1度っきりの人生〜終わらない過去〜

黄隼

文字の大きさ
2 / 13

第弐話

しおりを挟む
朝早くに起きて、朝食を済ませ、急いで家を出る。海の家までは電車で行く。電車だと30分程乗ることになる。

-海の家-
「海だー!」
当たり前の事を海を見た瞬間に言ってしまった。
「お前、久しぶりにあったが、やっぱり、アホだな。」
「はぁ~💢!相変わらず、人をアホ扱いするんですね。」
「だって、お前、アホじゃん。」
アホ扱いしてくる人は三年程前からここで一緒にお手伝いというか、バイトをしている人…なんだけど、最初はイケメンでかっこよかった。だけど、去年から生意気になってしまった。でも、頼りになる時はなるんだよな~。そいつの名前は雪谷 李逵都(ゆきや りきと)藍は李逵都よりも先に海の家で働き始めた。だが、毎年『アホ』『バカ』扱いを受けてる。まったく、もう!💢
「こんにちは~」
海の家の中に入ると前と同じ古びた家に、ちょっとした野菜とか肉や魚などの食材が机の上一面に置いてあった。
「おー!久しぶり。」
「お久しぶりです。何か、野菜がいっぱいですね。」
「あぁ!早めに仕込みしとこ~と思ってな。」
「そうなんですか。やっぱり、変わってないですね。ここ。」
「相変わらず、古いだろ!」
藍は苦笑いをした。
「あっ!そうだ!明日までいつもの寝泊まりする場所で休んでてもいいし、ここら辺をぶらぶらして来てもいいしさ。もしだったら、冷たいかもしれないけど、海に入ってきてもいいよ。」
「マジですか!」
「うん!マジ。でも、ちょっと話があるから、リッキ~(李逵都)が来るまで待っててね。」
「わかりました。」
海の家の主人(店主)の須和 有吏(すわ ゆうり)優しいけど、怒るとけっこー怖い。
藍は座敷のところに一端、座った。
ちょっと、時間が経つと、李逵都が戻ってきた。
「全員、揃ったね。」
「須和!」
李逵都が叫び、話を続けた。
「話はなんだよ!」
「有吏さん。話はなんですか?」
「有吏って、言うなって毎年言ってるだろ!」
「あっ!忘れてました。じゃあ、須和さん。」
「えっとね、明日から新入りでバイト、頼んだから。」
「新入り!」
藍と李逵都は驚きが隠せなかった。
「どうしてですか?一応、毎年なんとかやりきってるじゃないですか!?」
「なんとかだろ!?だから、今回は仮ということで頼んだ。まぁ、男子だからリッキーに面倒みたり仕事を教えたりすること、頼むからよろしくね。」
「えっ!何でですか!藍に頼めばいいじゃないっすか。俺だってちょっとぐらい、仕事、真面目にしたいんすよ。」
その言葉に藍が反応をした。
「嘘ばっかり!どうせ、休憩中に海とかでサーフィンしたいだけでしょ。それか、面倒くさいだけか。どっちかでしょ。」
「ちげーし。」
二人が喧嘩しそうになったのを、有吏がなだめだ。
「まぁまぁ。そっか…。じゃあ、藍ちゃんお願いできる?藍ちゃんの方が長く海の家で仕事してるしさ…。この通り。」
「え~!男子だし…。」
「じゃあ、できるだけ、休憩とか早めにあがってもらうようにするから。」
「ホントですか!?」
「うん!……検討する。」
「やったー!」
李逵都は藍をかわいいと思った反面、あきれていた。たが、李逵都はそれを顔に出さない様に頑張っていた。
「じゃあ、今日は休みます。」
「前と同じ部屋だから。」
「はーい!」
「これ、鍵ね。」
部屋の鍵を渡された。
海の家の二階はスタッフが寝泊まりできる場所になっている。
藍は二階に上がり、いつも使っている部屋を鍵で開けて、荷物を一端、置いた。
「はぁ~、重かった。」
重いけど、実を言うと1週間分の服しか持ってきていない。一応、洗濯機や風呂もある。まぁ、泊まるには最適まではいかないけど、いい場所だとは思う。
荷物を置いて、また外に出た。携帯(スマホ)を持って。
海の前に立って、萌香に電話をかけた。
「出るかな~」
『もしもし?』
「もしもし。萌香!着いたよ。」
『おぉ~!お疲れ様!でさ、大翔くんには連絡したの?』
「まだだよ。」
『早く、電話してあげなよ。きっと、待ってるよ~。あ!後さ、祭りの話なんだけど、今回、綾は来れないってさ。』
「どうして!?」
『ショック、受けたのかもね。最近、寝込んでるんだ、綾。』
「そうなんだ…。私のせいだね。私がひろちゃんと付き合い始めたから。」
涙が頬をつたっていた。つまり、泣いていた。
『藍、泣いてるの?』
「ん、ん。泣いてないよ。ごめん。切るね。また、連絡する。」
『分かった。ゆっくり、休んでね。連絡、待ってるね。大翔くんにも、ちゃんと、電話してあげるんだよ。』
「分かった。できたらね。それじゃ、またね。」
『うん、待たね。』
電話を切ると、藍は立ち崩れた。
立ち崩れると、藍は叫びながら泣いた。わんわんと。
藍は独り言をつぶやいていた。
「私のせいで、綾は寝込んでる。私はひろちゃんと付き合ったら、大変なの!自分の気持ちに正直になっちゃいけないの!」
藍は息が荒くなっていた。
「でっかい、独り言だな。」
「な!李逵都くん。あの、今のは…。」
「正直になって良いんじゃないの!?」
「えっ…?私の事、何も知らないのに、そんな事、言わないで!」
「知ってるよ。夏休みは一緒に働いて話してた仲間だろ。」
「なんで。」
「何が?」 
「なんでこんな時に優しくするんですか?私・・・。」
「なんでだろうな。」
李逵都が藍の横に立っていたのが、座り込んだ。
「さっき、李逵都くんは素直になれって言った。けど、私は素直になれない。素直になれたら、どんなに楽なんだろうかな。」
「だったら、素直に…」
「なれないの!素直になったら、自分が嫌な臆病な人間になってしまう。」
李逵都の言葉を藍が遮った。
李逵都は今の話をしていて、その場から離れることにした。今の李逵都の言葉は届かない。だって、李逵都は藍の彼氏じゃない。なりたくても、彼氏になんて到底なれっこない。李逵都は悔しかった。
数分たち、藍が流していた涙がおさまってきたから、大翔に電話をかけた。 
『はい。もしもし。』
「藍だよ。さっき、海の家の方に着いたんだ。今、大丈夫?」 
『あっ!うん。ちょっと待ってね。』
藍のスマホの向こう側から先輩に休憩をもらうよう交渉している声がきこえてきた。
『大丈夫だよ。』
「今、部活してたんだね。」
『あっ!うん。大会、近いし。』
「そっか…。あのさ、別れよ。ごめんね。私、辛いの。友達が大翔くんのこと好きだって知ってて、付き合うのとか…。すべてが辛いの。本当に、ごめんね。祭りに来たくなかったら、来なくても大丈夫だからね。それじゃ。」
『えっ!ちょっと、待って…』
最後まで言い終わらないうちに藍は電話を切ってしまった。
藍はまたしても、立ち崩れた。そして、ため息をついた。
「…んー、らーんー!、らーんー!」
呼ばれている声に導かれるように探すとサーフィンの時に使うボードと水着姿になっていた。
「失恋でもしたのか。」
「自分からふったの。まぁ、自分からふっても、失恋みたいなものだけどね。」
「じゃあさ、夏休みの間というか、海の家で一緒に働く間だけでも、俺と付き合わね。」
「はぁ~💢!何言ってるの!」
「いいだろ。」
「むり。でも、ありがとう。心配してくれて…。私も泳ごうかな。」
「その格好で?」
「だめ?」
「自分がいいのなら、良いんじゃない!?」
服のまま、藍は海に飛び込んだ。
大翔と綾の二人の事を忘れるように。いつもよりも、笑顔を作って、無理に楽しいような素振りになって、無理に強がっるように、海ではしゃいだ。それらの、嘘の素振り・表情などは李逵都には見破られていた。

