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朝起きたら、あーちゃんがいなくて家の中を探し回った。
私が起きる前にお父さんが家に送ったって。
そのままお父さんは仕事に行ってあーちゃんは戻ってないと知り、とっても腹が立った。
なんで勝手に帰るの!と怒ったら、ラジオ体操が終わるころにまた来ると言われて、急いで外に出た。
スタンプをもらって走って帰ったけど、まだあーちゃんは来てなかった。
「宿題してて。何時ごろ着くか聞いてみるから。」
「宿題終わったら来るの?」
「それより早いかも。お昼、うちでごちそうする約束してるから。」
リビングに宿題を広げて漢字の書き取りと算数のドリルをがんばった。
その間、お母さんはどこかに電話して色々おしゃべりしてた。
早く来ないかな、まだかな。
お母さんと庭に小さなプールを準備した。
友達と行くプールに連れていくつもりだったのにがっかりしたけど、あんなかわいい男の子を友達に見せたらきっと好きになっちゃうからダメって気づいた。
あーちゃんを独り占めできると思ったら嬉しくなった。
お母さんに頼んでかわいい水着を出してもらった。
友達とプールに行く時はいつもスクール水着だったから、あーちゃんとは特別な格好したかったの。
あーちゃんはおじいちゃんと一緒にやって来た。
半ズボンみたいなダボダボの水着とぴっちりのラッシュガードを着てた。
似合っててとっても格好良い。
お母さんはおじいちゃんとお話するんだって。
私はあーちゃんを引っ張ってプールに連れていった。
あーちゃんはプールの中でちょこんと座ってた。
かわいい。
「お姉ちゃんも早く入ろうよ。早く着替えてきてよ。」
「分かってるよ。ねえ!水着はどっちが良い?」
「えー?こんなにあるの?どれも良いと思うよ?」
どっち?と聞いた癖、水着を三つも四つも持ち出して見せた。
「なんでこんなにあるの?」
「おばあちゃんちが海の近くなの。行ったら毎日海で遊ぶの。スクール水着は学校で着るものでしょ?海はかわいい水着で入らなきゃいけないの。」
「そうなの?!海に行ったことがないから知らなかった!」
だって私が決めたもん。
「かわいいでしょ?これとこれは今年ので、これは去年の。まだあるよ。他のも見る?」
「ええ?見なくて良いから!もう着替えてきてよぉ。」
「なら早く選んでよ。どれがいいの?」
水着を並べて1枚ずつ説明してあげた。
あーちゃんはビニールプールから体を乗り出して大人しく話を聞いて、この色が好きと薄い紫の水着を選んでくれた。
見た目は水着じゃなくて普通のワンピースにしか見えなくて、お母さんがいちいち着替える必要なくて便利そうだから買ったと言ってた。
これが良いの?と体に当てて聞くと、
「うん。他のはなんかよく分からない。」
言われてみたら、他の水着は丸まってると柄がよく分からないし、ごちゃごちゃしてて靴下か何かと間違えそう。
「着替えてくるね!」
走ってリビングを抜けて廊下で着替えた
リビングからお母さんとおじいちゃんの声がぼそぼそ聞こえた。
「あーちゃんの……さんが早く…それまではあーちゃんをうちで…」
「あきが………ります」
「それ………」
え?なに?あーちゃんが何?
途切れ途切れに聞こえる会話から、あーちゃんの名前が気になってお母さんのところへ近寄った。
「お母さん、あーちゃんが何?」
「今は大事な話だから。それよりあーちゃんをほったらかしなの?」
いつもより怖い顔でじろっと睨まれ、着替えてたんだもーんと言い逃げた。
私が起きる前にお父さんが家に送ったって。
そのままお父さんは仕事に行ってあーちゃんは戻ってないと知り、とっても腹が立った。
なんで勝手に帰るの!と怒ったら、ラジオ体操が終わるころにまた来ると言われて、急いで外に出た。
スタンプをもらって走って帰ったけど、まだあーちゃんは来てなかった。
「宿題してて。何時ごろ着くか聞いてみるから。」
「宿題終わったら来るの?」
「それより早いかも。お昼、うちでごちそうする約束してるから。」
リビングに宿題を広げて漢字の書き取りと算数のドリルをがんばった。
その間、お母さんはどこかに電話して色々おしゃべりしてた。
早く来ないかな、まだかな。
お母さんと庭に小さなプールを準備した。
友達と行くプールに連れていくつもりだったのにがっかりしたけど、あんなかわいい男の子を友達に見せたらきっと好きになっちゃうからダメって気づいた。
あーちゃんを独り占めできると思ったら嬉しくなった。
お母さんに頼んでかわいい水着を出してもらった。
友達とプールに行く時はいつもスクール水着だったから、あーちゃんとは特別な格好したかったの。
あーちゃんはおじいちゃんと一緒にやって来た。
半ズボンみたいなダボダボの水着とぴっちりのラッシュガードを着てた。
似合っててとっても格好良い。
お母さんはおじいちゃんとお話するんだって。
私はあーちゃんを引っ張ってプールに連れていった。
あーちゃんはプールの中でちょこんと座ってた。
かわいい。
「お姉ちゃんも早く入ろうよ。早く着替えてきてよ。」
「分かってるよ。ねえ!水着はどっちが良い?」
「えー?こんなにあるの?どれも良いと思うよ?」
どっち?と聞いた癖、水着を三つも四つも持ち出して見せた。
「なんでこんなにあるの?」
「おばあちゃんちが海の近くなの。行ったら毎日海で遊ぶの。スクール水着は学校で着るものでしょ?海はかわいい水着で入らなきゃいけないの。」
「そうなの?!海に行ったことがないから知らなかった!」
だって私が決めたもん。
「かわいいでしょ?これとこれは今年ので、これは去年の。まだあるよ。他のも見る?」
「ええ?見なくて良いから!もう着替えてきてよぉ。」
「なら早く選んでよ。どれがいいの?」
水着を並べて1枚ずつ説明してあげた。
あーちゃんはビニールプールから体を乗り出して大人しく話を聞いて、この色が好きと薄い紫の水着を選んでくれた。
見た目は水着じゃなくて普通のワンピースにしか見えなくて、お母さんがいちいち着替える必要なくて便利そうだから買ったと言ってた。
これが良いの?と体に当てて聞くと、
「うん。他のはなんかよく分からない。」
言われてみたら、他の水着は丸まってると柄がよく分からないし、ごちゃごちゃしてて靴下か何かと間違えそう。
「着替えてくるね!」
走ってリビングを抜けて廊下で着替えた
リビングからお母さんとおじいちゃんの声がぼそぼそ聞こえた。
「あーちゃんの……さんが早く…それまではあーちゃんをうちで…」
「あきが………ります」
「それ………」
え?なに?あーちゃんが何?
途切れ途切れに聞こえる会話から、あーちゃんの名前が気になってお母さんのところへ近寄った。
「お母さん、あーちゃんが何?」
「今は大事な話だから。それよりあーちゃんをほったらかしなの?」
いつもより怖い顔でじろっと睨まれ、着替えてたんだもーんと言い逃げた。
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