「あぁ――正直不気味な陸曹だよ。心内で何考えてんのやら」
「あんた達の上官なのに?」
「直の上官じゃねぇんだよ」
同様に井神の背中を見送りながら竹泉は吐き捨てるように発する。それに対してティは不思議そうに尋ねたが、竹泉はなげやりな口調で返した。
「よく分かんないけど――ん?」
零しながら井神等の去った方向を眺めていたティだったが、彼女はその時、別方向にまた別の人影を見止める。
「ふわ」
そして直後に、ティは何か驚くような声を上げた。
ティの視線の先には、長い黒髪をたなびかせて歩く、端正な顔立ちの一人の女隊員の姿があった。
「ね、ね!兄貴あの人見て!」
「どうした?」
ティは横に立つディコシアの上着の裾を掴んで、自らの視線の先にある女隊員の姿は示す。
「なんかすっごい綺麗な人いる!」
「ん?――あぁ、まぁそうなのか?」
頬を微弱に染めて、その女隊員の姿を追うティ。しかし一方のディコシアは、同様にその女隊員の姿を見止めるも、その反応はどこか鈍く、そこまで興味を示した様子は見せなかった。
「あぁ……兄貴はそういうのに興味を示さないんだった……」
そんなディコシアの態度に何か残念そうに気付き発したティ。
「何をはしゃいでんだ」
そんなティの様子に気付き、竹泉が呆れた口調で声を掛ける。
「いや、なんかすっごい綺麗な人いたから」
「あ?――あぁ、鳳藤のヤツじゃねぇか」
対してティは返しながら、視線の先に居る女隊員を示す。それを追い、その先に居る人物の正体に気付いた竹泉は、何か投げやりな様子で発した。
「あんな人もいるんだね~。ちょっと怖そうだけど、キリっとしててまるで王子様みたい」
竹泉の言葉を横で聞きながらも、ティはその女隊員――鳳藤の姿を追い、どこかあこがれるような口調で零す。
「ハリボテだけどなぁ」
「え?」
しかし直後に零された竹泉の皮肉気な言葉に、ティは疑問の声を上げた。
増援部隊の一人としてこの地に降り立った鳳藤は、本来の所属である普通科4分隊へ合流すべく、周囲を見渡しながら臨時ヘリポート上を歩み進んでいる。
その途中で彼女は、臨時ヘリポートの端に立ち構える一人の人影を見つめる。異質な存在感を放つその人影の正体は、他でも無い制刻であった。制刻の姿を見止めた鳳藤は、その方向へ歩み、そして二人は相対した。
「よーぉ」
「自由」
「久しぶりだな」
「あぁ。お前と顔を合わせないこの数日は、快適だったよ」
「気が合うな。こっちもだ」
相対した二人は早々、制刻は変わらずの不気味で読めない顔で、鳳藤はその端正な顔を少し険しくして、互いに皮肉の言葉を飛ばす。
「ふん――聞いたよ、こちらでは大分暴れたそうだな?」
「この辺は、弾ける理由に事欠かねぇようだからな。きな臭ぇ土地に、ようこそだ」
続けて、どこか呆れた様子で、聞き及んでいたこちらでの制刻等の同行について言及する鳳藤。対して制刻は、淡々とした様子で延べ、そして皮肉気に歓迎の言葉を発して見せた。
「制刻」
少しピリっとした空気が流れる両者の元へ、端から声が割り入り掛かる。二人が声の方向へ振り向けば、こちらへ小走りで駆けてくる河義の姿が見えた。
「――あぁ、鳳藤。到着したか」
「は。鳳藤陸士長、4分隊指揮下へと復帰します」
駆け寄って来た河義は、そこで制刻と相対していたもう一人が鳳藤である事に気付き、発する。対する鳳藤は河義に向けて姿勢を正して挙手の敬礼をし、申告の言葉を発した。
「了解」
それを河義は受け取り、敬礼を返す。
五森の公国への派遣小隊に選抜射手として組み込まれた鳳藤は、一時的に本来の所属である4分隊を外れていたが、今この時点を持って4分隊へと復帰した。
「さて、鳳藤。邦人の件は聞いているな?」
復帰の報告を受け取った河義は、鳳藤に向けて説明の言葉を発し始める。
発覚した邦人を捜索、接触するために、隊は偵察捜索隊を編成し発出する計画を立てていた。それには4分隊も編成に組み込まれ、本日午後より行程を開始する予定となっていた。
「復帰して早々になってしまうが、問題ないか?」
「大丈夫です」
河義の説明、確認の言葉に、鳳藤は問題ない旨の言葉を返す。
「よし、これより分隊で行程の詳細確認を行う。二人とも、各員を集めてくれるか」
「了ぉ解」
「は」
宿営地内の一角。止められた旧型小型トラックの周囲に、制刻と鳳藤。そして竹泉、多気投、策頼等、4分隊に組み込まれている各員が集まっていた。
「皆、揃ったか」
