約束の果てに

秋月

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*秋の彼岸祭り

秋の彼岸祭り#24

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蓮と一緒に寝るのはあの旅行以来初めてだ
しかもあの時と違って俺の家、俺の部屋、他の連中も同じ屋根の下に居るこの状況
そんな状況で手を出す程馬鹿じゃないし、出すつもりもない
けど、多少なり気を張ってるんだよ、こっちは
それなのにその覚悟を覆すような蓮の言動…
はぁ…なんでこんなにこいつは無防備なのか…
目を合わせてキスしたいと言ったかと思えば、やっぱり恥ずかしくなったのか、気恥ずかしそうに伏せ目がちになる蓮

琉「……悪いけど、今はしないから」

そう伝えると、俺の返事が意外だったのかパッと目を合わせて、少し驚いているようにも見える

蓮「え…な、なんで…?」

その一言はどこか不安が混じっているような一言だった

琉「なんでも何もないし
状況考えろよ」

蓮「状況って…私はただ琉と一緒に居たくて…」

琉「あのさ、俺も男って分かってるよな?」

蓮「え?うん、それはもちろん…」

この様子だとちゃんと分かってなさそうだけど

琉「はぁ…この状況でお前に手を出して、キスだけで終われるか分からないから
だから今は勘弁して」

はぁ…なんでわざわざこんな恥ずかしい事を言わないといけないんだよ…
さすがにここまで言えば蓮でも分かるだろ

蓮「…あのさ、琉…」

琉「何」

蓮「…琉がそのつもりなら…私は…その…全然良いよ…」

気恥ずかしそうに視線を外しながら、しどろもどろにそんな事を言い出した
こいつの言動には出逢った頃から振り回されっぱなしだ
というよりこの様子だともしかしたら…

琉「お前…もしかして初めからそのつもりだった?」

蓮「えっ…えと…別にそうゆうつもりじゃ…」

口ではそう言ってるけど、少なからず動揺してる様子からして多少なりそのつもりはあったってことか

琉「蓮」

蓮「な、何…?」

琉「まだ祭事も完璧に終わったわけでもなければ、明日もお互い朝早くから務めがあるんだから、そうゆうのは今日は遠慮して
お前の体に負担もかかることだし」

蓮「う…は、はい…ごめん琉…」

琉「はぁ…いいよ、別に
それにたまにはこうゆうのも悪くないだろ」

蓮の頭を撫でてやるとふっと笑みを溢す

蓮「確かにそうかも
ねぇ琉、抱き着くのはありですか?」

琉「…好きにすれば」

蓮「ありがとう」

嬉しそうに距離を詰めて抱き着いてくる蓮
やっぱり分かってなさそうだけど、けど不思議と俺も安心するな

琉「それじゃ寝るか」

蓮「うん、お休み琉」

最近色々と面倒事ばかりで憂鬱だったけど、それを忘れるくらい落ち着いた気分で眠りにつけた
そして翌朝、目が覚めるとまだスヤスヤと眠る蓮
そんな蓮の寝顔を見ていると思わず少し笑みが溢れた
しばらくそんな蓮を眺めていたい気分だったけど、そうもいかないな

琉「蓮、起きろ」

蓮「…んー…もう朝ぁ…?」

寝惚けた様子で小さく欠伸を漏らす
相変わらず朝が苦手みたいだな
でもまぁ、あの時ほどではないな

琉「着替えて朝の務め終わらせないと、遅刻する」

蓮「うん…起きたよ~…」

少しは早起きの習慣がついたのか、眠そうだけど起き上がって意識も結構ハッキリしてるみたいだ

蓮「じゃぁ、私も部屋で着替えてくるね~…」

それでもどこか寝惚けてそうだけど
転んだりどこかにぶつかったりしないといいけど
蓮が部屋を出ようとしたその時、不意に蓮が振り返る

蓮「あ、琉、おはよう」

琉「…おはよ」

そう笑みを見せて部屋から出ていった蓮
本当に…あいつは反則だな…

-蓮side-

うぅ…昨日は森さんの事があってモヤモヤしていたとはいえ…物凄く大胆な事をしてしまった気がする
思い返しただけで恥ずかしい…
森さん、第一印象はとてもいい子みたいに見えたのに…あんな場面まで見せつけられると少し…
はぁ…琉の話を聞いていても森さんの好意は今に始まったことじゃないし、諦めも悪いみたいだし…
またあんな所は見たくないなぁ…
残り数日、森さんとはあんまり関わらない様に気を付けよ…そう思って居たのに…

美緒「あ、蓮ちゃーんナイスタイミング~♪
手が空いてたらこれ運ぶのちょっと手伝ってくれない?」

蓮「森さん…」

美緒「倉庫に運ばなきゃいけないんだけど、一気に持つのは重すぎるし、2往復するのは大変だから蓮ちゃんが手伝ってくれると嬉しいな♪」

昨日あんな事があったのに、森さんはいつもと変わらない様子で話し掛けてくる
というより何事もなかったみたいに…
正直あんなの目の当たりにして森さんとどう接すれば良いか分からないのに…

美緒「蓮ちゃん優しいから手伝ってくれるよね?」

蓮「分かりました、それじゃぁさっさと運んで片付けちゃいましょ」

美緒「やった♪ありがとう蓮ちゃん」

そのまま森さんと一緒に荷物を持って倉庫へ向かった
森さんは嬉々として話しかけてきたけど、私はどうしても今までのように素直に返事が返せなかった

美緒「よいしょっと、これでOK~
蓮ちゃんありがとね~」

蓮「これくらいいいよ
終わったなら早く戻ろ」

なんとなく森さんとこれ以上一緒に居たくない…
だけど戻ろうとした私を森さんは呼び止めた

美緒「待って蓮ちゃん
せっかく2人きりになったんだし、少しお話しよーよ♪」

蓮「…私は森さんと話す事なんて何もないけど…」

というよりなんか森さんのニコニコした表情を見てると胸がざわつく…

美緒「琉の事でも聞く気はないの?」

まるで私を試すような言葉と視線を感じた
琉の名前が出た時点で私が無視できないのを分かってるみたい
森さんの事なんて無視すればいいし、気にしなければいい
だけどー…

蓮「琉が何?」

私は思わずそう聞き返してしまった

美緒「ふふっ、昨日はごめんね?
あんな所見せつけちゃって♪
思わず気持ちが高ぶっちゃってさ~
まさか蓮ちゃんもドアを開けるとは思わなかったけど♪」

あ…この感じ…嫌味にしか聞こえない
森さんは私にわざと言ってるんだ
胸がざわざわと騒がしい

蓮「そんな事を言う為にわざわざ私を引き留めたんですか?」

美緒「あれ~?蓮ちゃんって意外と気が強いんだ?」

蓮「本題に入らないなら私は先に戻ります」

美緒「まぁまぁ、そんな睨まないでよ
蓮ちゃんには色々と聞きたいことがあるんだから」
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