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プールで遊んで、お昼ご飯を食べ終わったところで、おじいちゃんは帰り支度を始めた。
あーちゃんは今日も泊まると思ってたのに、連れて帰ろうとしてると気づいて必死で引き止めた。
お母さんも一緒に泊まるように勧めたけど、おじいちゃんはご迷惑でしょうからと帰ろうとする。
「やだ、やだ。あーちゃん帰らないで。」
「うちの子もこんなに寂しがってますし…さっきお話しした通りうちでしばらくどうですか?」
「いえ、一晩でも充分お世話になりました。」
深々と頭を下げて、おじいちゃんはあーちゃんの手をしっかり握ってどうしても帰ろうとする。
もうどうしたらいいか分からなくて声が大きくなる。
「いやだってばー!」
わんわん泣いてあーちゃんを抱きしめた。
「お姉ちゃん、また来るから。」
ねえ、泣かないで?と背中を撫でて落ち着かせてくれるけど離れるのが嫌で余計声が大きくなります。
「お姉ちゃん、痛いよっ!痛い!!」
私が泣いてるのにおじいちゃんがあーちゃんを引っ張って私から離した。
その拍子に転んでしまった。
「ちょっと!!何するの!」
お母さんが座り込む私をかばって怒った。
おじいちゃんが意地悪するせいなのに、おじいちゃんはあーちゃんを守るように抱きしめてた。
「お宅が大変だと聞いて、何か役に立ちたくてあーちゃんを預かると言ったんです!こっちは善意で言ってるのに!」
そうだ!
やっぱりおじいちゃんが悪者なんだ!
お母さんの腕の中からじっと睨み付けた。
「あーちゃんママとは本当に仲良くしてるんですよ。交通事故でご主人を亡くされて、あーちゃんママもまだ入院してて。それに…昨日のお話では、うちに預けたいと言ってたじゃないですか。どうして急に……」
「乱暴なことをして申し訳ない。お宅から提案された時、私もありがたいと思いましたよ。娘もあなたならぜひと…昨日、お話しした段階でお宅が善良な人だと思ったからお願いするつもりで大事な孫を預けました。」
「なら、どうして…?」
「お宅の娘…あんまりじゃないですか。うちの孫より大きななりをして、他人にあんな癇癪起こして年下に宥められて。遊んでる間も孫に何してたかわからないんですか?どっちが年上かわからんような態度で振り回して犬か猫のように命令してたんですよ!あれをやれこれをやれと!預けたらどうなるんですか!」
「そんな!ひどい…」
お母さんの腕の中で、バカバカ死んじゃえといっぱい怒鳴った。
おじいちゃんが何を言ってるのか分からなかったけどお母さんと私に意地悪を言ったんだと思って悪口をいっぱい叫んだ。
「ななみ!やめて!」
お母さんがぎゅうぎゅう抱き締めて苦しかったけどやめなかった。
「お、おじいちゃん、ごめん、怒らないで…。おばちゃん、お姉ちゃんごめん」
あーちゃんが真っ青な顔で耳を塞いで、おじいちゃんは手を握り耳から離し顔を覗きこんだ。
「昨日、お姉ちゃんと遊びでお着替えをしたね?」
「…うん」
「その時、洋服は脱ぎたくないとお姉ちゃんに言った?」
「…言った」
「お姉ちゃんは何て言ってた?」
「何も。…早く着替えてってズボンを引っ張るから脱げた。あとはバンザイしてって。お世話するからって。」
「知らない!あーちゃんの嘘つき!」
「ぼく、言ったよ!脱ぐのは嫌って!」
「嘘つき!ばかばかばか!!うぁあああ!!あああ!!」
ひどい!あーちゃんひどい!