そこへ、一度外していた河義がその場へ姿を現す。
「あん?」
しかしそこで竹泉が微かに訝しむ声を上げた。河義の横には、もう一人別の隊員が並び歩いて来る姿があったからだ。
「皆、確認を始める前に紹介しておく」
小型トラックの前まで到着した所で、河義は各員へ向けて口を開く。そして横に立つ隊員へ視線を向ける。河義と共に新たに現れたのは、正直言って酷く陰険で胡散臭そうな印象を与える顔立ちをした、一人の二等陸士階級の陸士であった。
「5分隊の超保(こえほ)か」
しかし河義がその陸士を紹介する言葉を発する前に、制刻がその姿を見止めてその正体を零した。
「そうだ」
河義はそれに続けて補足の言葉を続ける。
異世界に飛ばされて来た第54普通科連隊、第2中隊の各分隊は、分隊ごとに飛ばされて来た人数に大きく偏りがあり、人員が揃った状態で飛ばされて来た分隊もあれば、人員を欠いた半端な状態で飛ばされて来た部隊もあった。その中には一人ないし数名だけが飛ばされて来た分隊もあり、彼――5分隊の越保もその例に該当する分隊の隊員であった。
彼始めそういった分隊の隊員は、分屯地で待機防衛に当たるか、他分隊と一時的に合流再編成するかの対応を取っていた。5分隊の彼は前者であったが、今回矢面に立つ機会の多くなった4分隊の人員を補うために、合流する流れとなった事を河義は説明した。
「ウチは胡散臭ぇ見てくれの輩で、組まねぇといけねぇ規則でもあるのか?」
その超保の姿を一見し、その後に周囲の各員を人眺めし、竹泉が思った事を無遠慮に発する。
「陰険な外観の、お前が言えた立場か」
「うるせぇガワだけプリンス」
そんな竹泉の発言に鳳藤が呆れの混じった声を上げるが、それに対して竹泉は煽る言葉で返す。
「やめろ竹泉」
そしていつもの調子の竹泉に、河義は顔を顰めて咎める声を上げる。
「ヘイ、ニューフェイス。この竹しゃんの言う事は、あんまり真に受けないでくれやぁ」
傍ら、多気投は超保に向けてフォローの言葉を発する。しかし当の超保は返事を返す事は無く、どこか不快そうな眼で周囲の各員へ視線を流すのみであった。
「まったく……どうあれ、これでフルで分隊を編成できる」
相も変わらず不穏な空気に事欠かない様子に、河義はため息混じりに零したが、その後に気を取り直して発する。
「さて、説明するぞ」
そして続けて発すると、河義は地図を取り出して広げ、それを小型トラックのボンネット上に広げた。
「その邦人は、先日のハシアさん達と同じような勇者と呼ばれる一行に身を寄せ、旅路を進んでいるそうだ――」
河義は偵察捜索行程についての詳細を話し始める。
隊はチナーチから聞き及ぶことが出来た、その邦人と勇者の出発点と目的地から、彼女達が取ると思われるルートを予測。偵察捜索隊はそれに基づき辿り、彼女達に追いつき接触を試みる計画であった。
「そう簡単に行くのかねぇ?」
説明を聞いた各員の中で、竹泉が訝しむ声を上げる。
「彼女達は徒歩での旅路だそうだ、取るルートはおのずと限られる。それを辿れば、接触できる可能性は高い」
その声に、河義は説明の言葉を返した。
「話はずれるけどヨォ。その勇者ってのは、お前等が何度かコンタクトしたボーイ達とはちげぇのかぁ?」
その後に、今度は多気投がそんな疑問の声を、制刻や鳳藤へ視線を送りながら上げた。
「チナーチさんによるとその勇者一行は、女の人二人組との事だ。そして同時に伺えた名や出身国も、私達が接触したハシアさん達の物ではなかった」
多気投の疑問の声には河義が答える。
「ハシアのヤツが女と間違えられてる可能性も、最初は疑ったがな」
続けて制刻が、美少女と間違えられがちであったハシアの容姿顔立ちを思い返し、少し不気味に笑いながら言葉を零した。
「そんなにボロボロいるモンなのかぁ、勇者ってヤツはよぉ?」
「この世界には、多数の勇者を名乗る一行が、魔王という存在を討伐するために活動していると聞く」
呆れ気味に零した竹泉に、河義は以前にハシアより聞き及んだ、勇者についての情報を説明してみせた。
「マジでとんだ世界だぜ……」
勇者そして魔王の名を、加えてこの世界の状況を再びその耳に聞き、竹泉はウンザリした様子で吐き捨てた。
「こぼれ話はここまでにしよう。注意事項として、私達がこれより入る〝紅の国〟という国は、どうにも不安定な情勢の中にあるようだ――」
