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*消えた少女
消えた少女#2
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深く帽子を被ってた
まるで顔を隠すように
それにこのバニラの香りは唯奈がいつもつけていた物と同じ香り
この香りも後ろ姿も背格好も歩き方もやっぱり似ている気がする
その子を追いかけるとどんどん人気の無い路地に入って行く
まるで人目を避けるかの様に
すぐに声を掛けて確かめたい気持ちはあったけど、こんな人混みの中で人違いをするのも恥ずかしいし、死んでしまった唯奈の名前を呼ぶのも何処か躊躇った
そして周りに誰も居ない事を確認して俺はその子に声を掛けた
蓮斗「唯奈!」
確信があった訳じゃないのに俺は唯奈と名前を呼んだ
普通に見ず知らずの人にすいませんって声を掛けるより、名前を出した方が何かが分かる気がしたから
俺が名前を呼ぶとその人はピタリと足を止めた
そして俺の方を振り向くことなくただ一言
「…人違いじゃないでしょうか?」
とそう呟いて再び歩き出した
人違い…?違う
普通人違いだとしても全く振り向かないなんてあり得るか?
それに声も唯奈にそっくりだし俺が間違えるわけない
俺の目の前に居るのは間違いなく唯奈だと確信した
蓮斗「待てよっ」
俺は強引に前に出て帽子を取った
「――…っ」
帽子を取った瞬間に見える表情
俺の目の前に居たのは間違いなく唯奈だった
蓮斗「ゆい…な…唯奈っ!!」
思わず声を上げた
死んだはずの唯奈が目の前に居るんだから
何で生きているのかなんて分からない
でもその瞬間は何もかもどうでもよかった
唯奈が生きてる事がただ嬉しかった
蓮斗「唯奈っ、本当に唯奈なんだな!
良かった、俺お前が死んだって思ってて…」
唯奈との再会に気持ちが緩んで、喋ろうとしたら唯奈に口を覆われて口止めされた
なんだ…?
今、一瞬唯奈の動きが早かったような…
唯奈は小さく息を溢して口を開いた
唯奈「…あまり大声でその名を口にしないで蓮斗」
"蓮斗"
やっぱり唯奈だ
俺の事もちゃんと覚えてる
少し気持ちが落ち着くと疑問だけが浮かぶ
なんで死んだはずの唯奈が生きているのか
死んだことが誤解だったのなら唯奈は今までどうして姿を消していた?
それに最初人違いだと言って去ろうとしていたのは何でだ
唯奈は静かに手を離した
唯奈「…なんで私の後をつけてきたの?」
この言い方…俺が後をつけていたのも気付いていたってことだよな…
それなのに唯奈は気付かないフリしてたってことか?
なんで…やっぱり考えても分からない
蓮斗「唯奈―…」
その時、近くで大きな落雷の音がして心臓が跳び跳ねた
蓮斗「うわ…っなんだ今の雷…」
その後、すぐにザーと雨が振りだした
蓮斗「うわ、降ってきた…
しょうがないな…どっか雨宿り出来る所に…唯奈?」
唯奈は静かに空を見上げてた
俺の声なんて聞こえてないような真剣な眼差しで空をじっと見上げていた
こんな唯奈見たことがない
蓮斗「唯奈…?どうしたんだよ」
唯奈「こっち、行こう
この嵐じゃ電車も動かないでしょ」
俺の問い掛けに答えることもなく、がしっと手を捕まれて唯奈に引っ張られた
まるでその場から逃げるように
蓮斗「唯奈っ…どこ行くんだよ」
唯奈「静かに。着いてきて」
やっぱり答えてくれない唯奈
激しく鳴りつづける雷と冷たく打ち付ける雨
俺はただ頭が混乱していた
そのまま黙って唯奈に手を引かれるままついていくと辿り着いた場所は街から少し離れた周りに民家も無いし人の気配も全くない所
そこにポツンとひとつだけ家があった
街から少し離れただけなのにまるで別世界のように孤立しているような不思議な空間に感じた
複雑に突き進んで来たからこんなところ普通じゃ辿り着けないだろうな…
そして家の前に着くと唯奈は俺から手を離して、玄関のドアを開けた
唯奈「ただいま」
唯奈が家の中に入ると、奥から綺麗な女の人が笑顔で出てきて出迎えた
だけど俺の存在に気付くなり、その人から笑顔が消えた
人見知りというよりは何処か警戒されているような感じがする
「お帰り…誰?」
見た感じ俺や唯奈より少し年上っぽく見えるけど…
唯奈の知り合いなのかな…
唯奈「ごめん、事情は後でちゃんと説明するから
お風呂沸いてる?
雨に打たれちゃってびしょ濡れになっちゃってさ」
「うん…ちゃんと説明してね」
なんか空気が張り詰めてる気がする…
唯奈「蓮斗先にお風呂入っておいでよ」
くるりと俺の方に顔を向けた唯奈は再会して、初めて笑みを見せた
蓮斗「でも唯奈も濡れてるのに…」
唯奈「私なら大丈夫
早くしないと風邪引いちゃう」
訳も分からず俺はとりあえず風呂へ
未だに頭が混乱している
死んだはずの唯奈が生きてる
確かにあいつは俺が知ってる唯奈だ
…だけどあんな唯奈は知らない
あれは本当に唯奈なんだろうか?
なんで生きてるのか?
生きていたなら今まで何をしてたのか
それにさっきの女の人は?
