双子の動物物語

秋月

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*囚われの双子

囚われの双子#2

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紅「ん…」

何…?
ざわざわと騒がしい…
それに微かに鼻につくこの匂いとそして人間の匂い…
何よりも熱い…
目を覚ますと信じられない光景が目に写った
目の前…いや私を囲むように燃え上がる赤い炎!
そして手足を拘束されていることに気づいた

紅「何これっ…動けない!熱い…!」

私は人間に捕まったの!?
何がどうなってる!
煙が立ち込めて息苦しい
かろうじて炎の隙間から人間の姿が見えたが、その数に驚いた
なんでこんなに人間が集まってるの!?
それにこの炎の煙の匂いとは別の匂いはあの煙か…
山に向かって煙を仰いでいる
ここからだと微かにしか香らないけど、それでも鼻につくようなこの匂い…
私達の嗅覚を鈍らせるものだ

「何をしている
仲間を助けたければ早く出てこい」

人間の声が聞こえた
まさか…私を人質にとって皆を誘き出すつもり!?
山を力付くで奪いに来たってことだ
青達もこいつ等に気づいているはず
私がここで捕まっている限り私達に勝機はない
早く拘束を解いて皆の所に戻らないと…!
このままじゃ山も皆も…全てが終わってしまう!

その時、山から甲高い鳴き声が響き渡った

「狼の鳴き声だ!気を引き締めろ!」

これはクロとハクの声!
私を助けに来るつもりだ!

紅「ダメ!今出てきては皆殺される!」

だけど私の願いも虚しく青達は山を降り人間の前に姿を現した

「狼ともう1人山神姫だ!」

「撃てー!」

炎で状況がよく見えない中、聞こえてくるのは沢山の銃声と人間の声
見えない事がより一層不安を掻き立てた
私が捕まったりしたから…
私のせいで皆が殺されてしまう…!
早くここから出なきゃ!
必死に手足を動かし拘束を解こうとした
手足から血がにじもうと私は諦めなかった

――…山を降りて人間の前に姿を現すと、山の上で見た時より紅を囲む炎がより一層大きくなっていた
そして一斉に銃口が向けられ銃声が響きわたった
何が助けるだ。何が対話だ
やはり最初から助ける来なんて毛頭なかったんだ
嘘つき共め!
それでも私達は山神の子
お前達の思惑通りにやられると思うなよ!

青「ハクは紅の救助を最優先にして!
人間は私達でやる!」

ハク「分かった!」

私達はふた手に別れて戦った
ハクは立ち塞がる人間の攻撃を避けながら首に噛みつき致命傷を与えながら前に進んでいった
慎一の様な銃の腕前でなければ素早く動く私達には当たりっこない
私もガクを使って1人1人確実に仕留めた
だけどその時、突然慎一が姿を現した

ー…さっき職場に行ったら先輩からあることを聞かされ驚いた

「今、皆で山神姫狩りに行ってるんだ」

慎一「山神姫狩り!?それどうゆうことですか!」

「そうだよ
山神姫の1人を捕らえて人質にすんだと」

慎一「なんでそんなこと…!
俺は何も聞いてないですよ!」

「当たり前だろ
お前、山神姫と仲良いそうじゃないか
尾嶋おじまさんが言ってたぞ」

慎一「尾嶋さんが!?
先輩はなんでそれを俺に教えてくれたんですか!」

「ん?お前がどうするのか興味あってさ
俺は興味もないし」

何千年も山を守ってきた紅達がそう簡単にやられるわけないけど…

"たとえ山神様が死んでしまっても私達は命が尽き果てるまで山を守り続ける"

嫌な予感がする…っ

慎一「先輩!教えてくれてありがとうございました!

俺は職場を飛び出してあの山に向かった

「真っ直ぐな奴だなあいつ」

紅…無事でいてくれよ!
そして俺が山に着いた時にはそこはまるで戦場だった
集まった大勢の猟師達、動物達や紅達を捕らえるにしては厳重過ぎる備えられた武器
そいつ等と戦っているのは青とあの2匹の狼だった

慎一「なんだよこれ…紅は!?」

辺りを見ると炎で囲まれて張り付けにされている紅を見つけた
嘘だろこんなの…皆殺しにするつもりなのか!?
早く止めねぇと!

慎一「尾嶋さん!」

尾嶋「矢神?お前なんでここにいる!」

慎一「んなことよりこんな事もう止めてください!」

紅「慎一の声…ここに来てるの!?」

慎一「この山にはこれ以上関わらないでくださいって言ったでしょ!
ここに住み着いている動物達だって居るんですよ!
なのに何故こんな事を!」

尾嶋「何を馬鹿な事を言ってる
住み着いた動物の事なんか知るか!
もうこの山は俺達人間の物だ!
動物など皆殺しだ!
丁度良い。お前も来たなら手伝え
お前の腕ならあいつ等を1発で殺れるだろ」

慎一「その為に来た訳じゃない!
すぐに手を引いてください!」

紅「慎一…」

尾嶋「うるさい!
お前もあいつ等の味方するならここで死んでもらうぞ!」

――炎の隙間から慎一と慎一に銃口を向ける人間の姿が目に写った

ハク「あの野郎!」

青「クロ急いで慎一の所に!」

クロ「分かってらぁ」

別に慎一の事なんて皆に比べたら大した存在じゃない
それでも、目の前で見捨てるほど薄っぺらい存在じゃない

尾嶋「俺に楯突いたことあの世で後悔するんだな。矢神」

ハク「間に合わない!」

紅「慎一…!」

次の瞬間、空が暗雲に瞬時に包まれ、激しい稲光と共にいかづちが落ちた

尾嶋「な!?銃が…!」

慎一「雷…!?」

突然光り人間の銃に直撃した雷
一瞬で暗雲に覆われた空はゴロゴロと雷が鳴り響く
そこに居た人間は空を見上げて突然の天候に驚いていた

尾嶋「なんだ!なんで急に天気が…!」

そして山から聞こえてくる大きな遠吠え
空から雨が降りしきり人間の持っている武器を目掛けて雷が落ちていく

紅「この声…まさか…!」

ハク「ようやくか」

クロ「たく…待ちくたびれたぜ」

「尾嶋さん!雨で火薬が!」

尾嶋「くそ…上手くいっていたのに…!
早く火薬を守れ!
あと少しでこの山が手に入るんだぞ!
膨大な報酬が手に入るんだぞ!」

「うわぁぁ!尾嶋さん!」

尾嶋「今度はなんだ!」

山からゆっくり姿を現したのは昔のように神々しい姿を取り戻した私の父さんと母さん…

慎一「嘘だろ…」

「山から…巨大な狼が出てきた!」
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