腹が立って仰け反ったり手足をバタつかせて怒った。
お母さんがもっとぎゅうぎゅうしてきて余計苦しくなってぎゃーっと叫んだ。
叫ぶとあーちゃんのごめんって声がいっぱい聞こえた。
「ななみ、やめて、やめて…。あぁ…。でも、子供のしたことじゃないですか。そんな、お、大げさな。」
座り込んでるお母さんに目線を合わせて、おじいちゃんも座った。
何度も床に頭をつけて、申し訳ないと言った。
「申し訳ないが、こんな暴れる子の側に孫を置きたくない。自分だってそうじゃないのか?もうこれ以上は言わないでください。」
頭を下げるおじいちゃんをやっつけたいのにお母さんが抱き締めて手も足も届かないのが悔しくて、いっぱい暴れて叫んだ。
あーちゃんは今日も泊まると思ってたのに、連れて帰ろうとしてると気づいて必死で引き止めた。
お母さんも一緒に泊まるように勧めたけど、おじいちゃんはご迷惑でしょうからと帰ろうとする。
「やだ、やだ。あーちゃん帰らないで。」
「うちの子もこんなに寂しがってますし…さっきお話しした通りうちでしばらくどうですか?」
「いえ、一晩でも充分お世話になりました。」
深々と頭を下げて、おじいちゃんはあーちゃんの手をしっかり握ってどうしても帰ろうとする。
もうどうしたらいいか分からなくて声が大きくなる。
「いやだってばー!」
わんわん泣いてあーちゃんを抱きしめた。
「お姉ちゃん、また来るから。」
ねえ、泣かないで?と背中を撫でて落ち着かせてくれるけど離れるのが嫌で余計声が大きくなります。
「お姉ちゃん、痛いよっ!痛い!!」
私が泣いてるのにおじいちゃんがあーちゃんを引っ張って私から離した。
その拍子に転んでしまった。
「ちょっと!!何するの!」
お母さんが座り込む私をかばって怒った。
おじいちゃんが意地悪するせいなのに、おじいちゃんはあーちゃんを守るように抱きしめてた。
「お宅が大変だと聞いて、何か役に立ちたくてあーちゃんを預かると言ったんです!こっちは善意で言ってるのに!」
そうだ!
やっぱりおじいちゃんが悪者なんだ!
お母さんの腕の中からじっと睨み付けた。
「あーちゃんママとは本当に仲良くしてるんですよ。交通事故でご主人を亡くされて、あーちゃんママもまだ入院してて。それに…昨日のお話では、うちに預けたいと言ってたじゃないですか。どうして急に……」
「乱暴なことをして申し訳ない。お宅から提案された時、私もありがたいと思いましたよ。娘もあなたならぜひと…昨日、お話しした段階でお宅が善良な人だと思ったからお願いするつもりで大事な孫を預けました。」
「なら、どうして…?」
「お宅の娘…あんまりじゃないですか。うちの孫より大きななりをして、他人にあんな癇癪起こして年下に宥められて。遊んでる間も孫に何してたかわからないんですか?どっちが年上かわからんような態度で振り回して犬か猫のように命令してたんですよ!あれをやれこれをやれと!預けたらどうなるんですか!」
「そんな!ひどい…」
お母さんの腕の中で、バカバカ死んじゃえといっぱい怒鳴った。
おじいちゃんが何を言ってるのか分からなかったけどお母さんと私に意地悪を言ったんだと思って悪口をいっぱい叫んだ。
「ななみ!やめて!」
お母さんがぎゅうぎゅう抱き締めて苦しかったけどやめなかった。
「お、おじいちゃん、ごめん、怒らないで…。おばちゃん、お姉ちゃんごめん」
あーちゃんが真っ青な顔で耳を塞いで、おじいちゃんは手を握り耳から離し顔を覗きこんだ。
「昨日、お姉ちゃんと遊びでお着替えをしたね?」
「…うん」
「その時、洋服は脱ぎたくないとお姉ちゃんに言った?」
「…言った」
「お姉ちゃんは何て言ってた?」
「何も。…早く着替えてってズボンを引っ張るから脱げた。あとはバンザイしてって。お世話するからって。」
「知らない!あーちゃんの嘘つき!」
「ぼく、言ったよ!脱ぐのは嫌って!」
「嘘つき!ばかばかばか!!うぁあああ!!あああ!!」
ひどい!あーちゃんひどい!
腹が立って仰け反ったり手足をバタつかせて怒った。
お母さんがもっとぎゅうぎゅうしてきて余計苦しくなってぎゃーっと叫んだ。
叫ぶとあーちゃんのごめんって声がいっぱい聞こえた。
「ななみ、やめて、やめて…。あぁ…。でも、子供のしたことじゃないですか。そんな、お、大げさな。」
座り込んでるお母さんに目線を合わせて、おじいちゃんも座った。
何度も床に頭をつけて、申し訳ないと言った。
「申し訳ないが、こんな暴れる子の側に孫を置きたくない。自分だってそうじゃないのか?もうこれ以上は言わないでください。」
頭を下げるおじいちゃんをやっつけたいのにお母さんが抱き締めて手も足も届かないのが悔しくて、いっぱい暴れて叫んだ。
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