航空自衛隊TSギア作戦記 ―出撃せよ、戦闘少女飛行隊!……でも中身は皆男性!?―

EPIC

文字の大きさ
2 / 30
第1章:「その身、その世界の変貌」

ミッション2:「その日、世界は変貌した」

しおりを挟む
 異次元脅威生物――フィアー。
 「恐怖」の意味を持つ呼称を付けられた、その存在の出現。

 ある日。世界中に未知の異次元空間と繋がる特異点、「コネクター」が出現。
 そしてその向こうより、怪異神話に登場する怪異怪物でも再現したような。恐ろしい未知の生命体、フィアーが現れたのだ。

 フィアーは地球世界側の呼びかけ、対話の試みに一切の反応を示さず。世界の各国各地に、まさにパニック映画の怪物の様相で攻撃襲撃を開始。
 各国各軍はこれに対抗したが、フィアーのその攻撃力襲撃力は凄まじく。
 各国の軍・防衛組織は並々ならぬ苦戦を強いられ、多大な被害を出し。世界はフィアーの脅威を前に、窮地に陥っていた。

 しかし。そんな窮地の内にあった地球人類社会に、転機が。一筋の希望が舞い込んだのは、ある日のある場所での事。

 そこに居合わせたのが、他でもない隼であった――


 日時は遡る――

 日本の静岡県、浜松市に所在する航空自衛隊、浜松基地。
 第1航空団を始め、様々な航空自衛隊部隊の所在するこの基地は――その日、フィアーの襲撃を受けた。
 フィアーに何らかの戦略戦術的意図があったのか、それとも単なる手当たり次第の無差別攻撃なのか。それは知る由もない。

 ともかく浜松の街、及び浜松基地はフィアーに襲撃され。大混乱の内にあった。


 浜松基地の滑走路施設の端に存在する、戦闘機の退避用バンカー。
 その内には辛うじて非難した隊員や職員らの、しかしまばらな姿が見える。

「――ッ」

 そしてその内に混じり、隼の姿が在った。


 一度。隼の身の上、経歴について語っておく。

 隼は、フィアーの出現が世界中で脅威となり始めたが、日本への脅威にあってはまだ少なかった頃に。
 しかし世界が共通の窮地にある中で、自分も少しでも何らかの力にと思い。フィアーの出現に伴う自衛隊の一般隊員の増員募集に志願し、転職入隊した身だ。
 ややストイック気味で、周りからは冷淡に見られる事もある隼のこの選択は。知人や友人から少し驚かれた。

 しかし教育訓練後には事務職を指定され、部隊配備後には基地にて事務職に従事する事となり。
 主として武力を携え、矢面に立つ立場とは離れた日々を送っていた。


 だがこの日。その隼も所属所在する浜松基地は襲撃され。
 襲撃の直前、他部署へのお使いに赴く途中であった隼は、しかしそこをフィアー襲撃からの混乱に巻き込まれ。
 混乱下を他の隊員等に促されるままに、近場の退避用バンカーに避難し。辛うじて命を長らえた身であった。

 今は他の隊員に混じり、担ぎ込まれた負傷者の手当てに専念し。纏うそのデジタル迷彩作業服を、負傷者の血で濁している。

「ッゥ」

 隼のその顔は、当然の如き苦く険しい。

 それは今に自分が止血を施している、眼下の負傷した同胞の姿はもちろん。
 外では、フィアーの脅威が今もそこかしこで襲い。基地も街も、死地も同然の状況。

 そして基地では。わずかに展開した第1航空団の第1基地防空隊(フィアーの出現に伴い浜松基地に新編されたもの)が、決死の防空砲火を上げ。
 かろうじて上がった、浜松基地に出張展開していた戦闘飛行隊のスクランブル機が。フィアーを相手取り。
 同胞の各隊各所が決死の抵抗を行っているが、自分にあってはそれに任せるしかない状況。