何か事情があるのか…?
まるで顔を隠すように
それにこのバニラの香りは唯奈がいつもつけていた物と同じ香り
この香りも後ろ姿も背格好も歩き方もやっぱり似ている気がする
その子を追いかけるとどんどん人気の無い路地に入って行く
まるで人目を避けるかの様に
すぐに声を掛けて確かめたい気持ちはあったけど、こんな人混みの中で人違いをするのも恥ずかしいし、死んでしまった唯奈の名前を呼ぶのも何処か躊躇った
そして周りに誰も居ない事を確認して俺はその子に声を掛けた
蓮斗「唯奈!」
確信があった訳じゃないのに俺は唯奈と名前を呼んだ
普通に見ず知らずの人にすいませんって声を掛けるより、名前を出した方が何かが分かる気がしたから
俺が名前を呼ぶとその人はピタリと足を止めた
そして俺の方を振り向くことなくただ一言
「…人違いじゃないでしょうか?」
とそう呟いて再び歩き出した
人違い…?違う
普通人違いだとしても全く振り向かないなんてあり得るか?
それに声も唯奈にそっくりだし俺が間違えるわけない
俺の目の前に居るのは間違いなく唯奈だと確信した
蓮斗「待てよっ」
俺は強引に前に出て帽子を取った
「――…っ」
帽子を取った瞬間に見える表情
俺の目の前に居たのは間違いなく唯奈だった
蓮斗「ゆい…な…唯奈っ!!」
思わず声を上げた
死んだはずの唯奈が目の前に居るんだから
何で生きているのかなんて分からない
でもその瞬間は何もかもどうでもよかった
唯奈が生きてる事がただ嬉しかった
蓮斗「唯奈っ、本当に唯奈なんだな!
良かった、俺お前が死んだって思ってて…」
唯奈との再会に気持ちが緩んで、喋ろうとしたら唯奈に口を覆われて口止めされた
なんだ…?
今、一瞬唯奈の動きが早かったような…
唯奈は小さく息を溢して口を開いた
唯奈「…あまり大声でその名を口にしないで蓮斗」
"蓮斗"
やっぱり唯奈だ
俺の事もちゃんと覚えてる
少し気持ちが落ち着くと疑問だけが浮かぶ
なんで死んだはずの唯奈が生きているのか
死んだことが誤解だったのなら唯奈は今までどうして姿を消していた?
それに最初人違いだと言って去ろうとしていたのは何でだ
唯奈は静かに手を離した
唯奈「…なんで私の後をつけてきたの?」
この言い方…俺が後をつけていたのも気付いていたってことだよな…
それなのに唯奈は気付かないフリしてたってことか?
なんで…やっぱり考えても分からない
蓮斗「唯奈―…」
その時、近くで大きな落雷の音がして心臓が跳び跳ねた
蓮斗「うわ…っなんだ今の雷…」
その後、すぐにザーと雨が振りだした
蓮斗「うわ、降ってきた…
しょうがないな…どっか雨宿り出来る所に…唯奈?」
唯奈は静かに空を見上げてた
俺の声なんて聞こえてないような真剣な眼差しで空をじっと見上げていた
こんな唯奈見たことがない
蓮斗「唯奈…?どうしたんだよ」
唯奈「こっち、行こう
この嵐じゃ電車も動かないでしょ」
俺の問い掛けに答えることもなく、がしっと手を捕まれて唯奈に引っ張られた
まるでその場から逃げるように
蓮斗「唯奈っ…どこ行くんだよ」
唯奈「静かに。着いてきて」
やっぱり答えてくれない唯奈
激しく鳴りつづける雷と冷たく打ち付ける雨
俺はただ頭が混乱していた
そのまま黙って唯奈に手を引かれるままついていくと辿り着いた場所は街から少し離れた周りに民家も無いし人の気配も全くない所
そこにポツンとひとつだけ家があった
街から少し離れただけなのにまるで別世界のように孤立しているような不思議な空間に感じた
複雑に突き進んで来たからこんなところ普通じゃ辿り着けないだろうな…
そして家の前に着くと唯奈は俺から手を離して、玄関のドアを開けた
唯奈「ただいま」
唯奈が家の中に入ると、奥から綺麗な女の人が笑顔で出てきて出迎えた
だけど俺の存在に気付くなり、その人から笑顔が消えた
人見知りというよりは何処か警戒されているような感じがする
「お帰り…誰?」
見た感じ俺や唯奈より少し年上っぽく見えるけど…
唯奈の知り合いなのかな…
唯奈「ごめん、事情は後でちゃんと説明するから
お風呂沸いてる?
雨に打たれちゃってびしょ濡れになっちゃってさ」
「うん…ちゃんと説明してね」
なんか空気が張り詰めてる気がする…
唯奈「蓮斗先にお風呂入っておいでよ」
くるりと俺の方に顔を向けた唯奈は再会して、初めて笑みを見せた
蓮斗「でも唯奈も濡れてるのに…」
唯奈「私なら大丈夫
早くしないと風邪引いちゃう」
訳も分からず俺はとりあえず風呂へ
未だに頭が混乱している
死んだはずの唯奈が生きてる
確かにあいつは俺が知ってる唯奈だ
…だけどあんな唯奈は知らない
あれは本当に唯奈なんだろうか?
なんで生きてるのか?
生きていたなら今まで何をしてたのか
それにさっきの女の人は?
何か事情があるのか…?
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