助けた騎士団になつかれました。

藤 実花

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ムーンバレー地方

15.『ショクイク』とは?

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「と、とにかくですね!シルベーヌ様はもう少し太りましょう」

クレバードは早口で私に言った。

「太る?どうやって?」

「そうですね、私が思うに、肉類が圧倒的に足りてない。冥府では一体どんな食事内容でしたか?」

「……そうねぇ、豆とか、山菜とか野菜とか?」

「肉は?若しくは卵とか?」

「………肉は……食べないかな。卵って何?」

私のこの言葉は、クレバードや騎士団の皆に衝撃を与えたらしい。
信じられないという顔で、こちらを見、バカみたいに口を開いていた。

「シルベーヌ様……それはいけない。それでは体の調子がおかしくなります」

クレバードが真剣な目で言う。

「え………でも、あちらではみんなそうよ?」

「嘘だろ……それで良く生きてられるよな……」

今度はアッシュが溜め息をついた。

「恐らく、冥府には何らかの力が働いていて、活動力が地上よりもいらないように出来ているのではないか?」

私の横から、ディランが口を挟んだ。
この見解に皆納得したようで、口々に「なるほど」とか「そうかもな」とか言っている。
そう言えば、と私も思い出していた。
冥府からこちらへの扉を潜った時。
何か重い荷物を背負わされたような感覚に陥ったのだ。
冥府ではかかるはずのない力が、地上ではかかる……。
その力が、重い荷物の正体だったのではないのかしら?

「まぁ、そうであってもなくても、シルベーヌ様には、食育が必要です!!」

私の考えは、クレバードの決意に満ちた一言に消された。
ショクイク?という変な言葉に、私は首を傾げる。
初めて聞く言葉だわ。
必要、と言い切るくらいだから、今の私に足りないものかしらね?
と、改めてクレバードに尋ねた。

「ショクイクって何??」

「何を食べれば、どういった働きをするのか。どんな栄養があって、何に効果があるのか。そういうことの学習です」

「………食べ物に、働きが?お腹を満たすだけではなくて?」

「ああっ!!そこからですか!?そこからなんですね!!」

クレバードはまた頭を抱え、ロビーは溜め息をついた。
ディランとアッシュも苦笑いをしている。
何よ、失礼ね!
おかしなこといったかしら?
冥府では誰も気にしないわよ?
そんな気持ちは、私の顔にガッツリと出ていたらしく、クレバードは慌てて叫んだ。

「すいません!冥府の方をバカにしたわけではないんです!………ええと、わかりました。私に全てお任せ下さい!シルベーヌ様は料理を食べるだけで構いません」

「え?食べるだけでいいの?」

「はい!毎食、出された物を食べるだけ……簡単でしょう?」

な!なんと、クレバード!!
食べるだけで「ショクイク」とやら、勉強出来るの!?
でも、そんな簡単でいいのかしら?
……………いえ、いいに決まっているわ!
楽して、学習、そして、美味しい食事!
楽園はここにあったのね!!

「クレバード、よろしくお願いするわ!」

心からの笑みで、私はクレバードに微笑んだ。
突然また鍋をかき混ぜ始めるクレバードと、それを見て笑う騎士団の皆さん。
そんな私達の背後から、太陽は顔を出そうとしていた。










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