 などなど。
 今の窮地にあって、自衛官と言う身分であるのに、しかし脅威に抗う力を持つことすらできていない。
 自分の無力感に強烈に苛まれての形相であった。

「制斗一士、もうここはいい。向こうに手を貸してやってくれッ」

 そんな隼へ。
 隼が今に補佐し、主として負傷者を見ていた医官の幹部隊員が。合わせて言うと、ここに逃げ込んで来た者の内の最高階級者が。
 隼に促す言葉を紡ぐ。

「了解ッ」

 それを受け、「今は悲観に暮れる暇すら無いだろう」と。己に言い聞かせて感情を払拭し、次に人手を必要とする方へ向かおうとした隼。

「――ッ!?」

 しかし、退避用バンカーの外部で衝撃音が響き。半分開いた防護用大扉の向こうから、それが届いたのはその時であった。
 それより襲い来た振動などに、退避用バンカー内の皆はまずは身を庇い伏せる。

「ッゥ――墜落ッ?それともフィアーかッ!?」

 直後には、外部の警戒を担当していた基地警備隊の隊員。合わせて言うと隼の同期でもある、名を式機《しきき》 飛燕《ひえん》という隊員が。
 その立場役目もあって皆を庇う様に前に出て、その背後で隼も身構えつつ外部の向こうを見る。

「――えッ?」

 しかし、次に隼の目が防護扉の向こうに見たのは、想定していなかった光景。
 衝撃音は友軍機の墜落か、もしくはフィアーの襲撃かと思われたのだが。しかし向こうに見えたのはどちらでも無かった。

 向こう見えたのは、何か見慣れぬ異様な物体。
 形状としては飛行機に似ているが、何かその全形は未来的と言うか異質。ともかく、自衛隊機でも、日本はもちろん世界で見られる主だった機のそれではない。
 そんな飛行物体らしきそれが、墜落か不時着かは分からないが。退避用バンカーの向こうのエプロン区画に身を崩し沈めていたのだ。

「なんだ、あの機……?自衛隊機じゃないし、見た事の無い機影だぞ――フィアー絡みか……?」

 隼の同期の飛燕は、訝しみながらも見えるそれに警戒を向ける。

「!」

 しかし、その背後より隼が。その得体の知れぬ飛行物体の、窓と思しきものの向こうに「動き」を見たのは直後。

「――人だ」

 そしてそれが、すぐに人の影あることに気づいた。

「え?――あ、ちょッ!制斗ッ!?」

 そして次には隼は、飛燕の驚き止める声も聞かず。退避用バンカーより駆け出していた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

蒼穹の裏方

Flight_kj
SF
日本海軍のエンジンを中心とする航空技術開発のやり直し 未来の知識を有する主人公が、海軍機の開発のメッカ、空技廠でエンジンを中心として、武装や防弾にも口出しして航空機の開発をやり直す。性能の良いエンジンができれば、必然的に航空機も優れた機体となる。加えて、日本が遅れていた電子機器も知識を生かして開発を加速してゆく。それらを利用して如何に海軍は戦ってゆくのか?未来の知識を基にして、どのような戦いが可能になるのか?航空機に関連する開発を中心とした物語。カクヨムにも投稿しています。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

ガチャから始まる錬金ライフ

盾乃あに
ファンタジー
河地夜人は日雇い労働者だったが、スキルボールを手に入れた翌日にクビになってしまう。 手に入れたスキルボールは『ガチャ』そこから『鑑定』『錬金術』と手に入れて、今までダンジョンの宝箱しか出なかったポーションなどを冒険者御用達の『プライド』に売り、億万長者になっていく。 他にもS級冒険者と出会い、自らもS級に上り詰める。 どんどん仲間も増え、自らはダンジョンには行かず錬金術で飯を食う。 自身の本当のジョブが召喚士だったので、召喚した相棒のテンとまったり、時には冒険し成長していく。

処理中です...