河義は隣国についての情勢に触れ、その上で隊は不測の事態に備え、偵察捜索隊とは別途に小隊規模の部隊を編成し待機させる旨を説明。呼応展開小隊と呼称されるこの小隊は、この月詠湖の国と紅の国の国境線付近に待機し、偵察捜索隊が単体では手に余る事態に遭遇した場合に、これに追走合流、展開し事態の対処に当たる事を告げた。
「そんな事態がねぇ事を祈りたいね」
「こんな所だろう――何か質問は?」
竹泉は気だるげに言葉を吐くが、河義はそれには取り合わずに、その他の各員に向けて尋ねる。
「特には」
「無し」
「ありません」
各員からは特段それ以上の疑問点は無い旨の返答が返される。
「よし。行程は1300から開始される。各員装備を整え、再集合するように――かかれ」
それを受けた河義はその上で必要事項を告げ、指示する。そして掛けられた号令と共に各員は解散、各々準備に掛かって行った。
武器弾薬を始めとする各装備類が集積されている天幕内で、4分隊の各員は各々補充のための弾薬装備を受け取り、それらを適切に整え身に着ける作業に当たっている。
「――ったく、邦人たぁまた妙な事になったモンだなぁ」
そんな中で竹泉の呟く声が上がる。自身の護身火器である9mm拳銃に弾倉を装填し、弾帯のホルスターに収める竹泉。
それを最後に担当する装備火器の準備着装をいの一番に終えた彼は、その背後、天幕内の真ん中に置かれ、いくつかの装備品が上に積まれた長机に振り返った。
「これを見つけたせいで、余計な面倒が増えたぜ」
そして長机の端に、その他の装備とは別に避けて置かれた、ビニールケースに収められたある物を摘まみ上げる。それは野盗の根城で竹泉自身が発見した100円硬貨であった。
その場に保管されていた、邦人の存在発覚をもたらしたそれを若干忌々し気に眺めながら呟く竹泉。
「――あん?」
しかし直後、竹泉はその硬貨が妙な部分を持つことに気付いた。
「どうした?」
そんな竹泉の上げた声と、様子の変化に気付いたのだろう、横から制刻が現れ声を掛ける。
「おい――これを見てみろや」
そんな制刻の視線の先に、竹泉はおもむろにそのビニールケースに収められた硬貨を翳す。そしてその硬貨の、刻印された製造年をもう片方の手の指先で指し示して見せた。
「あ?」
訝しむ声を零し、示された部分を睨む制刻。そして程なくして制刻は、その硬貨が異質な物である事に気付いた。
――平〝生〟元年――
硬貨の製造年を示す部分には、そんな文字が刻印されていた。
「……それだけじゃねぇな」
さらにそれ以外にも異なる箇所に気付き、竹泉はその異質な硬貨を机上に置くと、自身の財布からまた別の100円硬貨を取り出し、二つを並べ置く。
「どうしたんだ?」
「今度は何の発見だぁ」
そこへ様子の変化に気付いた鳳藤や多気投等も集まり覗き込んでくる。
「見て見ろ」
そんな各員へ、竹泉は並べ置いた二つの硬貨を指し示し、促して見せる。
「……なんだこれ……年号の字が違ってる?」
鳳藤等も、硬貨の年号の刻印が自分達が知る物と異なるそれである事に気付き、声を零す。
「どういうこっちゃ?」
「誤印か?」
疑問、そして推測の声を上げる多気投や鳳藤。
「こんな誤印は流石に発生しねぇだろ。それに、年号以外にもデザインに違いがある」
竹泉は鳳藤の言葉を否定し、そしてその異質な硬貨を再び指し示し説明する。言う通り、その硬貨は竹泉等が知る物と違い、桜の数や配置、刻印された字の字体等、細かい部分が異なっていた。
「では偽造された物……?」
「だとしたらアホな間違いが多すぎるし、変な方向に手間もかかり過ぎてる」
鳳藤はまた別の可能性を上げるが、竹泉は再びそれを否定する。
「つまり、どういう事だぁ?」
「これもこのファンタジー世界同様、得体の知れねぇ世界のブツの可能性があるって事だ――そして、今から追っかけに行くその邦人とやらもなぁ」
疑問の声を上げた多気投に、竹泉はそう可能性を説いた。
「まさか……」
「俺等が実際この奇妙奇天烈なワールドに飛ばされて来てんだ。考えられねぇ話じゃねぇ」
鳳藤の零した信じられないと言う様子の言葉に、竹泉は自分等を例に挙げて、それが起こり得る事態である事を発する。
「だろ?」
そして最後に竹泉は、制刻に振り向き問いかける。
「あぁ。――まぁどうにせよ、答えはコレの持ち主を見つけてみりゃ判明するだろ」
それを受けた制刻は、置かれた硬貨に視線を落としながら、淡々と発した。
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