双子の動物物語

秋月

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*囚われの双子

囚われの双子#1

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私達と慎一が接触する一方で、人間達は私達の知らない所で密かに計画を進めていた
未来なんて誰にも分からなかった
山神様である父さんと母さんにも未来は予期できない
それでも私は父さんと母さんの回復を祈り、山を守り続けるんだと心に決めていた
だけど慎一と出会った事で…私のせいで皆を危険にさらすなんて思ってもなかった

紅「父さん、母さん食べ物持ってきたよ」

今日も慎一が食料を持ってきた
慎一が持ってきた食料はどれも栄養価が高く私達にはご馳走に等しかった

青「調子はどう」

山神「だいぶ良い…まさか人間に助けられるとは」

食料のおかげか父さんと母さんの調子もだいぶ良いみたいでホッとした
人間は嫌いだけど父さんと母さんがここまで回復したのは慎一のお陰でもある
私もいつの間にか人間でも慎一には心を開くようになっていた
だけど数週間後、悲劇は突然起こった

慎一のお陰か何なのか良く分からないけど、最近人間の出入りが減ってきた気がする
山神様も回復傾向だし最近良いことばかり
すると梺から風に流れて慎一の匂いがした
昨日も来たのにまた来たのか?
その時の私は1人で山を見回っている途中だった
青とクロとハクは父さんと母さんの所で休んでいた
だけどある異変に気づいた
この匂い…慎一の匂いもするが複数の人間の匂いもする…!
そしてもう1つ私は気づいた
この匂いは慎一の血の匂い!
どうゆうこと?
怪我でもしたのかな…
どうする?1度ハク達と合流するか…
いや、他にも人間の匂いがするし様子だけ見に行ってみよう
そう思った私は匂いの方へ1人でゆっくり進んでいった
そして匂いのする梺までやって来た
匂いがするけど姿が見えない…隠れている?
ゆっくり慎重に進んでいくとふと足元からカチッという音が聞こえた
そして一瞬で私は網の中に居た
しまった!罠だった!
私が罠にかかると同時に隠れていた人間達が姿を現した

「捕まえたぞ!山神姫だ!」

「まさかこんな簡単な罠にかかるとはな
やはり頭は動物か」

1人の人間の手には見覚えのある慎一の血のにじんだ服があった
あの服は最初に慎一が着ていた…
私がガクで怪我を負わせた時の…!
慎一の匂いはこれだったわけか!
私は懸命にもがき網の中から出ようとした
罠にかかった反動でガクから手を離してしまった
ガクがあればこんな網すぐに出られるのに…
もがけばもがくほど網は私に絡まっていった

「はははっ、無駄無駄。そこからは出られねぇよ」

なめやがって!
私が網を食い契り始めると人間は慌てだした

「網を食い契る気だ!」

「早く麻酔を撃て!」

ドスっ…

この眠くなるような感覚…!
慎一が最初に私に撃ち込んだあれと同じ感覚だ!
人間達に麻酔を撃たれた私は徐々に意識が遠退いていった
ちくしょう…早く…皆に知らせな…きゃ…

「よし、山神姫の1人を捕らえた」

「これで計画通りですね」

「本当に人間の女の子なんですね」

「んな呑気な事言ってられねぇぞ
狼が居なくて幸運だったな
早く次の準備するぞ
人質は1人いれば充分
もたもたしてたらもう1人の山神姫や狼が来ちまうだろ」

―その数時間後には山も山の梺も騒がしくなった

クロ「モタモタすんじゃねぇ!
さっさと洞窟の中に入れ!」

青「何なのこれ…どんどん人間が集まってくる
今まで見たことない数…それに武器も沢山持ってきてる!」

クロ「人間共め…力付くでこの山を奪いに来たか!」

その時、山を駆け回っていたハクが戻ってきた

青「ハクが戻ってきた!ハク紅は!?」

ハク「何処にもいねぇぞ!
あのバカこんな時に一体何処に行った!」

クロ「今は紅の事は後回しだ!
あいつの事だ。そうそうやられたりしない!」

紅…こんな時に何処に行ったの!?
これだけの人間と武器の数…
父さんと母さんの回復がまだ完全ではない今、圧倒的に不利な戦況…!
紅が今行方不明の中、今は私がしっかりして山を守らなきゃ!
私は面を付けガクを握った
山の梺から黙々と舞う煙が風に流れて山に流れてきた

青「酷い匂い…!」

クロ「これじゃぁ鼻が効かねぇ」

ハク「我等を誘き出すためだろう。卑怯な手を…」

青「どうする?この人間の数相手に…」

その時クロが慌てた様子で言った

クロ「おい!あそこに居んの紅じゃねぇか!?」

青「どこ!?」

クロ「あの中央だ!」

クロの言う通り
人間達が集まる中で中央に紅の姿があった
だけど…

青「嘘でしょ!?張り付けにされてる!」

張り付けにされた紅の周りは木とワラで作ったであろう2、3メートルくらいの柵で囲ってあった
紅がまさか人間達に捕まっていたなんて…!
その時、人間の声が聞こえた

「あ―…この山に住む動物そして山神姫に告ぐ
仲間を助けたければ今すぐ山から出てこい」

そう人間が言うと次の瞬間には、紅の周りの柵に火がつけられた

青「紅!」

「もう一度言う
仲間を助けたければ今すぐ山から出てこい
早くしないと仲間が焼け死ぬぞ」

青「卑怯な!」

山神「待て青」

洞窟の中から父さんと母さんの声が聞こえた

山神「これは人間の罠だ
今、出ていけば殺される」

確かに罠なのは一目瞭然
出ていったところで紅を解放なんてしないし、私達を捕らえる事が目的だろう

クロ「だからってこのまま黙ってられっかよ!」

ハク「早く助けに行かなければ紅が死ぬ!
紅は気を失っている上、縛られている!」

あの炎の柵、徐々に紅に近付くように張り巡らされている
あれだけ燃え上がった炎を消す術などもう無い
人間達は初めから紅を焼き殺し、私達を炙り出す為だけの道具として…!
反吐が出る!

青「紅は絶対助ける!そして山も守ってみせる!
父さんと母さんは皆をお願い!
クロ!ハク!行くよ!」

私達は山をかけ降りた
罠なのは充分分かってる
でもこのまま人間の好きにはさせない!
紅、必ず助ける!
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