-次の日-
すずめの音で目が覚めた。
海の家での日課はまず、顔を洗う。その後、部屋で軽くメイク。次に朝食を取って、歯磨きをする。
だから、顔を洗った。タオルで拭いて、部屋に戻り、メイクを鏡をみながら、始めた。
数分でメイクを終え、一階におりた。
「須和さん。おはようございます。」
「おはよ~。朝食、出来てるから食べちゃって。」
机の上を見ると、朝食が二人分置いてある。
「李逵都くんは?」
「あぁ、リッキーはこの辺を散歩してくるって言ってたよ。まだ、この辺を散歩してると思うよ。」
「分かりました。ちょっと行ってきます。」
藍は海の家を出て、辺りを見回した。見回すとサーフィンをしてる、李逵都がいた。藍は無意識につぶやいていた。
「散歩って、言ってたのに。でも、いつ見ても、サーフィンをしてる李逵都くんは格別にかっこ良すぎ。」
李逵都が藍に気づいてサーフィンをやめて、沖の方に来てくれた。
「おはよー。李逵都くん。」
「おはよ。」
「昨日はごめんね。後、ありがとう。」
「どうして、謝るの?」
「えっ!だって、素直になれ!って、言ってくれたのに素直になれなくて。本当にごめんなさい。」
藍はお辞儀をした。
「いや、別にいいよ。気づいてないかもしれないけど、オレ、藍の事、好きだから。だからというか、なんというか、藍が泣いている姿とか悲しがってる姿を見るのが辛いんだよ。」
「そっか…。昨日、言ってた事、本当だったんだね。ごめん。冗談かと思ってた。」
「いや、いいよ。大丈夫。冗談だと思われてるの、気づいてたし…。それより、朝飯食った?」
「まだだよ。その前にお礼と謝りたかったからさ。」
「そっか…。オレ、着替えてから行くから先に戻ってて。」
「うん。分かった。」
藍は先に海の家に戻った。そして、先に朝食を済ませた。
「ごちそうさまでした。」
食べ終わり、食器を流し台の所に持っていった。そしたら、有吏が言った。
「食器はそこに置いといていいよ。後で、まとめて洗うから。」
「ありがとうございます。須和さん。李逵都くんの朝食、カウンターに移しますね。」
「うん!そうしてくれると、助かる。」
藍はカウンターの方に朝食を移動した。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

