約束の果てに

秋月

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*君の存在

君の存在#10

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突然現れたなおの存在に私はとても驚いた

蓮「なお!?」

直人「あれ、蓮も居たのか
話し声がするから誰か居るんだろうと思ったけど、琉、お前と当然居なくなったと思ったらお前こんな所に居たのかよ
…って何だこれっ」

どうやらなおは琉の事を探しに来たみたいだった
そして倒れてる彼女達を見るなりなおはとても驚いていた
そりゃ、驚くよね…
えっと…なおになんて説明すれば…なんて考えていたら琉がサクッと事情を話した

琉「悪霊の仕業だよ」

直人「まじかよ…今回は随分派手だな
でも除霊したんだろ」

あれ?この会話からしてもしかしてなおも琉の事知ってるみたい?
てっきり学校の人達は知らないのかと思った
そうゆう雰囲気も無ければ話してるような事もなかったし…
むしろ秘密にしてるみたいに感じてたから…

蓮「なおは琉の事知ってたの…?」

直人「あー、俺はな
他の連中は知らないけど
それより蓮は大丈夫だったのか?」

蓮「う…うん」

直人「ま、琉が居たなら無事に決まってるか
よし…ならこいつ等、起こすか」

琉「いや、丁度いい所に来た
直人は蓮を連れて先に戻ってろ
そいつ1人だと不安だから」

蓮「1人でも戻れるもん…」

小さな子ども扱いされてるみたいなんだけど…

直人「すっかり保護者って感じだな
ま、琉がそう言うなら了解
ついでに先生呼んできてやるよ」

琉「頼む」

蓮「…あの琉、何か手伝えることない?」

いつも助けられっぱなしで迷惑ばかりかけて何か役に立ちたい…

琉「お前に出来ることなんて何もない
それにお前が居るとこいつ等起きた時にまたややこしくなるだろ」

その言葉にどこかで胸がチクリとした気がした

蓮「…分かった」

直人「ほら、蓮戻るぞ」

蓮「うん」

私はなおと一緒に先に皆の所へ戻った
さっき凄く突き放された様で、なんだか泣きそうになってしまった
確かに私に出来ることはないかもしれないし、邪魔なだけかもしれないけど…
あんな言い方しなくてもいいのに…

直人「蓮、琉の言った事ならあんまり気にすんなよ
琉はああゆう奴だから
言い方は冷たいけど根は良い奴だからさ」

私が黙り混んでるのを見てなおが励ましてくれた

蓮「うん…」

分かってる
琉が優しい事くらい
でも…あの突き放したような言い方はまるで距離を置かれた様な気がして…
悲しいとか寂しいとか怒ってるとかそんな言葉じゃしっくり来ない…
兎に角なんだかモヤモヤするこの感じ…

私…いつも迷惑かけたり助けて貰う事ばかりだけど、それなりに仲良くなれたと思ってた
だからこそさっきの言葉がなんだか重くのし掛かる
もしかしたら琉にとって私は重荷なだけなんじゃ…

ぐるぐると悪いことを考えてるとなおが不意に頭を撫でてくれた

直人「あんまり溜め込むなよ
俺も居るんだから、な?」

蓮「うん…ありがとうなお」

私が落ち込んでるといつも1番に気付いて慰めてくれてる気がする
だからなのかなおの言葉や行動はどこかホッとする
なおにはいつも弱いところばかり見られて恥ずかしいな…
もっとしっかりしないと…

直人「蓮、俺はいつでも蓮の味方だから
しんどい事あったら我慢せず頼れよ?」

蓮「うん、ありがとう
なおも相談とか悩みあったら言ってよ?
私じゃ役に立たないかもしれないけど…」

直人「そんなに卑下すんなよ
これでも蓮の事は頼りにしてんだからさ」

蓮「そうなの?」

直人「そうなの」

知らなかったな…
私の事頼りにしていてくれたなんて…
頼りにしてるってなんだか少し嬉しいな

桜「――…」

桜はそんな私達の会話をただ静かに眺めて聞いていた
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