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第二章 めたもるふぉーぜ!
⑪一之丞の顔
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次郎太はグレーのテーラードジャケットに黒のアンクルパンツ、インナーはカジュアルな紺のボーダーカットソーを選んでいる。
更に替えのコーデにはデニムパンツ一本と、シンプルな黒のシャツだ。
そして、三左は鮮やかな花柄のワンピースや、デニム素材のシャツ。
更に白のオフショルダーのトップスとピンクのワイドパンツ、チェックのミニスカートを持っている。
2人は私に走り寄り、持っていた品物を押し付けた。
「これ、よろしくねっ!皆にいろいろ見立ててもらったんだよねー」
三左の後ろを見ると、ファンクラブのような集団がいて、ぽーっとしながら三左を見ていた。
「いやぁ、最近の流行りは前衛的だね?俺の想像とは違っていたよ」
次郎太は気だるそうに髪をかきあげ言った。
その彼の後ろにもマダムの集団がいて、きっと選んでもらったんだろうな、と私は少しほっとした。
悪いけど、次郎太のセンスは信用出来ない。
彼の中では33年前のものが最先端だからだ。
会計を済ませ、一之丞達は店内で買った服に着替えると車に乗り込んだ。
駐車場から出て行くまで、三左の即席ファンクラブ、次郎太のマダムクラブは名残惜しそうに手を振り続けていた。
「すごい人気ね?」
私はミラーを見ながら、三左と次郎太に言った。
「えへへ。やっぱり僕の可愛さって世界共通なんだね!」
「俺の魅力は隠してても滲み出てしまうからね。片腹痛いよ」
『片腹痛い』の使い方、間違ってるけどな!?
というのはスルーして続けて尋ねた。
「ねぇ……なんで、一之丞には皆寄ってこないの?モテそうなのに?」
すると、次郎太と三左が顔を見合わせた。
「サユリちゃん、それは怖いからだと思うよ?」
「怖い?一之丞が!?」
思わず横を見た。
一之丞は、皆の話をのほほんと聞いていて、自分に対する評価などどうでもいいという顔をしている。
「だってほら見てよ。兄さまって、日の本の顔してないもん」
「日の本の……顔?」
三左に言われてもう一度一之丞を見た。
ギリシャの海運王で、ダビデ像。
日本人離れしているファビュラスな顔面は確かに気軽に話し掛られるものではない。
まず日本語が通じそうにないし、かといって英語でも違うような気がする。
日本語と英語が通じない時点で、我ら日の本の人間は近寄っては行かないかもしれない。
「皆が皆、サユリちゃんみたいな趣味してないし」
趣味ってー!!
そりゃあ、イグナティオスはコテコテの外国人だよ!
でもいいじゃない、人の好みなんて!
「俺や三左も美しさは突き抜けてるけど、まだマイルドな方だからね」
「マ、マイルド……ね。それじゃあ、顔が日本人離れしているから、怖くて近寄りがたい……そういうことでオッケー?」
「オッケー!」
次郎太と三左は声を合わせて叫んだ。
軽くディスられているのに、当の一之丞はどこ吹く風だ。
慣れてきた車の中で、オーディオを弄ったりウィンドウを上げたり下げたりと忙しい。
本当に人型の自分には興味も何もないんだなぁと、複雑な気分になった。
わかってはいたけど、 もう少しイグナティオスの方も好きになって欲しい。
次郎太とまではいかなくても、人型の自分も好きになれるといいのに、と風に吹かれて銀髪を揺らす一之丞をチラ見する私なのである。
更に替えのコーデにはデニムパンツ一本と、シンプルな黒のシャツだ。
そして、三左は鮮やかな花柄のワンピースや、デニム素材のシャツ。
更に白のオフショルダーのトップスとピンクのワイドパンツ、チェックのミニスカートを持っている。
2人は私に走り寄り、持っていた品物を押し付けた。
「これ、よろしくねっ!皆にいろいろ見立ててもらったんだよねー」
三左の後ろを見ると、ファンクラブのような集団がいて、ぽーっとしながら三左を見ていた。
「いやぁ、最近の流行りは前衛的だね?俺の想像とは違っていたよ」
次郎太は気だるそうに髪をかきあげ言った。
その彼の後ろにもマダムの集団がいて、きっと選んでもらったんだろうな、と私は少しほっとした。
悪いけど、次郎太のセンスは信用出来ない。
彼の中では33年前のものが最先端だからだ。
会計を済ませ、一之丞達は店内で買った服に着替えると車に乗り込んだ。
駐車場から出て行くまで、三左の即席ファンクラブ、次郎太のマダムクラブは名残惜しそうに手を振り続けていた。
「すごい人気ね?」
私はミラーを見ながら、三左と次郎太に言った。
「えへへ。やっぱり僕の可愛さって世界共通なんだね!」
「俺の魅力は隠してても滲み出てしまうからね。片腹痛いよ」
『片腹痛い』の使い方、間違ってるけどな!?
というのはスルーして続けて尋ねた。
「ねぇ……なんで、一之丞には皆寄ってこないの?モテそうなのに?」
すると、次郎太と三左が顔を見合わせた。
「サユリちゃん、それは怖いからだと思うよ?」
「怖い?一之丞が!?」
思わず横を見た。
一之丞は、皆の話をのほほんと聞いていて、自分に対する評価などどうでもいいという顔をしている。
「だってほら見てよ。兄さまって、日の本の顔してないもん」
「日の本の……顔?」
三左に言われてもう一度一之丞を見た。
ギリシャの海運王で、ダビデ像。
日本人離れしているファビュラスな顔面は確かに気軽に話し掛られるものではない。
まず日本語が通じそうにないし、かといって英語でも違うような気がする。
日本語と英語が通じない時点で、我ら日の本の人間は近寄っては行かないかもしれない。
「皆が皆、サユリちゃんみたいな趣味してないし」
趣味ってー!!
そりゃあ、イグナティオスはコテコテの外国人だよ!
でもいいじゃない、人の好みなんて!
「俺や三左も美しさは突き抜けてるけど、まだマイルドな方だからね」
「マ、マイルド……ね。それじゃあ、顔が日本人離れしているから、怖くて近寄りがたい……そういうことでオッケー?」
「オッケー!」
次郎太と三左は声を合わせて叫んだ。
軽くディスられているのに、当の一之丞はどこ吹く風だ。
慣れてきた車の中で、オーディオを弄ったりウィンドウを上げたり下げたりと忙しい。
本当に人型の自分には興味も何もないんだなぁと、複雑な気分になった。
わかってはいたけど、 もう少しイグナティオスの方も好きになって欲しい。
次郎太とまではいかなくても、人型の自分も好きになれるといいのに、と風に吹かれて銀髪を揺らす一之丞をチラ見する私なのである。
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