君が嫌いで…好きでした。

秋月

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君が嫌いで…好きでした。

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喧嘩してた俺達は千菜のお陰で和解することが出来、千菜と湊ももっと仲良くなって何処か安心して嬉しかった
だけどある重要な問題に気づいてしまった
そういえば俺、昨日千菜にフラれてるんだった
でも千菜は俺達を仲直りさせる為…いやでももしかしたら本当に…?

湊「何?かなは何を考え込んでんだよ」

千菜「奏叶」

奏叶「はい!」

千菜に名前を呼ばれて思わず背筋が伸びた
ちょっとした沈黙にもドキドキ、ハラハラして悪い方に考えがいってしまう

千菜「…私、最初奏叶の事がうっと惜しくて嫌いだった」

千菜の嫌いという言葉がストレートに心に刺さった
でも千菜は意外にも容赦なかった

千菜「関わらないでって言ってもついてくるし、懲りずに話しかけてくるし、頼んでもないのに勝手に飲み物置いていったり、コート置いていったり、お陰で周りから騒がれて女の子に絡まれるようになって毎日騒がしくて本当嫌いだった」

グサグサと千菜の言葉が突き刺さる
振り向いてほしいと一生懸命やってたけど千菜の気持ちを考えてなかったかな…

湊「おい…千菜ちょっと言い過ぎだろ…」

千菜「それでも奏叶がくれる1つ1つの言葉や行動が何処か嬉しくて…だんだん…奏叶の事好きになっていった」

奏叶「千菜…」

千菜「奏叶が色んな事を気付かせて教えてくれた
奏叶のお陰で湊と友達になることも出来たし前を向けるようになった
昨日は…別れようって言ったけど、本当は…」

奏叶「本当は…?」

千菜「私…奏叶が好き。別れようって自分で言ってて勝手なんだけど…奏叶さえ良ければまた…私と付き合ってほしい…です」

徐々に声が小さくなっていく千菜
だけど俺にはちゃんと聞こえた
それに初めて千菜が俺の事を好きって伝えてくれた
こんなに嬉しい事ってきっとない

千菜「奏叶…?やっぱり駄目かな…」

俺は気づいたら千菜を抱き締めていた

千菜「奏叶…?」

奏叶「駄目なわけないじゃん。お帰り千菜」

千菜が堪らなく愛おしくて好きすぎて…
もう絶対に手放さない
千菜の事絶対大事にすると俺は心に決めた

湊「良かったなかな。でも千菜を泣かしたら今度こそ俺が貰うからな」

奏叶「そんな事絶対させない」

湊「…やっぱりかなには敵わねぇな。俺も彼女でもつくっかな」

千菜「湊ならきっと良い彼女が出来るよ
だって私の自慢の友達だから…」

湊「サンキュー…」

奏叶「さてとこれで一件落着?千菜も迷惑かけてごめんな」

千菜「ううん。お互い様だから…」

湊「でどうすんの?学校戻んの?」

奏叶「今日はもういいんじゃない?
だってこんなに天気良いのになんか勿体ないじゃん?」

湊「なんだそれ。じゃぁ青春ぽく海でも行くか」

奏叶「海!?寒いだろ!」

なのに隣に居る千菜は少し目を輝かせて

千菜「…海行きたい」

奏叶「え!?千菜本気!?」

湊「よーしじゃ決定!」

その後、俺達は近くの海に3人で行ったものの結局凄く寒かったのですぐに帰ってきた
でも俺達にとっては大切な思い出の1つになった

ー…奏叶と湊の喧嘩の件が解決してしばらく全校生徒が体育館に集まる集会があった
今日は終業式
体育館で校長先生の長い話を聞いていると、気の短い湊はちょっと怒り気味だったり奏叶はそんな湊をなだめていた
でも今日で2年生が終わる
私の日常は静かにゆっくり進んでいる
奏叶も湊も私と関わるようになってだいぶ経つけど、骨折以外大きな怪我はないし何も起こっていない
もう大丈夫かもしれないと思う反面もしかしたら奏叶も湊もそうなってしまうのではないかと何処かでその不安だけはずっと消えないでいた
集会が終わり教室に戻ると皆、春休みに心弾ませているようだった
友達と何処に行こうか話してたりとても賑やか
そうゆう私の春休みの予定は特にない
家でチョコと一緒に過ごす事が多いと思う
1つだけ予定があるとすれば…

奏叶「千菜?千菜ってば」

奏叶に呼ばれていることに気づいてハッとする

奏叶「ボーッとしてたけど…そんなに本に没頭してたの?」

なんて奏叶は笑って言った
いつの間にか先生の話は終わっていてもう皆は帰り始めていた

千菜「ごめん…考え事してた…」

奏叶「そっか。湊が戻ってきたら帰ろう」

奏叶はあんまり深く聞くことはない
きっと何かを察してくれてるのかもしれない

千菜「湊どこ行ったの?」

奏叶「あいつなら女子に呼び出されてるよ。
明日から春休みだしあいつ結構モテるからね。今日ずっとだよ」

確かに湊格好いいしよく女子に騒がれてるよね…
でも奏叶もよく女子に騒がれてる…
もしかして奏叶も告白とかされてるのかな…
私がじっと奏叶を見ていると奏叶はそれに気づいた

奏叶「なに?」

千菜「別に…」

多分これってやきもちだと思う
やきもち妬いてるって思われたくなかったから適当にはぐらかしたけど…

奏叶「…心配しなくても俺は千菜だけだよ」

ニコッと笑った奏叶
どうやら私の気持ちは見透かされていたみたいだ…

奏叶「それにこの間の千菜が好きって初めて言ってくれたの凄く嬉しかったよ」

あの時初めてちゃんと奏叶に自分の気持ちを伝えたかもしれない
でもだからってこうやって改めて言われると…

千菜「馬鹿じゃないの…」

奏叶のそうゆう真っ直ぐな所に凄く振り回されている気がする…

ガラッ

奏叶「お、戻ってきた。お帰り」

湊「あれ、まだ居たのかよ。先に帰ったかと思ったわ」

奏叶「なんだよ。待っててやったんだから喜べよ」

湊「いや意味分からねぇ…ささっと帰ろうぜ」

鞄を持って歩き出す湊の後ろを私達は追いかけた
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