25cmのシンデレラ

野守
恋愛
デパートに靴を買いに来た梨代は、自分の足に合う25センチのサイズが無くて落ち込んでいた。そこで偶然起こった暴漢騒ぎ。とっさに靴を投げて助けた男性は、まさに梨代が買おうとしていたブランドのメーカー「篠塚製靴」に勤める篠塚だった。しかも篠塚グループと呼ばれる現代財閥の御曹司だとか。 後日お礼として非売品の靴を届けに来た篠塚は、梨代にとある仕事の依頼を持ちかけて……。 御曹司が庶民を体験⁉ 王子様の「逆」シンデレラスト―リーが始まった! と思いきや、事態はあらぬ方向に。

俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛

ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。 そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う これが桂木廉也との出会いである。 廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。 みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。 以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。 二人の恋の行方は……

幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜

葉月 まい
恋愛
近すぎて遠い存在 一緒にいるのに 言えない言葉 すれ違い、通り過ぎる二人の想いは いつか重なるのだろうか… 心に秘めた想いを いつか伝えてもいいのだろうか… 遠回りする幼馴染二人の恋の行方は? 幼い頃からいつも一緒にいた 幼馴染の朱里と瑛。 瑛は自分の辛い境遇に巻き込むまいと、 朱里を遠ざけようとする。 そうとは知らず、朱里は寂しさを抱えて… ・*:.。. ♡ 登場人物 ♡.。.:*・ 栗田 朱里(21歳)… 大学生 桐生 瑛(21歳)… 大学生 桐生ホールディングス 御曹司

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜

小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。 でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。 就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。 そこには玲央がいる。 それなのに、私は玲央に選ばれない…… そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。 瀬川真冬 25歳 一ノ瀬玲央 25歳 ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。 表紙は簡単表紙メーカーにて作成。 アルファポリス公開日 2024/10/21 作品の無断転載はご遠慮ください。

6年分の遠回り~いまなら好きって言えるかも~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
私の身体を揺らす彼を、下から見ていた。 まさかあの彼と、こんな関係になるなんて思いもしない。 今日は同期飲み会だった。 後輩のミスで行けたのは本当に最後。 飲み足りないという私に彼は付き合ってくれた。 彼とは入社当時、部署は違ったが同じ仕事に携わっていた。 きっとあの頃のわたしは、彼が好きだったんだと思う。 けれど仕事で負けたくないなんて私のちっぽけなプライドのせいで、その一線は越えられなかった。 でも、あれから変わった私なら……。 ****** 2021/05/29 公開 ****** 表紙 いもこは妹pixivID:11163077

恋愛の醍醐味

凛子
恋愛
最近の恋人の言動に嫌気がさしていた萌々香は、誕生日を忘れられたことで、ついに別れを決断。 あることがきっかけで、完璧な理想の恋人に出会うことが出来た萌々香は、幸せな日々が永遠に続くと思っていたのだが……

処理中です...